山のもの ;海のものとも山のものとも
2007/01/25 up
奥白根山 (日光白根山)
丸沼高原スキー場〜奥白根山 ;周遊
2007年 1月20日(土)
 単独.・(車中泊+)1day・山スキー 行程7時間50分 [移動時間 6時間50分]
深い森中の登り、噴火を記憶する頂、氷のルンゼ、そして粉雪の谷へ
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまでも参考としてください
省略記号図
枠の写真はクリックで拡大します
文字が安定しない場合は、お手数ですがフォントサイズを【中】としてください
 自宅→【沼田/関越HW】→丸沼高原スキー場 4時間30分/約240km〈¥3,550 ETC〉
 今回のベースは、丸沼高原スキー場 冬のR120最奥部だ 夜間のため、高速を降りた後、淡々と山道を運転する
 スキー場の手前になるとアイスバーンも出てくる 01:00にスキー場の駐車場に入る
奥白根山 平面略図 奥白根山 高低略図
スキー場駐車場 1380m 気象;晴 無風 気温;-12℃ (06:00)
07:00起床
08:30出
FOMA
これぞ放射冷却 早朝は車泊でもかなり冷え込んだ 『まぁ、その分 天気が良いというコトだ』
そして今日は土曜日 スキー場は稼ぎ時
若者が多いが、小さな子供を連れたファミリー層も多い スキー場のレンタル受付には長い列ができている
登山届けは、リフト券売り場で受け取ってくれる
ゴンドラ 15分
ゲレンデトップ 2000m 気象;晴 無風 気温;-5℃ 雪;アシクビPowder
08:45〜08:50入山
定刻08:30より早く運行した日光白根山ロープウェーは、眠気眼の自分を容易に標高2000mまで運んでくれる
降りると真正面に奥白根山が、朝の逆光線の中にそびえている
火山性独立峰 ごつごつした岩の頂部 中央に刻まれた噴火の名残、御釜大割れ
まるで、富士山のどっしりとした裾に、穂高の荒々しい岩頂を載せたような構えだ
『頑固親爺三人衆みたい』
ちょっとビビッった気持ちを払拭し、今日のルートを検め視る

今日は北側の座禅山からのルートを往復するつもりでいたが、
『天気好く、風が無い これなら板を担いでも煽られることもなさそうだな』
予定変更 『南から登って、北側に降りる周回コースにしてみましょう』
on click!
入山準備をしていた山スキーのおじさんパーティに挨拶をし、
先に二荒山神社の鳥居をくぐる 道には薄いトレースがあるだけだ
最初は散策路として整備された樹林帯の中を行く平坦な路 雪は軽く、足首深さのラッセルで楽々進行する 不動岩の先は道幅が狭くなり、トレースも消えた
ゲレンデを離れると、すぐに静寂に出会える
これだけ鳥居が出ている やはり今シーズンは雪が少ない
今回のスタート&ゴール 二荒神社の鳥居
二荒は(フタラ)だが、弘法大師が(ニコウ)と音読みし日光の語源となった
シール

35分
七色平 2120m 気象;晴 気温;-6℃ 雪;スネPowde
09:25〜09:30
血ノ池の分岐を過ぎると、ここまで平坦だった路も、一旦斜度が増す
スネ深さの雪でキックタンーンを繰り返す 雪が軽いのが何よりだ
再び平地の樹林帯に出る この辺りを七色平と呼ぶそうだ
もっと湿源のような箇所かと思っていたが、背の高い針葉樹が多い
大日如来の石像も雪に埋まっているようだ

