山のもの ;海のものとも山のものとも
2006/02/16 up    
木曽御嶽山
おんたけスキー場〜王滝頂上〜剣ヶ峰 ;往復
2006/02/10〜11
単独.・ビバーグ(前車泊+)・山スキー  [歩行時間 7時間30分]
頂に立つも時間切れ 雪洞ビバーグ
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまでも参考としてください

 自宅→【中央HW塩尻】→おんたけスキー場 6時間30分/約350km〈¥5,750〉
   R19からの山道 清滝あたりまではきれいに除雪され、まったく雪が無く その先も薄い圧雪道
   スキー場が近づくと、月光で明るい夜空の中に御嶽の峰が白く浮き上がっている 無音で星が流れる ドラマチックな風景
   01:00頃におんたけスキー場駐車場着 自宅から御嶽は距離より時間がかかる

 2006/02/10 (fri.)
おんたけスキー場〜王滝頂上〜剣ヶ峰〜王滝頂上
〜ルンゼ滑走〜スノードーム
行程8時間40分 [6時間15分]
 厳冬期の標高3000mを目指す

06:30起床
快晴 予報どうりの移動性の高気圧が支配する大気
心配だった風も、ここ駐車場では感じない

御嶽の雪肌がモルゲンロートに染まり美しい ここからは頂部も見てとれる

兼用靴はサイズが品切れで注文したが、今回には間に合わなかった
前回のスネ擦れ対策でパワーバンドを取りはずしたアルペン靴を履く
おんたけスキー場 1685m 気象;晴 無風 気温;-10℃ 雪;ピステン
08:35
DoCoMo
ゴンドラ(\1,260)は平日なので8:30運行 乗り待ち無くスムーズに景色を楽しみながら標高を上げてくれる
スキー場をベースにした山スキーは、朝一のリフト運行がとても大切 強風などでリフトがSTOPした場合、その日の山行に大きく影響する
リフト 15分 
ゴンドラ田の原駅 2235m 気象;晴 無風 気温;-12℃ 雪;ピステン→スネラッセル
08:50〜08:55
DoCoMo
三笠山ゴンドラ降り場で登山届を提出
外に出ると思わず声が出るほどに北アルプスの山々がすばらしい
そして正面、御嶽が堂々とした姿 田の原までの緩斜面を御嶽を観ながら滑る 真っ白な3000mの独立峰が澄んだ青空のもと 「さあ、いらっしゃい」と言わんばかりに両手の稜線を広げている 幾度かゲレンデスキーでこの景色を観ているのだが、『あそこを登る』と思うと壁のように思えてきてシビレテくる
スキー
 10分 
田の原 2185m 気象;晴 無風 気温;-10℃ 雪;スネラッセル
09:05〜09:15入山
DoCoMo
ゲレンデを外れて田の原の鳥居をくぐる 一番ボトムの場所まで滑る
入山跡は無い 一昨日に降雪があったのは確認済み

『マダ、シビレテルヨ』 だれも周りには居ないのだが、高鳴る気持ちを出さないようスマシ顔でスキーシールを貼る  軽く準備体操をして『準備ヨシ』 
最初は幅の広い王滝口登山道に板を向ける 晴天無風だが 王滝頂上の稜線には時折雪煙が舞い上がるのがワカル 『上はやはり風が強い』
田の原は予想以上に斜度が無い 雪は少し重めのスネラッセル
『こりゃ、帰路は滑れないカモ』
 
シール
20分
あずまや 2205m 気象;晴 無風 気温;-10℃ 雪;スネラッセル
09:35

黒い山がゴンドラ駅の三笠山
最初に目印にしたあずまやが登り道の右にある ついつい無雪時のタイムを考えがちだが、それより倍の時間がかかっている
田の原からは、あずまやに見えたが実際は神社仏閣施設のようだ

