山のもの ;海のものとも山のものとも
2006/11/12 up    
秩父・両神山
納宮~坂本~八丁峠~両神山~清滝~日向大谷~今神~戸蓋峠~間明平~納宮
2006/11/08(wed.)
 単独・1day・周遊 行程;12時間40分 移動;10時間 -内舗装路;3時間40分-

最高の登山日和 でも、素敵なハズの周遊プランは幻…
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまでも参考としてください

 前夜、寄り道しながら秩父に入る
  自宅→R16・17→道の駅・両神山薬師の湯 約190km
起床04:00(外気温;-1℃) 立冬の夜はチョイ寒
本日の日ノ出6:13-日ノ入16:41 秋は陽の恩恵が短い 暗いうちから行動せねば。
秩父の谷奥へと車を走らせる
納宮 400m 気象;晴 無風 気温;0℃
05:10出立
FOMA
車は下山予定の、納宮(オサミヤ)バス停のスペースに停めた
道の反対側には【両神山登山道】のカンバンがある 『よしよし ここが下山口』
 -これが、後で苦労する原因になろうとは-
ここから坂本の登山口までは、約4km 三桁国道らしいR299をトボトボ歩く

今日は十七の月、街灯もあるのでヘッデンも不要なぐらいだ
『ん!?』 50Mほど先の歩道で黒い塊がモゾモゾ゙している
『やべー 子熊だ』 落ちた柿の実を美味しそうに食べている
その姿はぬいぐるみのようで可愛いが、当然その辺に親も居るハズ しばし遠巻きする。
しばらくして国道を車が走る
「ガゥガゥ」親熊が道路まで出てきて威嚇し、すぐに子供と山中に逃げ込んだ
『今の内に…』 いそいで通り抜ける
舗装
 50分
坂本登山口 560m 気象;晴 無風 気温;3℃
06:00~06:10入山
坂本の集落を抜け、右アピンを曲がった先に登山口へのコンクリ打ちの坂道
登ると、浄化施設の前にベンチと登山届けのポストがある
登山届けを投函し、レイン下と上はフリースを脱ぐ もう太陽を感じる明るさだ
浄化施設の左手から登山道となる
最初は河原沢川(すごい名前)の右岸高捲きで進む 690m地点に小さな祠が建ち、その先に湧き水もあった
路が川と同じ高さになっても、しばらくは本流を渡ることも、川から大きく離れることも無い
『昨日の強風カナ?』 色づいた葉は、みな落ちてしまったようだ

R299からの入り口

最初は緩やかな落葉の道

河原沢川
30分
最初の徒渉 750m 気象;晴 無風 気温;3℃
6:40
750m地点で最初の徒渉
ガイドには「右岸を詰める」とあるが、実際は崖崩れのためか、以後数回沢を渡るコトになる

斜度は緩いが、名前通り岩が多い沢 半分沢登りの様相の箇所もある
今日は沢の水は少なく、靴を濡らすことはないが、あやうく落葉の下に隠れた水溜りに入りそうになる
マーキングのテープは 『いちおう有るな』程度 先をよく見て進んでゆく
870m地点の二股を右に入るころ、八丁トンネルに至る林道のガードーレールが見えてくる

二子山

20分
大岩 960m 気象;晴 無風 気温;5℃
07:00~07:10
大岩のベンチで小休止 もう先は稜線が壁のようにそそり立っている
自分がたどり着く場所がどこなのか、地図とコンパスを用いないとよくわからない
複雑に入り組んだ尾根と谷の地形だ
ここからは斜度が増してくる 谷にも日が入りはじめた もう、防寒のレインはいらない
涸れぎみの沢を数度横断
1150mあたりから沢沿いを離れ、さらに斜度が増した九十九折れを登ってゆく
1425m地点で八丁トンネルからの道と合わされば、『もうちょうい』だ

大岩 写っているのは1/3程度

登り 今回最後の水場は1130m地点

1時間05分
八丁峠 1495m 気象;快晴 南微風 気温;8℃
08:15~08:25
FOMA
稜線の八丁峠に出た 坂本の登山口から2時間少々
展望台にはベンチ+テーブルが整備されているが、木が濃く、落葉していても
あまり展望は望めない
一服し、南を捲きながら八丁のフィールドアスレチックに入る
25分
行蔵峠 1605m 気象;快晴 無風 気温;12℃
08:50
両神山-八丁の稜線 痩せ尾根で、連続して現れるクサリ場のup&down 難所と言われる箇所だ
しかし、痩せ尾根とは言え、ほとんどの箇所は、すぐ下にブッシュがあるため緊張度は低い
そして何より今日の好天 ホールドも充分有る クサリを持つことなく楽しく進める
西岳までにも、幾つもピークを越える 今日は、各所で素晴しい展望を得られる

