07尾瀬 燧ヶ岳と燧裏林道 ;山のもの
2008/03/14 up    
尾瀬 燧ヶ岳と燧裏林道
御池〜広沢田代〜熊沢田代〜燧ヶ岳〜見晴〜温泉小屋
〜三条ノ滝〜燧裏林道〜御池;周遊
2007年 8月 3日(金) 〜 4日(土)
ペア登山 ・ 山小屋利用  /  前泊 + 一泊二日
行程;15時間40分 移動;11時間05分
ワタスゲゆれる夏の尾瀬
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまでも参考としてください
省略記号
は、クリック→ポップアップ画面で拡大します
燧ヶ岳・燧裏林道 平面略図 燧ヶ岳・燧裏林道 高低略図
 自宅→【西那須野塩原/東北HW】→檜枝岐→尾瀬御池駐車場
前夜、福島県側から御池駐車場に入る 夏休み期間だが、平日のため駐車場はガラガラだ。
今夜は車の陰にテントを張って、早々に 『おやすみなさい。』

一日目 2007/08/03 (fri)
御池〜広沢田代〜熊沢田代〜燧ヶ岳〜見晴新道〜温泉小屋
行程;9時間30分 移動;7時間10分
尾瀬御池駐車場 1510m 07:00 出立 気象;晴/曇り 東微風 気温;18℃ Foma不通
日ノ出の時間は青空だったが、朝食を済ます頃になると、厚い雲が広がってきた
 『残念〜』
ラジオによると、心配された台風は日本海側に抜けたが、気圧の谷が居座るようだ。
今回は山小屋利用のため、二人とも軽荷で出立する。
この先、尾瀬ヶ原・見晴までトイレはありません
尾瀬御池駐車場
燧ヶ岳登山道
よいしょ! 御池の駐車場を、まっすぐ抜けて燧裏林道へ すぐに燧ヶ岳への登山道が分岐する。
登山道に入ると、朝イチにしては急な登りを強いられるが、この時期は登山道を飾る花や実があるので、
へこたれること無く足を出せる。
Please click
大葉竹縞蘭の赤熟実
鈴生り【オオバタケシマラン】の実
銀竜草
【ギンリョウソウ】
/ 1時間
広沢田代 1760m 08:00〜08:30(含;移動) 気象;曇り 東風 気温;18℃
汗をぬぐいながら展望の無い樹林帯を小一時間ほど登り続ける
やがて先の木々の背が低く,疎らになった事に気がつけば、すぐに広沢田代が広がる。
尾瀬ヶ原ではないが、湿原・木道・池塘 尾瀬らしい風景だ  樹が遠くなり、風が抜けて気持ちイイ。
ワタスゲをはじめ、多くの湿原植物達が田代を彩っている。
広沢田代 池塘が点在
尾瀬の木道は東京電力が整備しています
風車の羽のようだ
彼女はチングルマの果実が好みと言ふ
Please click
目立つ黄色は【キンコウカ】
サワランは日本固有で1属1種
【サワラン】
ゆれるワタスゲと木道
ワタスゲのワタは果穂と言います
食虫植物【モウセンゴケ】
床は【モウセンゴケ】が密集
青く可愛い花とは対照的 まるでエイリアン
【タテヤマリンドウ】の実
ワタスゲの大群落
Please click
広沢田代の上部は、ワタスゲの大群落でした
美味しそう?
抹茶トリュフ !?
ゆれるワタスゲ達に見送られ、広沢田代を後にする。
再び樹林帯の中、急な登りだが、
この辺りは木階段が整備されている。
箱庭のような広沢田代
見下ろす広沢田代
/ 25分
熊沢田代 1950m 09:00〜09:30(含;移動) 気象;曇り 東風 気温;18℃
あいにくの曇り空とはいえ、熊沢田代は一段と広々としていて気分好し。  休憩ベンチのある池塘目指し足取りも軽い。
熊沢田代に着きました
『素敵な場所!』
虫取草
【イワショウブ】
ムシトリグサの別名どおり、粘着質の
腺毛を持ち、小さい虫は捕まってしまう。
が、食虫植物ではない
ワタスゲ街道
ワタスゲ街道を行く
山頂は霧の中
ベンチで一服しましょう
Please click 以前この名無しの登山道を、燧ヶ岳から下りたことがあった。
その時は、『登るのは大変そう…』と思ったが、
実際登ると、二つの田代が丁度良い休憩ポイントになり、疲労感はありませんでした。
そのときの山行記↓
2005/10 燧ヶ岳(沼山峠〜ナデッ窪〜熊沢田代〜御池)
迷い窪 気象;曇り/霧