最初は森林帯の中
 幅広い道を進む
シール
25分 
鳥居(七合目) 2285m 気象;晴 無風 気温;-9℃ 雪;スネラッセル
10:00
七合目 雪にうもれた鳥居をかがんでくぐる ここからはわずかに斜度が増す
道幅が狭くなり木々の間をぬうように進む 所々にある赤テープを頼りに進むが雪が深くなってきた

森林帯がもう少しで終わる辺りで雪洞を発見。
いや、掘ったモノではない 雪洞ではなく【ドーム】 低い木が雪の重みで垂れ下がりそこに雪が積もり木の下に空間があるスノードームだ
入り口は狭いが覗くと2〜3人が寝れるほどに中は広い 『こいつはイイ!』 標高を確認 上に飛び出ている旗ざおのような枝にオレンジロープを結んで目印にしておく
シール
30分
森林帯口 (赤旗) 2405m 気象;晴 北西の風 気温;-10℃ 雪;スネラッセル→アイス
10:30〜10:40
森林帯出口に赤旗のマーキングがある ここもチェック
登り時は迷わないが、視界不良で滑って降りると見逃しそうだ
歩いてきた王滝口登山道の両脇は深い谷となり落ち込んでいる
目の前は広大な雪斜面と蒼空だけの世界 『いいね』
丸ごとオフピステだが自分が安全に滑れそうな場所は限られている
正面の王滝頂上峰の斜面にルンゼがある 『あそこを滑りたい』
まだ弱いが峰越しの風が伝わるようになる

ここから本格的に登りとなる 右手の夏道沿いは尾根に出るまで斜度は急だがそちらを選択
しかし、斜面の途中で氷の部分が増えてくるスキーシールがスリップしだす
『このままではまずい』 やわらかい部分の斜面をストックで削り荷物を置けるスペースを作る 荷は滑り落ちないように すぐにピッケルを突き刺し固定
不安定な場所で、苦労しながらクトーを装着し金剛童子まで登る
シール→クトー
(途中クトー装着)
35分 
金剛童子 2470m 気象;晴 北西の風 気温;-12℃ 雪;アイス
11:15〜11:30
金剛童子は祠が建ち、フラットで安心して休憩できる
行動食を採りながら滑れそうなルンゼを観る
登山道はアイスだがルンゼ内は雪が残っている
ルンゼ源頭部は王滝頂上直下だ 『王滝頂上からは無理でも、もう少し上から滑ろう それに、ここはルンゼから離れている』
板をザックに固定 靴にはアイゼンを装着 これで背中の荷は12kgオ-バー

時折の強い風で板が煽られる が、襲ってくる前に雪煙で旋風が白く見えるので備えられる

海老の尻尾

祠も氷結

くるぞ〜
アイゼン+ストック
10分 
八合目避難小屋 2500m 気象;晴 西の風 気温;-12℃ 雪;アイス
11:40〜11:45
DoCoMo
八合目避難小屋 雪に埋没していて使えない
雪に半分埋まった夏道のガイドロープを目印に大雪斜面を横目にゆっくり登る 

八・九合目の避難小屋は
まだ使える季節ではない

青白写真ばかりでスイマセン

セッピ

雪と風の芸術作品
 アルタミラ洞窟壁画のよう

向こうの尾根もステキ
アイゼン+ストック
 55分
九合目避難小屋 2810m 気象;晴 西の強風 気温;-14℃ 雪;アイス
12:40〜13:05
DoCoMo
九合目の避難小屋も雪に埋没している
ここからなら真横にルンゼが並び滑りこめる
ルンゼ内に雪球を投げ込む 割れずにもぐる 『滑れそう』

とりあえず王滝頂上を目指そう
シールを剥がした板とストックは石室の内側にデポし、ピッケルを握る

風が強くなり間隔も短くなるが、歩けないほどでは無い
むしろ風が止まると露出している頬と鼻頭が強い日差しで焼けるのがわかる
時折、硫黄の匂いを感じるようになった
ポツポツと石碑などが顔を出しているが確認する気力は無かった →