今回のハイクアップ、森林限界まで深い森中を進むため展望は望めない が、時々 一際白く輝く尾瀬・至仏山が見えるのが嬉しい
on click!
夏道 捲き道 ****m 気象;晴 気温;**℃ 雪;スネPowder
シール
()  1時間50分
このルートは無雪期の登山路 山裾を大きく右に捲く 当然ながら 右手が谷の片斜面が、頑固なほど続く
2165m・2215mで谷を横断する箇所もあるが、雪が軟らかいので緊張は無い
以前使われていた登山道も分岐するが、「通行止」のカンバンが掲示されている
“頑固親爺”はナカナカ標高を稼がせてくれない
かと思えば、狭い路での急登りが現れ、キックタンーンをトレーニングのように繰り返す
こういった登りは、雪が無くても、あまり好みでは無い ましてや山スキーではなおさらだ…
さきほどゲレンデトップで支度していたパーティが追いついてきた
これで水平に写したんのですが…
結構な片斜面で谷を横断
今回、何度キックターンしたのかしら?
キックターン強化中!
「まだまだ若いものにゃ〜」 『すいません、見かけほど若くナイもんで…』
現役バリバリのお二人です
途中、自分のライン取りが悪く、吹き溜まりに捕まっている間に、おじさん御二人が先行 ラッセルを代わってくれた
平日・単独入山が多い自分 他の方の山スキーというのを、あまり見た事がない
『登り方を勉強させてもらおう』 おじさん達の登り方は、慎重でスムーズでスマートだ
比べ、自分は“がむしゃら”に登っていて 『無駄な体力を消費しているなぁ』と想った
2375m地点 2375m 気象;晴 気温;-2℃ 雪;スネPowder
11:20〜11:25 御二人は、後からツボ足で来る仲間がいるため、ここで大休憩に入る
お互いにラッセルの礼を交わし、独り頂上に向かう ここからは正面に高い場所を据、気分も良い
木々も低く、まばらになってきた 足元の雪もだいぶ硬くなってきたが、クトーが利き登りやすい
シール+クトー
20分
森林限界 2420m 気象;晴/曇り 南東風 気温;-6℃ 雪;Ice
11:55
岩と枯立木が目立ち始めると、庭園のような広場に出る
奥白根山の頂が、スキー場から観た“頑固親爺”とは違う、優雅なGentlemanの姿を披露してくれる
森林限界を超えたので少し風が出てきたが、気にするほどではない
これなら、板を背負って山越できる
本来は風が強い場所なんでしょうね
奥白根山 頂部 中央の雪渓沿いを登った
おぅ! 南風だ
on click!
シール+クトー
15分
2470m地点 2470m 気象;晴 南東風 気温;-10℃ 雪;Ice
12:10〜12:20
いくら風が弱いとは言え、できるだけ板は担ぎたくはナイ
クトーのお蔭で2470m地点まで、板を履いたまま登ってこれた
 『あと100mか』
丁度、平たい岩が顔を出していたので、そこでアイゼンに履き替えた
この雪渓を滑るのも面白そうだ
登った雪渓は氷では無く、充分スキーで滑れるレベルのアイスだった
向かいは錫ヶ岳(スズガタケ)
アイゼン+ピッケル
15分
南峰 2565m 気象;晴 南東風 気温;-8℃ 雪;Ice & Rock
12:35
『登頂!』 雪渓を登りきれば、今朝 下から見て 『びびった』 頑固親爺の頂だ やっぱりうれしい
奥白根山の頂部は、何度も繰り返された噴火の記憶を留めるように、いたる箇所に小山ほどの凹凸のある複雑な地形が広がっている
登ってきた雪渓源頭部、右の小山の頂に白根権現の小祠がある
祠に一礼し、噴火を記憶する穴に降りる
on click! 白根は白峰 そして、風が強いと言うことデス
踏跡が凸に残る
それだけ雪が軽いのだ
アイゼン+ピッケル
10分
日光白根山 2578m 気象;晴 西風微風 気温;-8℃ 雪;Ice & Rock
12:45〜13:00
FOMA
Ice & Rock 氷雪と岩のミックスを登れば、標識カンバンが立つ奥白根山の最高地点
“頑固親爺”の頭に雪は無い
上から見下ろす五色沼は、冬は白一色だ