残雪 迷い窪の上部には残雪もあった。 しかし今日は、踏跡をトレースすれば軽アイゼンも不要。
山頂が近づくとガスが濃くなる。 まとわり付く霧と這松帯の中を、ぬう様に登って行く。
Please click 針葉樹が多くなってきた
/ 1時間10分
燧ヶ岳 爼ー 2346m 11:00〜11:20 気象;霧 南強風 気温;10℃ Foma不通
爼ー(マナイタグラ)頂上に到着するも、ガスで展望はまったく無い。 尾瀬沼の展望もお預けだ。 そして、台風の名残で風が強い。
気温も一気に下がった。 二人とも風裏に隠れて防寒にレインスーツを着る。
爼ー 頂上の祠 慎重に降りて行きます ハクサンシャクナゲ
燧ヶ岳は双耳峰 もうひとつの頂、柴安ー(シバヤスグラ)に向かい鞍部へ下りて行く。
灌木帯には、濃緑の葉と透明感ある白花の対比も美しく、石楠花が沢山咲いていました。
25分
燧ヶ岳 柴安ー 2356m 11:40〜12:00 気象;霧 南強風 気温;10℃ Foma不通
下って登るアルバイトで、燧ヶ岳の最高峰=柴安ーに到着  一段とガス・風が強くなる。
爼ーには数パーティいらっしゃったが、柴安ーの頂上には二人っきりだ。
ガスは早い速度で流れているが -エンドレス- しばらくは取れそうに無い。
しばし休憩し、見晴新道を下り始めるが、森林限界上の尾根で、この強い風_ 彼女には試練です。
森林限界は2150mぐらい
樹林帯に逃げ込む
頂は霧の中〜
鞍部からも頂は見えない
柴安ー頂上
山頂の風裏で休憩
見晴新道で下ります
風はきらいだぁぁぁ
見晴新道 気象;霧 無風
柴安ーの頂下から、今日の宿泊小屋に直接下りられる温泉小屋道もあるが、山初心者の彼女には歩きにくいと判断し、
見晴新道で尾瀬ヶ原に出ることにしました。
這々の体で逃げ込んだ樹林帯は、嘘のように風が消えた。 樹も揺れずに霧をまとっている。
『静かなもんだ』 結構メジャーな登山道だと思うのだが、今日は見晴新道で1パーティしか出会いませんでした。
とたんに静寂につつまれる
静寂な森中を下りて行く
ミヤマカラマツ
こちらは丸い葉の【ミヤマカラマツ】
尾瀬ヶ原
拠水林の帯が良く判る尾瀬ヶ原
険しい路ではないが、展望が無い樹林帯なので、二人とも飽き気味。 加えて次第に太陽が顔を出し始め、気温上昇_蒸し暑い。 
立ち休みを交えながらダルダルと歩む。
この見晴新道、予想以上に時間がかかった。 特に道が平坦気味になってから、ずいぶんと歩かさせられた気がする。
やれやれ、やっと足元に木道が敷かれだした 見晴も近いようだ…
2時間40分
見晴 1410m 15:20〜15:40 気象;晴 南東風 気温;22℃
見晴は辻。 下田代十字路とも呼び、山小屋が多く並んでいるなので、いきなり人が増え賑やかになる。 毒にも薬にもなります
【ヤマトリカブト】
クマガイソウ
【クマガイソウ】に【ヒョウモン(蝶)】
コバギボウシ
【コバギボウシ】は日光浴好きのようだ
アッチコッチ
これぞ道草ですね
見晴に到着後、名通りに晴れてきた。 先ほど濃霧と強風の中、頂に立った燧ヶ岳も、恨めしいほど爽やかな青空を背にそびえている。
さっき、あそこに居た!
見晴からの燧ヶ岳
尾瀬ヶ原を行く
気持ちいい〜
Please click
渡る風が緑の波を立てる
見晴から宿泊小屋までは距離も近く平坦だ。 が、青空と海のようにピカピカ輝く草原、そして見慣れぬ可憐な花達に目を奪われ、
ナカナカ先に進めない。
2007年度 尾瀬ヶ原橋は架け替えのため不通でした
30分
温泉小屋 1420m 16:30 着 気象;晴/曇り 南風 気温;20℃ Foma不通
結局、16:00を過ぎて小屋に到着。
尾瀬の山小屋は、どこもきれいで安心だ。 通常は相部屋とは言え、完全予約制なのでスシ詰めになる不快は無い。
しかも、温泉小屋は名の通りにも入れる! 石鹸・シャンプーの類は使えません
温泉小屋
赤田代の端に建つ温泉小屋
今日の夕食
小屋の夕食
小屋前でのんびり
食後のひと時
山で温泉 ス・テ・キ
平日はも貸切状態だ
山ではテント&レトルト食が当たり前の自分にとっては、充分な夕食。
彼女も「お味噌汁おいしい!」と、十分満足顔だ。