滑る予定のルンゼ 九合目避難小屋横

ルンゼは王滝頂上直下から始まっている
この先、雪の多くは飛ばされあまり積もっていない 雪が薄いと急斜面の登りは足首が固定された靴では勝手が悪い 足元には石も出てくる 人の手によるモノも目立ってくる
そにしても、王滝頂上小屋がなかなか近づかない 晴天視界良好で姿は田の原からずーっと見えているのだが
アイゼン+ピッケル
1時間
王滝頂上 2936m 気象;晴 気温;-12℃ 雪;アイス
14:05〜14:10
DoCoMo
天空の城かと思われた王滝頂上小屋に着いた 小屋は完全に閉じられ春を待っている 右手の奇岩が襲ってくるように見える
小屋の裏側に城壁のような岩に囲まれ王滝頂上神社がある そしてここで、やっと御嶽頂部がはっきり全貌を現す
 『屏風の裏にこんなものを隠していたのか』
八丁ダルミのコルを挟んで、真っ白できれいな円錐がスクッとそびえる 数値以上の高度差を感じる 『雪で出来たピラミッド』 田の原から先、ここに登るまで、そのピラミッドは王滝頂上峰の屏風で見えない演出
しかし、タイムリミット
これからあの雪のピラミッドを登るのは、時間が許さないのは明らかだ
登山届には【日帰り】と記した
『明日は乗鞍に行くつもりだったので時間的制約は無い《うん、うん》 朝チェックしたスノードーム《素敵だった》 体力は充分ある 防寒・食料・燃料・ツエルト… あそこならば大丈夫』
携帯で明日の天気を確認 《微風・曇り》
あまり悩まず、厳冬期3000m頂の誘惑に負けてしまう
〜八丁ダルミ〜 ****m 気象;晴 西の烈風 気温;**℃ 雪;アイス
モニュメントの建つコル部ではそうでもなかったが、少し登ると予想以上の烈風
大半の雪は吹き飛ばされ雪煙も上がらない状態だったのだ 烈風をモロに受けると身体が飛ばされそうになる
『これがうわさに聞く八丁ダルミの強風か』 こうなると頼りは音 〔ビュオー〕という風音が大きくなったらピッケルを突き刺し耐風姿勢のまま身構える
しかし烈風は西よりの一定方向からだし、間隔はあるので大きめの岩影を渡り歩くように進む
御嶽山は火山性の山である 近年では昭和54年10月に、今歩いている西斜面の地獄谷で大規模な噴火があった その模様をTVで観た自分は『日本にも凄い場所があるもんだ』と思ったけ 
今回は噴気や強い硫黄は感じられなかった。

炎? 噴煙? Monument

仏様も寒かろうて

雪は吹き飛んでしまう烈風坂
斜度が増してくるとアイゼンのフロント爪、膝、ピッケルを使いアイスクライミングの要領で這つくばりながら進む
アイゼン、ピッケルはしっかり効いて斜面に食い込む 『いいぞ』
斜面は[カチカチ]の氷と言うわけでは無いので不安は少ないが慎重に這う 低い姿勢では雪ではなく氷粒が飛んでくる
頂上直下の夏の山小屋めざし進む 夏はおそらく階段の場所はまさに氷の滑り台だ
ちょっとでっぱりがあると海老の尻尾 ムーミン谷の【ニョロニョロ】みたいでかわいい ↑                
アイゼン+ピッケル

 45分
御嶽(剣ヶ峰) 3067m 気象;晴 西の強風 気温;-17℃ 雪;アイス
14:55〜15:15
DoCoMo
厳冬期の3000mの頂に立つ
『無論、もっと高く難しい山も沢山ある この御嶽山も、今日より厳しい条件で登られた方々も沢山おられるでしょう
でも、今の自分にとって、おそらく最大限の体力と思考での山行 やっぱりウレシイ』
頂上では先ほどまでの烈風は無い 普通に立ってすばらしい景色を堪能できる

