山のもの ;海のものとも山のものとも
2006/07/21 up    
南アルプス・白峰三山
奈良田~大門沢~農鳥岳~間ノ岳~北岳~白根御池~広河原→奈良田
2006/07/13(thu.)~15(sat.)
 単独.・2泊3日・キャンプ・縦走 行程;18時間50分 移動;15時間55分

『白峰三山を北上せよ』 涼々3000mのお花畑街道
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまでも参考としてください

  自宅→【甲府南/中央HW】→奈良田 4時間/約240km〈¥4,200・ETC〉
当然、険しい丸川林道を越える気にはならない 身延側から回り込む
国道から南アルプス公園線に入る交差点に【道の駅 ふるさと工芸館】 紙すき体験に興味 でもまだ早朝  『残念。』
道は清流;早川に方向も高さも沿って上流へと進む 緩いコーナー道だが、壁のような山がだんだん迫ってくる
国道から30分以上 車を走らせる 携帯はすでに圏外だし、国道の先はコンビニも無い
奈良田バス停横の駐車スペース〈無料〉に車を停める 20台程度の駐車スペースにも空きがある
今日は大門沢小屋まで5時間程度の工程を予定している 『まだ9:00前』
山行前に、いっときは日本の首都だった(!?)奈良田を散策する   詳細は→
1日目 2006/07/13 (thu.)
奈良田~農鳥登山道~大門沢小屋
行程;4時間  移動;3時間35分
今日は大門沢小屋まで 沢沿いを緩やかに登る
奈良田 820m 気象;曇り/晴 無風 気温;30℃
11:20出立
FOMA
11:00を過ぎた まだ散策足りないが、『そろそろ山に入ろう』
車に戻って山荷を背負って歩きだす
村の先、丸山林道出合の広い駐車場は平日なので3台くらいしか停まっていない
南アルプス公園線は、この先 一般車は通行止め 広河原に行く方はバスに乗る
自分は逆周りなので、ゲートを守るおじさんに会釈して鉄橋を渡る 舗装路を早川に沿って 『北上開始だ』
舗装路
30分
農鳥岳登山口 870m 気象;晴/曇り 無風 気温;29℃
11:50入山
第一発電所の橋を渡り、左手の広河内に入ってゆく
まだ足元はコンクリートで固められている
今日は梅雨も一休み 平地よりは涼しいのだろうが
時折、雲の合間から強い日差しが照りつける
『勝手なもんだ あんなに晴れ間を望んでいたのにな』
太陽を少しうらめしく思う
舗装路
20分
休憩小屋 975m 気象;晴/曇り 無風 気温;30℃
12:10~12:15
休憩小屋で登山届をポストに入れる
残っていた届を見ると、前回入山された方の日付は6月27日
雨の時期なのでなんとも言えないが、奈良田から入山される方は少ないようだ
この前後の区間、落石が多い 落ちた岩がガードレールをひしゃげている
15分
吊橋 一つ目 1035m 気象;晴/曇り 気温;25℃
12:30
土道となり砂防工事現場を高捲きして、最初の吊橋で沢の右岸に渡ると 鮮やかな新緑が迎えてくれる
コンクリートの路面や養生壁からのヒートが無くなり、木々の日陰や沢沿いの効果で体感的にも、耳にもずっと涼しくなる
発電用給水口の建物横から三つ目の吊橋を渡れば、人工物の気配も消えうせて 山に入ったコトを実感する
すぐに左手から小沢(小コモリ沢)が出合う 『好い感じ』