二日目 08/04 (sat)
温泉小屋〜三条ノ滝〜裏燧林道〜御池
行程;5時間40分 移動;3時間55分
温泉小屋 1420m 07:40 出立 気象;曇り 無風 気温;17℃ Foma不通
06:00起床 どうやら今日も快晴とはいかないようだ。  至仏山も雲に隠れ気味。
朝食
山菜がおいしい朝食
忙しそうです
僕も朝ごはん
私は休憩
尾瀬のアザミは大きい
花が咲く頃に葉(歯)が無くなるので姥といふ
大きな【オオウバユリ】に見送られて
今日は半日の工程なので小屋で、またまたおいしい朝食を戴き、小屋前でcoffeeを点ててから、ノンビリと出立する。
元湯山荘の先、御池駐車場までトイレはありません
/ 15分
平滑ノ滝 1340m 07:55〜08:00 気象;曇り 無風 気温;16℃
滝を見物するため、段吉新道ではなく只見川の谷に下りて行く。
所々急な箇所もあるが、都度クサリが張られているので危険な箇所は無い。 小屋から15分ほどで最初に平滑ノ滝(ヒラナメノタキ)だ。
平滑ノ滝は、崖上から谷底を見下ろすように眺める。 まるで洗濯板のようで、『これで滝なの?』と思うほど平らに見える。
長さ500mの一枚岩を底とする滝の落差は70m 滝下真近で眺めれば、もっと滝らしい滝なのかもしれない。
ペア登山ならではの写真 見下ろす平滑ノ滝
滑らかな平滑ノ滝
ソ(岨)は切り立つ崖地のこと
【ソバナ】を下から
只見川→阿賀川となる
この水も,やがて日本海へ
/ 50分
三条ノ滝 1230m 08:50〜09:30 気象;曇り 無風 気温;19℃
下手にクサリに頼らない方がイイ
凄い急角度の木段
三条ノ滝
三条ノ滝
落差100m以上あります
クサリが張られた急な木段を降りてゆくと、〔ドーッ〕と谷に響きわたる滝音。
尾瀬沼・尾瀬ヶ原など、尾瀬の流れる水の唯一の出口であり、
さきほど平滑ノ滝と違い、三条ノ滝は迫力の瀑布だ。
三条に例えられる名も、一昨日の雨の影響で、いつもより筋が多い。
Please click 龍だ〜
対岸の展望台から眺める
『滝は龍…』 彼女は笛を奉じる 笛の音は滝の流れに絡み、天に昇る
30分
兎田代 1420m 10:00〜10:10 気象;曇り/晴 無風 気温;20℃
ファイト〜 兎田代までは、本日唯一の急登をコナサナケレバならない。
只見の谷を這い出て、小さい湿原で一休み。
やれやれ 兎田代にて
燧裏林道 気象;曇り/晴 無風
ギガな広葉樹 この先上田代まで、地図上では緩い登りなのだが、歩くと勾配はほとんど感じない ヤスのような針葉樹
Please click
樹齢何百年のブナの大木の森を抜けると、〔ぽっ〕と小さな湿原が開ける。
マクロなモウセンゴケの世界と、ギガな大樹の世界が交互に現れ、
ちょっとガリバー気分。
55分
シボ沢大橋 1500m 11:05〜11:10 気象;曇り/晴 無風 気温;21℃
シボ沢大橋 そんな自然路の途中で、目立つ人工物が【シボ沢大橋】
深い山中に、突然 立派な橋が現れてびっくりする。
シボ沢の源頭部は、昨日登った燧ヶ岳の急峻な北斜面全体だ。
下流ほど狭い漏斗状の沢なので、土石流が発生しやすく、沢は危険地帯
橋から沢を見下ろすと、大岩がゴロゴロして荒れている。