中禅寺湖、戦場ヶ原、男体山を筆頭に日光の山も箱庭のように見える
on click! 頂上です

太郎山〜女峰山〜真名子山〜男体山〜中禅寺湖
ゲレンデトップに建っていた二荒山神社は名前の通り、男体山(二荒山)を御神体と祭る神社
本宮は日光東照宮の隣 奥白根山は関東以北最高峰なので、男体山より高いし、山姿も個人的には、はるかに神々しいと思うのだが、金精の道路ができる以前は、この辺りはヒトの地ではなかった 中禅寺湖辺りからでも、奥白根山は頂が僅に見得る程度なので、上州側からも、日光側からも最奥の此の地で、ヒト知れず荒々しい神々しさを備えていた奥白根山 孤高の山だったのであろう
アイゼン+ピッケル
10分
北峰 2575m 気象;快晴 西風微風 気温;-7℃ 雪;Hard  ice & Rock
13:10〜13:25
最高点から、再び火口跡を越え、竈(カマド)のような三ツ岩がある北峰へ
こちら側の展望もすばらしい 尾瀬、上越境、南東北までの山並が広がる
自分が判らない山が幾つもそびえていた
on click!
北の頑固親爺
奥白根山 北ノ頂
真中の頑固親爺
北峰側から見る本峰
本当に複雑な地形の頂だ
下山開始 尖岩までは凍ってはいるものの、斜度は緩く、板を背負っていても谷を正面にして下っていける
『風が無くって、ほんとうによかった!』
尖岩を回り込みルンゼに入る 日陰のルンゼ内は〔ガッチ ガチ〕の氷壁だ
右の尖岩に向かいます 頑固親爺の××頭デス
〔テッカテカ〕
on click!
時々、自分の刻んだアイゼンの穴を手がかりとする支持になる
ビレイか、もう一本ピッケルがほしいな〜』
ぼやきながら、氷結ルンゼを慎重に降る
Hard ice
幾ら蹴っても、アイゼンのフロントしか刺さりません
無事に降りれば『楽しかった〜』と言える
中央のルンゼを降りてきた
アイゼン+ピッケル

35分
ルンゼ下 2480m 気象;快晴 西風微風 気温;-9℃ 雪;Ice→Powder
14:00
氷結ルンゼを抜ければ斜度は緩む
こちら側も、最近は誰も入っていないようで、明確なトレースは無い
まだ、雪は固目だが、スキーができるレベルになった
『さて、どうしましょう』 板にシールは貼ったままだ
下山のルートは、座禅山を抜けるコースではなく、今は使われなくなった七色平に直接出る谷ルートを滑ろうと想う
『おそらく、下部の散策路で再びシールが必要になるであろう』
しばらくそのままツボ足で下る 右下の弥陀ヶ池(ミダガイケ)が馬頭形に見える
座禅山と弥陀ヶ池
アイゼン+ピッケル
20分
谷へ 2365m 気象;快晴 無風 気温;-6℃ 雪;スネPowder
14:20〜14:30
座禅山とのコルに至る前に、左側の谷に滑りこめそうな地形になった
雪は軽く、すでにツボ足では股まで潜る これならエッジは必要無い
シールを貼ったまま板を履き、谷に滑り込む

広かった谷の入り口も、すぐに幅狭くなって木々も増えてくる
ガンガンと滑るには狭すぎる谷だが、シール貼りの板で、スネ深さの粉雪
自分には、これで丁度スピードを抑えられ、あんばいが好い

ルートは『低い方 低い方』でいいし、木々に登山道の名残のマーキングもある
トーン トーン トーン〕とゆっくり上下運動 このリズムで、ふかふか&さらさらな雪を滑るのは気持ちいい
そろそろ滑りますか!
左の谷に入ります
ふかふかです
powder on powder !
ノートラックです
まだまだ続く
シール
20分
七色平 2115m 気象;晴 気温;-4℃ 雪;スネPowder
14:50〜15:00
斜度が無くなり、歩かねばならなくなると、すぐに正面の小山にぶつかり、
散策路らしい箇所に出た
この辺も、誰も入っていないようだ ふみ後も、マーキングも無い
この散策エリア、噴火か溶岩のため、複雑な地形 一目地図を見ただけでは、高低が解りずらい 良く読んで確認し、右に滑って行く

すぐに木の幹に赤く殴り書きされた「ゴンドラこっち」の文字があった
ここが七色平の北分岐のようだ
指示どうり左に折れた後も、全体的には下りながら深い樹林帯を行く
散策路は深い森
シール
20分
展望台コース分岐 2000m 気象;晴 気温;**℃ 雪;Trace
15:20
串焼きみたいでしょ 展望台への分岐点 この先はスノーシュートレースがある
散策路の北側から南側に出るためには、間にある小さい尾根を越さなければならない
展望台の表示板に導かれ、尾根を登る
しかし『どこに展望台があるの?
』 周りは相変わらず高い樹林で展望は無い
結局、展望台がわからないまま尾根を越え、今朝登った路に合さる
朝と違い、沢山のトレースが着いた路をスキー場に向かい滑る
雪のシシュ・ケバブ
シール