吊橋の先に待つモノは~

今日の工程はなだらかなです

幾度も沢を渡る
50分
出合 二つ目 1215m 気象;曇り/晴 無風 気温;20℃
13:20~13:30
さらに進み二つ目の沢(大コモリ沢)が出合う場所で水の流れる脇に立つ
水量は梅雨時のため多いのであろう
清い流れに手を入れる 雪解け直後ではないので、痛いほどの冷たさは無い
顔を洗い、口に含む  『やっぱりおいしいな』
すくった水を、すでに日焼けした襟足にかける 『気持ちいい~』
この辺で下山する方々と多くすれ違う
『北岳までデス』 と自分の予定を話すと、皆さん 自分が今まで降りてきた道程の長さを
振り返るかのように 「がんばって」と励ましてくれる
~八丁坂~ ****m 気象;曇り/晴 気温;**℃
ここから、いったん沢から外れるように八丁坂を登る
短いが、壁のような斜面を何度か向きを変えながら1300m地点まで〔グイっ〕と登る
ひと時 平地の森中になる
今まで聞こえていた沢音が消え、代わりに【ひぐらし】の刹那な声が新緑輝く森のホールでサラウンド状態
『夏の夕暮れ』 気持ちも涼み、1450m地点がある尾根を捲くように登りきる
再び沢音の響く大門沢の河原に出て、そのまましばらくはゴロゴロした大岩道で右岸を進む
梅雨時&沢沿いのため滑りやすい

八丁坂 山にはよくある名

 

ひぐらしの森
 1時間20分
大門沢 左岸 1560m 気象;曇り 無風 気温;19℃
14:50~15:05

やがて路は、木橋で一旦左岸に渡る
鉄製の沢捲きを越え、苔むす岩帯を進む。
再び木橋で右岸に戻れば小屋まで10分ほどだ
20分
大門沢小屋 1760m 気象;曇り 無風 気温;21℃(16:00)

15:25着
 ¥500/張〉090-7635-4244
FOMA
今日はここまで。 緩やかな沢沿いの路だったので疲労は無い
小屋の周りをキスゲが取り囲み 谷が開けた先には富士山が顔を出す
稜線は、まだまだ先だし、通常は下山時に利用する方が多い小屋なのであろう 小屋番の方も 宿泊者されている方も 何となくのんびりした雰囲気の山小屋だ 今夜のテントは自分だけ 小屋泊も5人ぐらいのようだ

テント場は平らで、草が生い茂る マットをひかなくてもフカフカで気持ちよい
寝床を設営し、荷を入れ終わると同時に通り雨が降る 『ラッキー』 
ぽきぽきに折ったマルタイラーメンが夕食 リッチにベリータルトのデザートを付ける
明日に備え早く寝る。 シュラフはとりあえず3シーズンを担いできたが 『暑い!』 抱き枕状態だ
夜、再び雨が降る

大門沢小屋

薄っすらと富士の山
 実際はもっと大きく見える

外国の甘さも山では美味しい


2日目 2006/07/14 (fri.)
大門沢小屋~農鳥岳~農鳥小屋
行程;6時間20分  移動;5時間30分
朝イチの登りの後は、お花畑街道の稜線が待っていてくれた
04:00起床
薄明るいうちに朝食を済ませ、テントを撤収し終える
小屋前で靴紐を結んでいると、小屋泊の方が富士山を観に外に出てくる
← 今朝の山食【キムチクッパ】
 最近の一般ドライフードは美味しい
 リゾット、スープ春雨やパスタ 種類も、味も沢山ある
 量も朝食には丁度よいボリュームだし、なにより手軽に入手しやすい
 容器を剥いて携帯すれば立派な山食だ
 
大門沢小屋 1760m 気象;晴 無風 気温;14℃(04:30)
05:00出立
ここから稜線までは、まだ標高差1000m以上ある
小屋番のヒゲおじさんに挨拶して早めに出立
朝一から結構な勾配だ 『焦らずじっくり登ろう』