立派なお社

摩利支天山方面

かつては巨大なカルデラ湖であったろう
一ノ池
今まで見えなかった山の北側は広大なカルデラを形成している
底はシュカラブの雪原 青緑に輝く日本一高所の湖 −カルデラ湖;二ノ池(2905m)- も雪に埋まり その姿は判らなかった こちら面を滑った記録をwebで拝見したが、滑れれば気持ち良い斜面であろう
北・中央・南のアルプスも綺麗に見渡せる
今回それ以上に美しく感じたのは剣ヶ峰の南西方向に口を開けている地獄谷
王滝頂上から連なる2940mピークや谷源頭部は岩と氷の荒々しい姿で【命あるモノ立ち入るなかれ】と告げいる
美しく危険なモノに酔いそうになる -地獄谷は、アイスクライミングが出来ても有毒ガスにやられてしまう-
自分が想像していた厳冬期3000mの景色がまさにそこにあった

標高3000mの場所とは思えない立派な社 御神は大己貴命、国常立尊、少彦名命 無宗教の自分も登頂の感謝と無事下山を祈り山頂を後にする

三笠山まではっきり見える
後峰は中央アルプス

地獄谷 源頭部

 
〜八丁ダルミ〜 ****m 気象;西の烈風 気温;**℃ 雪;アイス
下山開始 最初の急斜面はシリセードで行く アイゼンを引っ掛けないよう注意し、ピッケルでスピード調整 少々の小石があってもそのままの姿勢で滑る
ピッケルでの滑落停止の練習もしてみる
烈風帯は登り時の要領で戻る
シリセード
アイゼン+ピッケル

 25分
王滝頂上 2936m 気象;晴 気温;-15℃ 雪;アイス
15:40〜15:45
往復に予想以上に時間がかかってしまった 暗くなる前にスノードームまでは戻らなければ 少し不安がよぎる

大活躍のアイゼン&ピッケル

イザナキ・イザナミが、天沼矛(あめのぬぼこ)で渾沌をかき混ぜ
その矛から滴り落ちた雫が積もって日本列島が創られた 〜古事記
アイゼン+ピッケル
 25分
九合目避難小屋 2810m 気象;晴 西風 気温;-15℃ 雪;**
16:10〜16:30
板をデポした場所に戻ると日没を告げる空と山々のショーが始まっている
残念ながら最後までショーを観る余裕は無く板を履く
ルンゼにドロップイン 簡易弱層テスト 雪は安定しているが思ったより重い 視界はクリアー 地形と目指すポイントを確認
『行ってみましょう』 天然のハーフパイプの底を滑る
雪深さはスネぐらい 最初は意外とフォールラインを向ける 『きもちいい』
しかし急な深雪帯で転倒 雪崩が怖いので少しルンゼの壁側を滑るがそこは〔カリカリ〕と固めのバーン
さらに下部のルンゼか広がってくる面では硬いアイスバーンも交じってきた
左側へトラバース気味に斜滑降 〔ガリガリ〕音を立てルンゼから抜け出る
最後はゆっくり慎重に森林帯口の赤旗を目指す