20分
ゲレンデトップ 2000m 気象;快晴 無風 気温;-2℃ 雪;Trace
15:40〜16:00
神社の赤い鳥居がゴールゲート
もう、ロープウェーは本日最後のお客さんを運んでいるようだ
店じまいの準備を進めるパトロールの方が、下山した自分に山の状態を尋ねてきた

雲もすっかり無くなり、傾いた太陽が、奥白根山を一段と美しく見せてくれている
今日歩いたルートを観ていると 『楽しかった』と思った 頑固親爺が少し笑った気がした
戻ってきました! なんか、朝と違うじゃん!
上州で養蚕が盛んだったその昔、
この山に新繭から採取した糸を奉納したと言ふ
on click!
スキー
20分
登山者駐車場 1380m 気象;快晴 無風 気温;0℃ 雪;ゲレンデ
16:20戻り
やっとシールを剥し、ゲレンデを滑る
アイゼンのフロント爪を使った後のふくらはぎは、もうパンパンだ
それでも誰も居ないコブ斜面が在ると、ダメ押しするように滑った
ゲレンデを滑っていた方々も、そろそろ帰り支度の時間だ
『見ちゃうとね〜 つい...』
白根温泉 薬師之湯
火山成りの山がもたらす最高の恵みは、やはり温泉
スキー場を少し下った道沿いに、薬師之湯がある 掛け流しの天然温泉だ
幸い、単独の自分は早めにスキー場を出発できたので、土曜の夕方の割には空いている
温泉の成分によるためか、底の石が黒光りしている露天風呂 熱めの湯が気持ちいい
充分に温まった頃、お客さんが増えてくる 併設されている食堂で名物の“温泉たまご蕎麦”を食べる
注意;備え付けのシャンプーはありません 温泉玉子も海外にはナイのだろうなぁ 蕎麦湯をそのままツユとしていて、結構美味しい
 土曜の好天日だったのだが、路面に雪が無いためか、スキー人口が減ったせいか、R120は大渋滞も無く スムーズに沼田に出られた
  -1箇所、尾瀬からの路が合わさる箇所で片側通行の工事アリ-
 今日は足利(栃木県)泊なので、そのまま下路を行く
翌日は足利のモダンレトロな建物を巡りました 楽しきもの ;足利 モダンレトロな建物へ
天気図  この山行時の天気図 ;株式会社ウェザーマップ/気象人 のページへリンクさせていただいております
装 備   水 - 1.0L
   1食+行動食1日分 (食は未使用)
  ツエルト、コンロ(中カートリッジ*1)、シャベル
  30Lザック(8kg)
  足元 ;山スキーセット+兼用靴 or アイゼン
  手元 ;Wストック or
ピッケル
反省点 がむしゃら登り どうやら、自分は“がむしゃら”に登っているようです
板先をすぐに高いほうに向けたがり、無駄な体力を使っているようです
こういったコトは技術的反省ではなく、性格によるものなので、ナカナカ直らないカモ…
good 山スキー 出かける前に調べたトコロによると「奥白根山は山スキー向きではナイ」との評判だった
しかし今回、雪質に恵まれ、自分なりに結構滑る事ができた
また、行動時間をスキー場が開いている時間として、自分の能力を照らし合わせてみると、今回のルートを日帰りで周るには、恵まれた天候と&山スキーの機動力が絶対条件だったはずだ
感 想  以前は雪山にアプローチする事が主目的であった山スキー それが道路が整備され、スキー場が増えた現在、山スキーの傾向は滑る事に重きが置かれ、道具もそれに合った物が多い
しかし自分は、今回のように 山スキー + 雪山登山と、状況に合わせたコンビネーション雪山行が好きです。

 奥白根山には日光側からのクラッシックルートも有る
山頂から自分が見た限り、こちらの方が山スキー向きかもしれない 機会があれば 『ぜひ!』
クリックでこのページのトップへ戻ります

2007山のもの へ
山のものトップ
海のものとも山のものともトップ

Copyright(C)2007 Taro.S All Right Reserved.