右手の沢側は何箇所か崩落している 周囲にも多くの崩落が見られる
この辺はどんどん地形が変わっているようだ

やっと稜線が見えてきた

崩落地帯
 45分 
河原の尾根 2075m 気象;晴 無風 気温;19℃
05:45~05:50
沢を丸太橋で渡り、崩れた尾根を回り込む
さらに小さな沢を横断し しばらく歩くと、開けた広い河原に出る
この崩落沢と本沢の間の尾根に取り付く
梅雨明けとおもえる快晴 後方に富士山がよく見える
河原の尾根は、最初は低い木々で足元にはお花が咲く
だが、登りはじめると すぐに再び針葉樹帯となり斜度が増す
ここにDocomo使用可能のカンバンが立つ  -movaのみFOMAはダメ-

【ゴゼンタチバナ】

【タカネグンナイフウロウ】

南アルプスの森林限界は高い
白峰三山縦走路  通常、登山ガイド等では広河原から入り、奈良田に降りるコースで紹介されている 交通の便、写真家/白簱史朗氏の足跡
なにより広河原の標高1530m 奈良田830m 『その差700m』
身にしみながら登る
 1時間10分
森林限界 2650m 気象;晴 無風 気温;16℃
07:00~07:10

見上げるお花畑の先に青空
2400m地点を越すと、いよいよ勾配が増してくる
まだまだ背の高い針葉樹林内をジグザグに登る
露根や岩が沢山あるが、細かく蛇行しながら順調に詰めて行く
森林限界が近いことを告げる草の広場で小休憩 『もうすぐカナ』
狭い赤茶の崩落帯を横断して小岩峰の基部に入る
急に風が強くなる 森林限界を越えた
雪が残る小石峰基部に旧道は崩れているため、新道の案内がある 従う
視界が開け日当たりがよくなったので花が多くなる
『もうちょっと』 とお花畑の先の青空を見上げる

【コイワカガミ】

【シナノキンバイ】と甲虫

【ヤツガタケタンポポ】

【キバナシャクナゲ】

【ツマトリソウ】

 1時間10分
大門沢下降点 2825m 気象;晴 西風 やや強 気温;22℃
08:20~08:35
FOMA
『登った~』 稜線に着く まるで頂上に着いたかのようにうれしい
大門沢小屋から3時間半 昨日の奈良田からの時間を足すと7時間30分以上
テント担ぎでは長かった
『白峰三山を北上せよ』 自分のアマノジャクさを笑う
鐘が建つ場所は下降点と名が付くが 無論、自分の稜線歩きはここからだ

気温は高いが風が冷たい フリースを羽織って稜線を歩き出す

稜線と言っても、いたるところに凹状地形が点在し、複雑な地形
細かく起伏するガレた岩稜を東側を捲きながら農鳥岳をめざす
大きな雪渓の周りには色とりどりの花が咲いている

鐘塔が立つ

2946mピーク

複雑な地形を行く

【イワベンケイ】

【ショウジョバカマ】

【イワヒゲ】

【アオノツガザクラ】

【イワウメ】

【タカネヤハズハハコ】
花々に見とれ、すぐ立ち止まる
農鳥岳取り付き部ですれちがったお兄さんが 「この先のお花畑はもっとすごいよ」 とカメラ片手に教えてくれる
主稜線の東を歩いてきた路を西側に乗越場所でマーキーングが薄くなる
 1時間
農鳥岳 3026m 気象;晴 西風 気温;21℃
09:35~09:45
FOMA
農鳥岳(ノウトリダケ) 3000mの山頂に歌碑がある
 【酒のみて 高ねの上に吐く息は 散りて下界の雨となるらん / 大町桂月
この方のコトは知らないが 『きっと豪快な人だったんだろうな』 思わずニヤリとする歌だ
頂上からまた稜線西側をトラバースしながら進む

『すごい すごい』 先ほどのお兄さんが言っていたように、
西側の滝ノ沢はお花に埋め尽くされている
先月歩いた八ヶ岳は、各花々が陣地をきめていたが、ここでは、色とりどりに好き勝手に咲いていて、まるで巨大なごちゃ箱 お花畑街道だ