                 
スキー
 25分
森林帯口 (赤旗) 2405m 気象;晴 無風 気温;-8℃ 雪;トレース
16:55〜17:05
『ぶぇ〜』 なんとかここまで降りてこれた
標高差400mぐらいだが 足の筋肉はもちろん上半身もパンパンだ
ここからは朝、自分の付けたトレースをたぐってスノードームに向かう
滑走ルート図
スキー
10分
スノードーム 2380m 気象;晴 無風 気温;-8℃ 雪;**
17:15着
DoCoMo
暗くなる前にスノードーム到着できた とりあえずフォーカストビバーグ
ゲレンデまでは標高差であと200m弱だが無理はよそう
かまくら遊びや単車旅での低地雪中泊の経験あるが、この標高では初めて
まず穴にもぐりこみシャベルで床を均す 天井はダケカンバの生木の幹が剥き出し 壁は針葉枝葉と雪の複合材 『こんな厳しい風雪の中でもコイツは生きている』 励まされる
入り口が風上側だが掘り下がっているし、ビニール袋で塞げば隙間は無い
そのままでもビバーグできる状態なので15分もかからず快適空間が準備できた
中に荷を入れても十分な広さ 自分のテントより居心地がいいカモ
これだけの完成度『きっと、誰かがこさえたモノなのであろう 利用させていただきます』
早速Coffeeを点てる 『最高だな』

衣はあるものすべてを着る 足はアルペンブーツのため、このままでは圧迫され凍傷が怖い 取り外したブーツのインナーにホカロンを入れてそれを履く さらに空にしたザックに足を突っ込む 手はスペアのグローブに換える そしてツエルトシートで全身を包めばまったく寒くないと言う訳ではないが、がまんできる
 -雪洞内は朝6:00で1度だった おそらく外気は-15度以下+風であろう-

夕食のレトルトおじやをこさえ、今日の行動食の残りを食べる
やはり疲れている 身体が温まるとウトウトしてきた 山岳小説を読むと、こういう時は「生と死、山とは、人生とは」と哲学者になると言うが、自分は睡魔の方が強いようだ...


さすがに時々目覚める 風が無いとまったくの無音
『マダ、イキテイルゾ』手足の指をニギニギ運動してまたウトウト
00:00頃には雪も降り出してきた 『これで朝の放射冷却はないかな』
風が吹くと出入り口のビニールに雪があたる音が子守唄
3:00頃、一度出入り口の雪かきをする

これがスノードームの天井

『すごいな〜』


 2006/02/11(sat.)
スノードーム〜おんたけスキー場+奈良井
行程1時間30分 [1時間20分]
 下山 そして...
スノードーム 2380m 気象;雪 無風  気温;-14℃ 雪;膝ラッセル
08:20出立
6:30 外が明るくなってちゃんと起床 疲労は感じない
外ではキラキラと雪が降り続いている
朝餉はカチコチに凍ったスニッカーズをCoffeeで溶かしながら食べる
手順を考え荷造りをするが最後に問題発生 ブーツのインナーが靴に入らない
そりゃそうだ、プラスチックは低温でカチコチだ しかたなく、いったん荷造りが完了したザックの底からコンロを取り出し着火
『兼用靴ならこうした点も考慮されているのかな』 慎重にスキーブーツ外皮を温め何とかインナーを押し込み外に出る

昨日より30cmぐらい雪が積もった ツボ足では膝までもぐる 雪質はパウダーと言うには重い 斜度弱く、これでは滑るのは大変 木々も多い ツボ足で下山する 風は弱く 視界も良好だ 三笠山も見える
一晩お世話になったスノードームに別れを告げ出立

これがスノードーム出入口

Thanks!
ツボ足
30分 
鳥居(七合目) 2285m 気象;雪 無風  気温;-12℃ 雪;膝ラッセル
08:50
昨日つけた足跡は積雪で所々薄っすらにしか分からない マーキングを確認しながら膝ラッセルで行進 時々股まで潜り足が出せなくなる 深い場所は歩幅を狭くする 背中に縛った板が頭上の枝にさえぎられたりもするが、まぁ下りなので順調だ
鳥居を過ぎしばらく行くと
田の原側から入山者が来る 丸一日ぶりの人間
自慢話では無いが『昨日は好天で剣ヶ峰まで行き 雪洞に泊まりました〜とか話そうかしら』と立ち止まっていたが、普通の「コンニチハ」の笑顔で行かれてしまわれた 少し拍子抜け 下を見ると人が続いている 「御免なさいね、60人ぐらいいるのよ」 先頭グループの女性が声をかけてくれる 『60人!』  ワカン、スキー、スノーシュー、ピッケル イデタチさまざまな老若男女
こんなに大勢の方に山で-しかも雪山で-遭うなんて、こりゃたまげた
大人数で[ワイワイガヤガヤ]こういう山行もうらやましい でも、これだけの大所帯、道具も違うとリーダーの統率は大変だろうと余計な心配をしてしまう
さすがに一列ではなく、小グループごとで登ってこられるので、ずーとすれ違い待ちでは無い 何より、もうラッセルから開放されるので助かる
言葉を聞くとどうやら、中京圏からいらっしゃった団体さんのようだ