今日は土曜日。 朝に御池を出立されたであろう方々と、この辺りで多くすれ違いました。
50分
横田代 1620m 12:00〜12:10 気象;曇り/晴 無風 気温;21℃
段々畑のように池塘がある横田代
池塘の周囲にはナルシストな花達が集まってくる
賑やかな池塘
Please click Please click
のんびり〜
樹・山・雲が池塘に映りこみ
5分
上田代 1605m 12:15〜12:50 気象;曇り/晴 東風 気温;20℃
今度は広い湿原が広がった ここは上田代。
西の平ヶ岳は雲の中だったが、北東の会津駒が伸びやかに望めた。 此処まで来れば、もう御池の駐車場も近い。
彼女はベンチに座って、尾瀬との別れを惜しむように、しばらく笛を吹く。 
珍しいのかな?
白い【ギボウシ】
広い傾斜湿原 上田代 緑の湿原では、とても目立ちます
今回、最後の花は
鮮やかな【コオニユリ】でした
先の姫田代から木道の坂をS字に下れば、左手に御池田代が広がっている。 その先が昨日燧ヶ岳に向かった分岐点となる。  
/ 30分
尾瀬御池駐車場 1510m 13:20 着 気象;曇り/晴 東風 気温;22℃ Foma不通
到着〜 無事に還ってきました
まだ時間が早いので檜枝岐を散策しましょう。
忘れずに
御池の駐車場は、通常¥1,000/回だが、
尾瀬の山小屋に宿泊した場合、駐車料金が無料になるメダルを
小屋で貰えます
檜枝岐
山を下り檜枝岐散策へ。 最初は燧ヶ岳に登ってきたのだからと、燧の湯でサッパリ!
毎度お世話になります
燧の湯
鎮守神社で竜笛を吹く
無事下山の奉納演奏
檜枝岐の石仏
夏の檜枝岐
彼女は歌舞伎が行われる鎮守神社が気に入ったようだ。 ここは野外舞台+燧と駒の社なので、雅楽にはぴったりの場所なのであろう。
参道のバンバ様には、新たに大きなステンレス製のピカピカな握り鋏と、鉄製でサビサビ+クサリで縛られた握り鋏が供えられていた。
食は檜枝岐に来たなら、当然裁ち蕎麦なので、丸屋で「やっぱり旨い!」と舌鼓する。 彼女はエゴマの薬味が気に入り、お土産に大量購入。
短時間だが、山深い邑を堪能してから帰路に着いた。
縁切り&縁結び
バンバ様も観光の目玉!?
檜枝岐の裁ち蕎麦
今日は丸屋で頂きます
尾瀬は霧の彼方に
山煙・川煙に見送られて
檜枝岐散策の他のレポート 楽しきもの 06檜枝岐奉納歌舞伎
 檜枝岐→【西那須野塩原/東北HW】→自宅

天気図  この山行時の天気図 ;株式会社ウェザーマップ/気象人 のページへリンクさせていただいております
装 備   水:1.5Lハイドロレーションシステム + 2.0L   各:2食+行動食2日分
  ツエルト、コンロ(中カートリッジ*1)
  ♂;30Lザック(8.0kg) ♀;15Lザック(4.0kg)
反 省 見晴新道 予想した以上に時間がかかった ほとんど深い樹林帯の中を行くので、
下りなのに飽きてしまった。
good ワタスゲ 広沢田代でワタスゲの大群落に出会えて嬉しい。
燧裏林道 立派なブナの樹や針葉樹の森、少しずつ違いがある田代と、そこで育つ植物達_
変化があるトレールルートを楽しく歩けました。
感 想 2005年11月 ラムサール条約指定
2007年 8月 日光国立公園から分割され、独立した尾瀬国立公園
尾瀬の自然資源から利益を得る人々と自然保護をうったえる人々_大切なモノは同じはずだ。
失われた自然は、人の手では簡単には戻せない。


クリックでこのページのトップへ戻ります

2007山のもの へ
山のものトップ へ
海のものとも山のものとも へ

Copyright(C)2007 Taro.S All Right Reserved.