この谷は大井川の源流部のひとつ 『高嶺の花 溢す露が最初のひと雫』

【オヤマノエンドウ】

花火のような 【ミヤマシオガマ】
お花畑街道は二つピークを越せば西農鳥の頂だ
先で、〔カラカラ〕と落石 『猿だ』
日光の猿達と違いヒトを見て慌てて逃げ出す
『ここは君達のテリトリー 少し邪魔するよ』
しかし猿は警戒声で答える
 50分
西農鳥岳 3050m 気象;晴/ガス 南西風 気温;20℃
10:35~10:45
FOMA
南には「たまには、こっちにもコイよ~」 と南アルプスが延々と続いている
北には これから歩く 間ノ岳に向かう一本の尾根が綺麗に吊られている
そのコル部に農鳥小屋が立つ 『こっちが主頂だろう』 そう思える素敵な場所だ
しかし残念ながら、全体にガスがかかり始め、特にこれからの予定 間ノ岳、北岳の頂部には黒い雲がかかり始めた
しばらく雲の動きを観察 どう控え目に見ても 『今日はもう晴れまい。』
予定変更を考えながら小屋に向かい岩尾根を降りてゆく
 35分
農鳥小屋 2800m 気象;晴/ガス 南西風 気温;21℃


11:20着
 ¥500/張
0556-48-2533
FOMA
農鳥小屋でセルフのコーヒー〈¥200)を頂く
小屋番のおじさんも「今日は天候が悪化するから、北岳に行くのなら早く立ったたほうがエエ」と忠告してくれる
先に北岳から来たおじさんも 「天気が悪かった」と此処での泊まりを決めこむ
予定では今日の幕営は先の北岳山荘。だが、せっかくの稜線歩き 視界が悪くてはつまらないし、なにより今日のカンジでは雷が心配だ 明日も朝イチは晴れるであろう 地図を見ながら今日の不足分を明日に加えてみる
 『まだ昼前だが今日はここまでにしよう ~明日の工程が長くはなるが』
おじさんにテント泊を申し込むと笑顔で迎えてくれた

テント場は稜線の東側に段々状にある 各ブロックは平地でも広め、設営に役立つ手ごろな大石もすぐにある
周囲には多くの花が咲く素敵な場所だ 今日はここを独り占め

テントを張りながら、今降りてきた農鳥岳を観ながら思う
『なんでこの山を百名山に加えなかったのかしら?』
  -もっとも、【日本百名山 著;深田久弥】の間ノ岳の項に農鳥について頁をさいているが-
サイズはやや小ぶりだが、ココから見る姿は、流れるルンゼとそれに寄り沿うように長く伸びる緑が美しいし、
今日歩いた、お花畑もすばらしかった
時間は沢山ある 間ノ岳のガスはますます濃く、低くなる 農鳥側はまだ明るい こちらをスケッチしよう


鳳凰 観音岳(2840m)
白い部分は残雪ではなく、花崗岩の輝き
 
ちかごろの近代設備が整った山小屋と違い、クラシカル(!?)な装いの小屋だが、
景色もいいし、なにより 『水がうまい』
水場まで下り10分・戻り15分かかるが、整備された道は周囲にも花が沢山咲いているので苦にならない
水場で、あふれ出た冷たい水を〔ガブガブ〕いただく
『まろやかで純』 贅沢にもこの天然水で身体の汗を拭く
テント場に戻ると、小屋番のおじさんも自信をもって薦める
「今日が今年の引き始めなんじゃ どうだ、うめえだろ」  『最高ですよ!』

汲んで来た水でcoffeeを点てスケッチの続きを描く
大門沢ではAM1局しか受信できなかったが、ここはFM数局が入り飽きない
ゆったりとした山生活に身体が対応していく