朝から膝ラッセルだ

列は田の原近くまで続く
ツボ足
30分 
田の原 2200m 気象;雪 無風 気温;-10℃ 雪;トレース
09:20〜09:30 田の原到着 ここまで戻れば一安心 一服し板を履く 振り向いた王滝頂上峰は雪雲の中だ
初心者迂回コースでゲレンデイン 土曜なので人は多いが、幅のあるロングコースが自慢のおんたけスキー場
割と自由に、駐車場まで滑れる
スキー
 20分
おんたけスキー場 1685m 気象;粉雪 気温;-7℃ 雪;ピステン
09:50下山
『戻ってきたよ!』 昨日と違い上部駐車場は満車
スキー場併設の入浴施設は12:00から 食事の時間を差し引いても時間がある
今日のゲレンデは踏むと〔キュッキュッ〕と鳴り、とても良い状態
荷物を車に置き、発券場に並びゴンドラ一回券(\1,260)を購入 15分ぐらいゴンドラ待ち 今度は三笠山の正面コースへ滑り出す 荷物が無いとスキーが上達した錯覚 だが、さすがに疲れた コース横で一服
『腹いっぱい食うぞ』 ゲレンデベースに向かってまた滑る

← 広いコース幅のおんたけゲレンデ
『空腹は最高のスパイス』 →
なんてことは無いゲレ食カレーだがおいしい  
モリモリ食す  
ざぶん
おんたけスキー場併設の【ざぶん〈\800〉】の一番風呂入る
では無いが貸切状態の広〜いお風呂 ジャグジーでマッサージして、熱目のひのき風呂へ ほんとに山行後の入浴は『シアワセ』 でもこれって、日本だけなんだろうな
奈良井・贄川

酒 琳
山を降りR19を塩尻に向ける 来る時には気づかなかったが【権平トンネル】が完成していた 『これで冬でも木曽谷と伊那谷を行き来できるな』
途中の奈良井宿に寄る 江戸期には【奈良井千軒】と言われるほど栄えた中仙道の宿場町 面影が強く残る街道をぶらついたり、木工や漆の匠技に感心する

おちゃめなフラワースタンド

木曽の大橋
贄川(ナラカワ)では五平餅をいただく\550〉 →
-何を隠そう五平餅は大好物なのデス-    
  山椒が効いて美味なり          


 帰路の中央HW.走行中、急に車の水温が上昇 ヒーターを全開にして勝沼ICを降りる
[ゴッゴッ]と音がしてPowerdown 路肩に車を停める ボンネットを開ける クーラントはある そのうち〔カリカリ〕メタル音がしてきたのでエンジンを切る その後エンジンはかからなくなってしまった 【焼きつきorガスケット抜け】 あきらめてJAFにSOS
引き取りにきてくれたのは優しいオジサン 「大変でしたね」と車と自分をレッカーで大月の事業所まで運んでくれる
さらに事業所のお兄さんが大月駅まで送ってくれたので、中央線登りの最終電車に間に合った
電車内で想う 『自分が生きて帰れるのは、車が身代わりになってくれたのかしら...』 擬人化は好きではないが、さすがに考える
日付が変わって家に戻る TVを点けるとトリノオリンピックでの上村愛子女史 決まったBig3Dに拍手!

