山のもの ;海のものとも山のものとも
2006/10/24 up    
北アルプス・南部
槍見温泉~クリヤ谷~笠ヶ岳~抜戸岳~鏡平~小池新道~左俣林道~新穂高温泉
2006/10/12(thu.)~13(fri.)
 単独.・1泊2日・キャンプ・縦走 行程;17時間45分 移動;14時間40分
『上人さま 笠に雪が・・・』 紅葉のクリヤ谷から初雪の笠へ
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまでも参考としてください
  自宅→【塩尻北/中央HW】→【安房トンネル】→>高山< 5時間半/約320km〈¥5,800・ETC〉
 10/9~10は高山の秋祭、白川郷、そして飛騨古川と巡った
詳細は
  予定では西穂の稜線を歩く心算だったが、自宅を出る際に【北アルプス稜線吹雪 遭難事故相次ぐ】のニュースを聞いていた
 降雪から3日たった雪量を、遠目で確認するため安房峠に向かう
 穂高岳の稜線は、かなり雪が付いている 『美しい... だが、アノ状態では自分の能力では無理だ』
 『温泉にでも入って別の山行を考えよう』  あきらめて平湯に戻ると、雲の合間に笠ヶ岳が垣間見えた 頂の雪は少ない
 新穂高のビジターセンターで確認すると、「笠ヶ岳 稜線の積雪15cm」のインフォメーション。 ターゲットは定まった

金色の安房峠

穂高の吊尾根

雲の合間に笠ヶ岳
  しかし、翌日は雨模様 新たな笠ヶ岳プランを立てたり、飛騨の写真を
 コンビニプリントしてスケッチしたりと、里待機
  夕方、雨もあがり早目に新穂高の温泉に戻る
 途中、栃尾の共同露天風呂に浸かるが、以前と違い細かい注意書きが多い
 これは管理している方々の責任ではなく、利用させてもらう方の問題だ
 こういった日本の【おおらかな優しさ】が失われて行くのを数多く見てきた
 とても残念に思う。
 深山荘前の登山者用駐車場〈無料〉に入り車泊する

これは荒神の足湯
1日目 2006/10/12 (thu.)
槍見温泉登山口~クリヤ谷~大笠西捲き~笠ヶ岳山荘
行程;9時間30分  移動;8時間10分
紅葉のクリヤ谷から雪の笠へ
深山荘 前駐車場 1050m 気象;北風 微風 気温;1℃
05:30出立
FOMA
04:30起床 外気温は-2℃
朝食を済ませ、ガラガラの駐車場を出立する
周りはまだ薄暗い 狭谷に陽が射すのは、もっと後になってからだ
視界が利かない訳ではないが、対車用でシェード内はヘッデンを点し、槍見に向かって下って行く
途中、山に〔ザクッ〕とナイフで切り込みを入れたようなクリヤ谷が見えてくる
V字の奥に錫杖岳(シャクジョウダケ)の岩壁が見える
昔の人は 「笠ヶ岳の渓谷や岩には精霊が住む」と語り継いでいたそうだ
麓の紅葉はまだのようだが、今からあの谷に分け入るのだから 『たまらない』
舗装路
30分
槍見温泉登山口 990m 気象;晴 気温;6℃
06:00入山
“新穂高の湯”の橋を渡り、蒲田川の右岸を少し戻ると、温泉宿の槍見館が建つ
その左手[この先行き止まり]を進むと、なぜか空の電話ボックスがある ここがクリヤ谷の入り口だ
ここに登山届けポストは無い 自分は夕べ、新穂高のビジターセンターに提出した
森中の登山を登り始める さすが北アルプス 標高1000m以下でも岩が多い
1160m地点で左に鋭角に曲がる 右手側はその名通り、穴滝の穴  苔岩が多いその縁を、沿うよう進む

ナゼ電話BOX !?

標識・マーキングはしっかりしている

岩がゴロゴロした登山道
40分
穴滝 渡渉点 1255m 気象;晴 気温;9℃
06:40~06:50
前日の雨で心配だった渡渉も、無事靴を濡らさず渡れた
クリヤ谷の水はとても透明だ 『だからクリヤ谷でしょう!』
独り納得し、流水を触る 雪の影響か気温の影響か、水は結構冷たい

なぜ、秋の花は紫が多い?

渡渉点 飛び石状態で渡れました
1400m辺りで錫杖岳の横顔が見えてくる ロッククライマーには、たまらないフェイスであろう
少し色付きはじめた木々のあいまから貫き出た南の岩壁を見上げる 『お前 かっこいいぜ』
1465m地点には岩壁に向かう踏み跡があった

 錫杖沢 紅葉始まりました

50分
岩小屋 1480m 気象;晴 気温;  6℃
07:40~07:50
小屋と言っても、山小屋がある訳ではなく、僅かな凹みがある黒い大岩の事だ
しかし、これでもビバーグ時には、何も無いよりはるかにいい 実際、誰かが(精霊!?)宿ったササ床があった
岩小屋の前後にも渡渉がある
沢の緩やかな流れを見ながら休憩する
今回は昨日の雨の影響か、登山道にも水が流れている箇所が多い

精霊の水浴び場

岩に根を張る木
これが岩小屋のひさし
20分
1660m~ ****m 気象;快晴 北風微風 気温;14℃
08:10~08:15
1660m辺りから背の高い木々は少なくなり、明るく開けた亜高山的な路になる
太陽が照りつけ、気温も急上昇 防寒のレインスーツを脱ぐ
紅葉の赤も豊に冴え、 あたりは秋らしさでいっぱいだ