おじさん自慢の水

【ハクサンチドリ】と【スミレの仲間】

春の花 【ショウジョウバカマ】の花被片

甲府の夜景
高速ではなく山から観る
日が暮れる頃、雷が来た 昨夜より強い雨も降り始める
山の雷はこの世の終焉を想像させるほどの迫力で轟く


3日目 2006/07/15 (sat.)
農鳥小屋~間ノ岳~八本歯~北岳~白根御池~大河原→奈良田
行程;8時間30分  移動;6時間50分
日の出04:30 予想通りの晴天 北岳へ
03:00起床
ふと目が覚めるとテント内が薄明るい 『しまった 寝過ごしたか!』
あわてて時計を見るとまだ03:00
なんてことはない農鳥岳の上に明るい月 外はヘッデンもいらないほど明るい
ほっとして、そのまま行動開始 テントを開ける
ここは稜線クラ部 風が強い日も多いのであろう 小屋も石垣に埋もれるように建てられている 幸い今朝の南風は、心地よい。

昨日は見えなかった間ノ岳の全貌がはっきりとらえられる
朝食を済まる 月明かりに助けられ楽々テントをたたみ、荷を持って小屋前で東の空が明るくなるのを観る
『結果、正しい判断』  おじさんも 『晴れてよかったな~』 と自分のコトのように喜んでくれる レインスーツを着込みウキウキ気分で出立だ
農鳥小屋 2880m 気象;晴 南風 気温;10℃(4:20)
04:30出立
日ノ出~太陽が登りきる間、山や空の色彩が光線の具合で 次々と変化してゆく
何度経験しても息を呑むような時間帯だ
出立したばかりなのに幾度も心奪われ立ち止まる
  『スバラシイ アサガキタ♪』

 近すぎ! 間ノ岳

sexy-violet
農鳥岳のモルゲンロート
向かう間ノ岳はまだ逆光で、今いる南側から見ると、岩だらけの大きな壁がただ立ち塞いでいるだけのように見え、変化に乏しい漠然とした山に見える
『だから間ノ岳(アイノダケ)なんて、味気ない名前なのかしら!?』
幾重にも落ち込んだ動性の正断層 複雑な地形帯を歩きながら想う
東側の稜線に向かう踏後があるが、一般登山道は真直ぐ正面から入る


3075m小広場の手前にある小さな碑に一礼し、頂上を目指す
 1時間05分
間ノ岳 3189m 気象;晴 南風 気温;12℃
05:35~05:50
FOMA
さらに登り詰めると頂上広場の端に着く
ここを左手に進み 残雪を踏めば積岩で盛り上がった本頂上

まだ、だれもいない頂上で展望を満喫
今ここから観得る名山は大そうな数だ まだ登っていない山も沢山ある

北岳、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳そして鳳凰三山はまだ逆光だ
この時間は、朝日を受ける南側;塩見岳方面がよい
なだらかな山姿に見えるが、高みは3000m級ばかり
 やはり南アルプスは重厚だ

間ノ岳 頂上

仙丈ヶ岳 (3033m)

北岳 (3193m)

甲斐駒ヶ岳 (2967m)

岩の花台 【シナノキンバイ】

雪渓を見下ろす【ミヤマオダマキ】
進むにつれ先ほどまで逆光だった北側の山々にも光が当たりだす 道は花々に囲まれれている
予定を半日ずらして正解だ もし昨日 あのまま進んでいたら、この素晴しい景色を観るコトはできずに、
ガスの中をフラストレーションを貯めながら歩いていたことだろう
 45分
中白峰 3055m 気象;晴 南風 気温;11℃
06:35~06:45
大岩の隙間に可憐に花が咲き、グレーの大岩との対比が美しいが、ここまでは 稜線の西側を歩くため、まだ光線が当らずに自分の腕前では綺麗に写してあげられない 残念。
この辺で北岳山荘を立たれた方々と次々と交差する
岩稜線を下り、中白峰へ ここでレインスーツを脱ぎTシャツだ