天気図  この山行時の天気図 ;株式会社ウェザーマップ/気象人 のページへリンクさせていただいております
装 備     水タンク:1L 1食+行動食2日分
    コンロ(中カートリッジ*1)、ツエルトシート、スコップ
    30Lザック(9kg) 
    足元 ;山スキーセット+アルペン靴 orアイゼン
    手元 ;Wストック orピッケル
反 省 見極め 斜面の不安定な場所でのセット変更をするのは人も荷物も滑落の危険となる 登るのも、滑るのもできるだけ斜面に取り付く前に状態を見極めて準備しなければ
あせらず確実に スキーシールやアイゼンの装着、都度荷を開けるなど 雪山ではどうしても必要な停滞時間が発生する 雪山行が工程時間に対し移動時間割合が少なくなるのはこのためだ
グローブごしに自宅で練習しても、フィールドではあせりがちになってしまう
しかし、あせらず確実に それが後々 楽で安全な山行となる
 
雪質の変化 スキーで滑っている最中に雪質が変わると対応できない 登っている時に感じた雪質が滑る時には変わっているのはあたりまえの事だ 自分の技量・体力ではゲレンデのようにスピードを出してはだめ 転倒は危険だし体力を使う 
整備はちゃんとしていたつもりだが 今までほんとにご苦労さまでした
良 点 ビバーグの準備 今回の雪や風の状態の中 自分の力量での日帰りは無理だった
【登る途中でに良いビバーグ場所を見つけられた事 ビバーグの準備をしていたコト】 これが無ければ、登頂をあきらめ途中で引き返えすことになったであろう
アイゼン、ピッケル 初めてのアイゼン&ピッケル使用だったが、今回のレベルでは問題・不安なく使用できた
日本の山々を行くと【御嶽大神】=御嶽を信仰するモノに出会う 各地にも【御嶽】の名の場所がある
その信仰の総本山がこの御嶽である
木曽の御嶽山は、現在でも聖地である 夏になれば数多くの白装束の信者が[六根清浄]を唱えながら頂上を目指す
庶民には開放されていなかった【御嶽詣】を 覚明行者が現在の黒沢口を 普寛行者が王滝口を万民のために開放したのが江戸末期 またたく間に広まった【御嶽大神】 カトリックならバチカン ユダヤ教で言えば嘆きの壁にあたるモノが【御嶽大神】ではこの山なのだ
古来の山岳信仰の教えに【生まれ代わり】がある 【聖なる山に漂う霊魂(神の一部)が御神縁で現世を暮らし 死後再び、霊魂は山に戻り次の御神縁を待つ】荒々しい景色を覗けば地獄を、お花畑が拡がる丘を歩けば浄土を想う素直な気持ち 【六根清浄】現世での人間の五感+心を清めたいと願う祈り 当時の人々がいかに御嶽を詣でしたかったのか興味深い もし当時の信者の方々が、道具と情報に恵まれ自分のように雪と氷の御嶽を詣で観る事ができていたらどのように思うのであろうか
感 想 いろいろな事があった今回の山行 ゴンドラを使用したが、自分にとって厳冬期の3000m級初登頂 忘れることは無い山行だ
冬山はその自然の状態により進行スピードが読みにくい これだけ好天でも自然の状態は、よほどのベテランでなければ実際に山に入ってみなければ判らないと言うのがホントのトコロであろう
本来はゴールデンウイークの頃に多くの方が春山スキーに訪れる御嶽山 きっとその頃にはあのルンゼも、もっと滑りやすい状態であろう
上記したように御嶽は聖地である 信者の方々にとっては、「聖地でスキーなんて不謹慎な」と嘆くかもしれない
が、これが自分なりの山の接し方<愛し方<信仰だと思った


もちろんこんなにカッコヨくは滑れていない
雪中泊の夜は長い 夢見て描く

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