ブナの倒木


はたして、どいつが食えるのか

苔の中 マクロの世界

こいつは怪しそうです



朴葉だ!
50分
クリヤの岩小屋 1950m 気象;快晴 気温;16℃
09:05~09:10
FOMA

ここの岩小屋は白い大岩
ここからは笹に覆われた急斜面を、ジグザグに登って行く
斜めに切る箇所の斜度は緩いが、登山道に対し垂直、すなわち斜面と同方向に寝た木が滑りやすい

そして、方向を変える場所は急な登りだ
後方には、穂高岳が見えてきた

 

この笹斜面を登って行く
40分
水場 2060m 気象;快晴 気温;16 ℃
09:50~10:00
『長いな~』 笹の急斜面は、まだまだ続きそうだ そして暑い
水場で休憩する
歩く予定だった、穂高の西をヘリが飛んでいる 物資輸送コースでは無い
おそらく遭難者を探しているのであろう
穂高の雪は、一昨日よりも、はるかに少ない
『あれなら行けたかな』 しかし、おそらく現地は凍てつく岩
遠目に見るより、はるかにハードなコンディションであろう
『それにしても、ここは暑い』 斜度はさらに増してゆく

誰かに似ているカモ
50分
クリヤの頭 捲き 2315m 気象;快晴 北風微風 気温;16℃
10:50~11:10
足元に岩が多くなり高山ぽくなってくるとクリヤの頭
この先の路、斜度は緩むが尾根は細くなり、そろそろ雪もお出ましだ
雪は今日の高温のお蔭で、日陰でもアイスにはなっていない

槍穂の稜線

秋雲を観ながら一服
20分
雷鳥岩 2450m 気象;快晴 北西風 気温;18℃
11:30~11:45
FOMA
雷鳥岩をまわりこむと、今日初めて笠ヶ岳の頂を拝める
頂はグレー色の岩肌に淡い雪化粧 その下はダケカンバの緑と黄紅葉の低木 美しいその姿に惚れる
と、同時にこの先の路の状態が見て取れる 雪と岩のミックスだ 岩が出ている箇所も多そうだ
危険なトラバースも無く、この時間になると雪もだいぶ融けている
アイゼンを選択し、ストック先端のゴムをはずす
稜線に出たので、西よりの風を浴びる 上だけレインを着た
2400mまで一旦下って、登り返す 岩の出ている箇所では靴裏の雪を落とす

雷鳥岩
〔ズボッ〕 積雪の下を雪解け水が流れているため、何度も膝深さまで踏み抜く
2、3日前と思われる下山のトレースが一人分付いている
方向的な頼りになるが、今の雪の状態では、自分の考えで足を出すしかない
しだいに踏み抜け無いポイントが解ってくるが、それでも時々ハズレて 〔ズボッ〕
ずっとのラッセルではないが、登りでこれはかなり体力を消耗し、ペースも落ちる
しかし、まだ時間的にも、天候的にも余裕があるため 『焦らない、焦らない』

雪の登山道

もぐる×2

西側を捲きながらセンターへ
軽アイゼン
2時間20分
南西尾根出合 2750m 気象;快晴 北西風 気温;10℃
14:05~14:10
2485mから大きくS字を描くように登り返す この辺は、かなり〔ズボッ〕だ
しかし、登るほどに雪は締まってきて登りやすい
南西の尾根が出合のすぐ下に雷鳥がいる 姿はすっかり冬衣だ

笠ヶ岳の名はその頂部の山姿に由来する 綺麗な三角錐の頂部
南西尾根が合う箇所から、大笠=主頂の取り付き部までは斜度も緩む
しかし、そこから大笠への南側直登りルートはスレート瓦状の岩が
積み重なりあっている路
『登りにくそうだ。 とりあえず山荘に行こう』 西斜面に捲き道があるので、
そちらに進む
西側は雪が多いし、結構な片斜面だが、まだ岩の出ている箇所を頼りに進む
少し雪が硬い箇所はキックステップで確実に足場を作る

2005/09/28 穂高から見た笠ヶ岳
この時は市女笠のよう
ここはその左端

こっちは本物デス

笠ヶ岳 主頂

南側直登りルート
軽アイゼン
50分
笠ヶ岳山荘 2815m 気象;快晴 北西風 気温;9℃

15:00着
090-7020-5666
 ¥500/張〉
FOMA
直登したほうが早かったカナ』 ともあれ、山荘に到着した
山荘前で、鏡平からこられたお兄さんが、先に休憩されていた
「鏡平の紅葉は綺麗だよ」 明日、自分が行く場所なので楽しみだ
お話を聞くと、この先の雪も、今日歩いた状況とあまり変わらないようだ
テント泊の手続きをする 小屋番のお兄さんも優しく迎えてくれる
「クリヤから登ってきたなら、大変だったでしょ」
テントを張る前に小笠に登り展望を楽しむ

小笠のケルン

テント場

穂高岳
今日は小屋泊の方は2、3名 テントは自分だけだ
テント場は小屋から登山道を10分ほど降りた場所(2745m)
明日歩く稜線と槍穂の大稜線を正面に観得る、素敵なロケーションだ
テントを張り、寝床を作る
『あとは日没の頃、頂上に登ろう それまで一休み…』
『さむっ... うな~寝過ごした!』 寒さで目覚めた時間は、すでに20:00 熟睡してしまった
悔やみながら夕食を済ます
外は北よりの風が強くなった テントがばたつく 一度外に出て固定ロープを確認する
月光が異常に明るい 固定に使っている岩は地に凍りつきピクリともしない

今度はちゃんと着込んでシュラフに入る
山荘~テント
下り 7分
登り 10分
2日目 ~抜戸岳~秩父平~鏡平~小池新道~左俣林道~新穂高
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