北岳山荘からの団体さん 好天に気を好くした自分は、写真を撮ってあげる
みなさんも満足笑顔だ
南から望む北岳頂部は三角形 →
 20分 
北岳山荘 2880m 気象;晴 南風 気温;**℃
07:05~07:15
090-4529-4947
FOMA
現在の標高2900m 奈良田に帰るためのバスが出る広河原の標高は約1500m
白峰三山 残る北岳の頂を踏んでも、あと5時間程度
このまま広河原に一気に下山してしまうとバスの時間が微妙だ
バスは12:00台の次は16:00台しかない
山荘のおねいさんに確認するとやはり、臨時バスも乗り合いタクシーも無い
急いで降りれば12:00のバスには間に合うであろうが、駆け足すぎて楽しめない
かといってあまり遅くなると、今日もやって来るであろう雨・雷は避けられない。
『とりあえず八本歯からバットレスを見よう』
北岳直登りの尾根ではなく、 南東斜面を横断するトラバース道を行く

北岳トラバース道

【ミヤマムラサキ】

【ミヤマオダマキ】

【シコタンソウ】

【タカネコウリンカ】の総苞
農鳥岳からのお花畑街道 沢山咲いていた花達
しかし、このトラバース道でしか見ることがなかった花が数種あった キタダケソウはもう終わってしまっているが、
さすが高山植物の宝庫・北岳です

振り返り見た間ノ岳 残雪模様が山を引き立てる 今朝、南から見た容姿とだいぶイメージが異なる
 『深田さん訂正します やはり名山でした』
 45分
トラバース道分岐 2995m 気象;晴 南風 気温;16℃
08:00~08:05
ここから八本歯にピストンする
分岐の岩陰に荷物とストックをデポしてコルに下りてゆく
大岩のヘリを踏み、急角度のハシゴを降りると八本歯ノコル(2875m)に降り立つ
ここからもバットレスを見ることもできるが、せっかくここまで来たのだし、自称岩場好きだし 『八本歯ノ頭に上ろう』
険しいが、無雪なのでガイドロープに従えばあっけなく頭に立つ
 10分
コルまで

コル⇒頭
 8分
八本歯ノ頭 2920m 気象;晴 東風 気温;**℃
08:20~08:30
北岳バットレス
下の大樺沢から見上げた姿は迫力があり、とても勝ち目が無いように思えるが
ここからながめると、正面に見えるので、ほんの少しだが差が縮まった気がする
視界のすべてがバットレス。『満足』

上からみても大樺沢は二俣より上部は雪がまだ多く残るが、数名の方が登ってくるのが確認できる


大樺沢二俣
頭⇒コル
 5分

コルから
 15分
トラバース道分岐 気象;気象;晴 東風 気温;16℃
08:50~09:00
デポした荷を背負い、今回の山行 最後の登りを始める
後で計算した結果 今回、奈良田から赤岳頂上まで、累計で3100mほど登った
  -広河原からの通常の白峰三山縦走なら累計2250mぐらいです-

『暑い』 ワイヤーが張られた滑りやすい急斜面を息を切らせて登る
吊尾根分岐で主稜線と交われば斜度も緩む 北岳頂上まではあと少しだ

苦労を報いてくれるかのように、頂上直下で巨大なお花畑が迎えてくれた

【ハハコヨモギ】

 25分 
北岳 3193m 気象;晴 巻き風 気温;15℃
09:25~09:35
FOMA

3192mではなく3193m 修正済み

新品の三角点

日本で二番目に高い山-北岳
 -富士山が3776m 北岳との標高差は600m近くある 富士山はやはり特別なのかしら?-
『しかし北岳よ 嘆くことは無い 山登りの魅力では、はるかに君の方が上だ 少なくても私はそう思う』
北岳三角点【白根岳】 数日前に102年ぶり一新したそうだ 芦安ファンクラブの方々ご苦労さまです
やがて、東風・西風が巻き始める すぐに薄ガスが出始める
 20分
北岳肩ノ小屋 3010m 気象;晴 巻き風 気温;19℃
09:55~10:10
090-4606-0068
FOMA
肩まで降りて見上げる北岳 頂部はすでにガスがかかりだしてきた
『ギリギリセーフ よかったよかった』
小屋のcoffee〈¥300)を頂いていると、山頂で一緒だったおじさんが降りてきた
おじさんは芦安に戻られるそうだ バスの時間を確認する
 -おじさんは時刻表を丁寧に手帳にまとめてある 『見習わなくちゃ』-
「ギリギリかな」
『おじさんは歩くのが早いから大丈夫ですよ』 お世辞抜きで答える
自分は、もう夕方のバスに乗るつもりなので焦ることは無い

まだ、今日の宿泊者は到着していない

この辺の石が紫色なのはナゼ?
小屋の先は広い尾根を、雲の合間の甲斐駒や仙丈を観ながらが歩く
足元は、まだまだお花畑街道だ

 30分
右俣-草スベリ分岐 2735m 気象;晴 気温;27℃
10:45
小太郎尾根への道を左手に分け、ザレて滑りやすい急坂道で下山開始だ
斜面に広がる黄色の花畑が印象的。
今日から3連休 この辺から、広河原を朝発ちした方々が大勢登ってこられる
待ち時間が多くなるが、先を急がない自分はゆっくり気分
引き換え、登られてくる方々は大変だ 下っている自分ですら汗をかいている
この辺はまだ木々が低いので直の日差し 山頂から来ると異常に暑く感じる
道を左に折れ[草スベリルート]上部の樹林帯へ 日差しは減るが、強烈な青い香りと熱気 『ココハ、アマゾンカ?』  隙間に大樺沢の雪渓が見える

どのルートでも登るのは大変です
草スベリに入ると再び直射 〔ムァ~〕っと湿度が上昇する
今ここを登っている方は、最高のダイエットメニューであろう
(後で、たらふくビールを飲まなければ…)

【イブキトラノオ】

【ミヤマハナシノブ】
 35分
白根御池小屋 2270m 気象;曇り 気温;24℃
11:20~11:30
090-3201-7683
FOMA
小屋手前の池を覗くとおたまじゃくし!
『かわいい~』
改築の終わった小屋
外からだけだが、とてもきれいな小屋だ

ここまでくれば、もう急ぐことは無いのだが 気を緩めないように背の高くなった森をマイペースで下りて行く
 50分
中間地点 1865m 気象;曇り 気温;25℃
12:20~12;25
鳳凰の上を救助ヘリが飛んでいる 『また遭難!? -大事にいたりませんように- 』

2150m以降は急斜度になる そこを、これでもかと人が上がってくる
バス到着のタイミングなのか、降りるほどにある程度まとまってやってくる
登山では通常、登り優先なのだが、中にはすでにバテて、下山の自分に道を譲ってくれる方もいる 『雨が来る前に小屋に着けるかしら? 余計なお世話か』
白根御池小屋~広河原の中間地点というベンチで少し休憩する


さらにドンドコ下って 大樺沢出合の大岩までくれば残り10分少々
道も緩やかになる 登山道に湧き出る沢水でクールダウン

 35分
広河原 1529m 気象;曇り/晴→曇り 気温;26℃
13:00下山
FOMA

広河原山荘
090-2677-0828

『白峰三山北上完了いたしました!』

山の上は、すでにガス雲の中だった
山荘前で休んでいると、先ほどの芦安に戻られるおじさんが早足で降りてきた
「バスに 間に合ったよ~」 吊橋を走っていかれた
自分のバスの時間までは あと3時間ある

さて広河原 今はするコトが無い
山行レポートをまとめたり、アベックの写真を写してあげたり、散策したり…
ネタ切れだ
 こんな時は~ 『昼寝にかぎる。』
吊橋を渡り、プラザから200mほど下ったバス停横の屋根がある場所で
残った山食のパスタをこさえ食し、山荘の販売機で買った缶ビール〈¥450〉を飲みながらザックを枕にゴロン
今頃、平地は30℃以上であろう ここは川沿いで涼しい場所 気持ちよく昼寝できる
ついに雷音が谷間に響き、雨が〔サー〕と降る 『早く降りて正解だ』言い訳しながらウトウト…
16:00 バスの出発時間 土曜日で良かった 平日なら、あと40分待たねばならなかった
乗客は、登山の方だけではなく、アングラーの方も多い
釣果を聞くとフライでイワナが釣れたそうだ 〔ガォーン!〕なごり音無く雷音が轟く 今度は近い
乗り込む延部行きはマイクロバス 立ち客も出るほど満杯になったバスは、文明が無理やり切り開いた
山道をサスをフルボトムさせながら下ってゆく
隣の席の女性の方が「今朝はバス3台出て、荷物は別便のトラックだったのよ」と話してくれる
女性の方は仙丈ヶ岳を日帰りで巡ってきたそうだ
「仙丈からは北岳が堂々と見えた」という 自分は反対に北岳側から『優雅な仙丈』を見た
数時間前、同じ頃に向かい合う山頂で、互いに山見した同士が 今はココで隣どうし 『不思議なもんだ』
  1時間 山交タウンコーチ身延営業所 0556-62-0064
  広河原16:05→17:05奈良田〈¥1,000〉
奈良田 820m 気象;曇り 気温;28℃
17:05戻り
一昨日は車が停まっていなかった、丸山林道出合の駐車場にも沢山の車が停まっていて、乗客のほとんどの方がここで降りる 自分は車を停めてある、すぐ先の奈良田バス停まで乗る
バスを降り、荷物を自分の車に積み込んだら温泉;女帝の湯に直行だ
詳細は
今日は沢山歩いたが、バス待ちの間に昼寝済み 高速事故渋滞もなんのその 真直ぐ自宅へ
 奈良田→南アルプスIC/中部横断道HW→自宅 5時間/約250km〈¥4,700〉

天気図  この山行時の天気図 ;株式会社ウェザーマップ/気象人 のページへリンクさせていただいております
装 備   水タンク:2L 5食+行動食3日分
  テント、3シーズンシュラフ、コンロ(中カートリッジ*1)
  60Lザック(16kg)
  足元 ;軽アイゼン(未使用)
  手元 ;Wストック
反 省 帯電話  自分が現在使用しているのはDocomoのFOMA
山ではmovaはOKでもFOMAは まだNGになることが多い。
今回は奈良田の里ですら圏外… (KDDIのアンテナはあった)
TV電話はもちろん、アプリすら使わない movaに戻そうかな
good 臨機応変  不安定な天候 しかし、山の朝イチは裏切らない 素敵な景色と花々に出会えた
感 想  『白峰三山を北上せよ』
沢木耕太郎氏に引っ掛けたタイトルのだが、自分はこの山に残した想い、果たせなかった夢があるわけではない。
ただなんとなく しいてあげれば 独り山旅なので、狭い稜線の一本道で追い抜かれたり 追い抜いたりするよりも
すれ違う方が旅らしい気がしたのです。
実際には 景観的、体力的にも バスの便もやはり北岳から入山の方がよいのかもしれません。


『はな・はな・はな』 今回の山行で何種類の植物を見ただろう 今が旬の高山植物 『Good timing お花畑街道』

 山の形は色々ある 大地を突き破り生えたような山、氷や雨が彫刻した山、プレート運動により盛り上がった山、
今回の白峰三山は 元々大地の設計図に組み込まれていたかのように重厚だった
しかし、この白峰三山ですら南アルプスのほんの一部でしかない 南アルプスは深いフトコロを有す

 このレポートをまとめている間に、大門沢で丸太橋が大雨のため流され、2日間足止めビバーグされた方々のニュースが入る。 自分が通過した時は、涼しさを呼ぶイイ感じの沢だったのに… 皆さん、無事でなによりでした


【お花畑街道の途中 農鳥岳】
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