二子山 後ろは御荷鉾の嶺

浅間の雪はまだ

南八ヶ岳
秩父と言えばセメント-両神山の北側辺りが原材料である石灰岩の産地なのだが二子山の裏側には、秩父の町まで約40Kmのベルトコンベアーがある コンベアー自体はほとんど地下道のため目には入らないが、水力で得た電気を運ぶ鉄塔が数多く並んでいたり、切り開かれた林道の線がヒトの領域を主張している
対して、稜線西側は奥秩父らしい、深山々が広がる この先は三国峠 八ヶ岳も大きく見える
→ 2006年 梅雨の合間に歩いた南八ヶ岳の模様 
 10分
西岳 1613m 気象;快晴 無風 気温;14℃
9:00~9:05
両神山を成す主な岩石は、チャートと言う硬い堆積岩だそうです
別名;角岩 解りやすく言うと;火打ち石
実際、石同士をぶつけると火花が飛ぶ
チャートは硬く風化に強いので、ギザギザ稜線や絶壁を形成しやすい
両神山は奥秩父の山だが、成り立ちは西上州の妙義山などに近いのかもしれない

孤高の木


いっぱいあります

ギザギザ稜線
東岳から見る西岳~八丁峠
山頂の横に、小さな竜頭神社の祠がある その先は、R299につながる【尾の内ルート】なのだが、
「警告・危険」のカンバンが立っていた
両神山 名前の由来①
ギザギザ稜線や水量の多い沢が多いためか、 両神山は、元は竜神を祭った山であり
「ヤオガミ=八頭大蛇」「リュウガミヤマ」と呼んでいた これが「リョウカミサン」となったという説
キレット底 1525m 気象;快晴 無風 気温;**℃
西岳と東岳の間にはキレットの切れ込みがある 八丁尾根で一番低い場所
ちいさな岩小屋(1560m)を過ぎると急下降し、壁のような東岳に取り付かなければならないように見える
事実、ほぼトラバース無しで進むのだが、ここまでの難所とさほど変わりは無い

キレット底の東側には風道

『楽しんでます!』

《木 枯れても要をなす》
幾人の人達がこの露根を握ったのだろう
 40分
東岳 1660m 気象;快晴 無風 気温;17℃
9:45~9:55
東岳の頂上にもベンチ+テーブルがある 東側は、ばっさり断崖で危険箇所だ
自分が来た方向から地元の方が来られた
「朝、天気を見てすぐ山に来た」と笑顔
ほんと、今日は昨日の大風がウソのように無風、雲も霞も無い絶好の登山日和だ 北アルプスも穂高から白馬まで、写真以上に良く見える
ここの展望は、主峰の剣ヶ峰よりいいぐらいなので、しばし二人で山見三昧

東側に突き立つ岩壁
東岳を過ぎれば難所は無くなり、緩やかで広めの稜線路となる
『でも、どれが頂上だ?』 このお山は近すぎると、全体像が掴みにくい
15分
両神山 (剣ヶ峰) 1723m 気象;快晴 無風 気温;14℃
10:10~10:35
FOMA
頂上では、日向大谷側から登られたおじさん4名が、今日一番乗りの展望を楽しまれていた
両神山の頂上は狭い 先着おじさん4名と東岳から一緒になった地元の方・あとから登ってこられたカメラをさげた女性・そして自分の計7名で丁度いいあんばいとなる
もう滑れそうな北アルプスを観る。 雪山シーズンも、もうすぐだ 色々なプランが頭をよぎる


北アルプス後立山

ひょっこり富士山
15分 
両神神社 1625m 気象;快晴 無風 気温;17℃
10:50~11:25
水平的尾根を下りてゆくと、両神神社 この深く険しい山中に、立派な社殿がある
今回、下山する側が両神山の正面なので、神社には裏側から失礼するコトになる
両神山 名前の由来②
イザナギ・イザナミを祀っていることから両神の山と言う説

両神山の仏像は、みな優しいお顔でした

こんな山中に見事な彫り
両神山の名物キャラは、なんといっても狛狼だ
かつてニホンオカミがこの奥秩父の食物連鎖の頂点だった時代があるのだろう
しかし、神に仕える者に対して失礼かもしれないが、その姿はなんともユーモラス
社殿前の狛はスマートで滑らかだが、【阿】の方なんてどうみてもSmiley.
参道側の狛にいたっては、三頭身の頭でっかちで、まるでアイボのようだ


やっと頂らしく見えた両神山

明るい路だ
神社の先は、横岩(1540m)辺りまで、やや急な箇所もあるが、都度クサリや露根がある
この時間、今日の好天に誘われて登って来る方が数組いらっしゃった
1435m地点からは産体尾根のセンターを離れるように、南側へなだらかに下って行く
35分
清滝小屋 1295m 気象;快晴 無風 気温;15℃
11:20~12:00
FOMA
残念ながら、竜神清滝に水音はなかった_小屋前でCoffeeを点て休憩する 
時々これから頂上を目指す方が上がってくるだけで、静かなもんだ
どうやら小屋番の方はお留守なようで、代わりに簡単な道案内役となる

声の仏法僧 コノハズク


背の高い木々に囲まれている
薄川沿い ****m 気象;快晴 無風 気温;**℃

山岳信仰の石碑や像が多く見られる

760m地点の不動明王

深い沢沿いの路は、今回登った河原沢川のルートとは違い明るい道だ
日が差し込んだせいもあるだろうが、こちらの木々は、まだ落葉していないので紅葉が彩を添えている
この路も水には困らない
大師がそこいらじゅうで杖を突いたのか、箇所で水が湧いている
45分
会所 700m 気象;快晴 無風 気温;18℃
12:45
産体尾根の先端を回りこむように進み、丸太橋を渡って天武将尾根に乗り換えると、七滝沢コースと出合う
ここからは、赤杉林の中、やや登り気味の水平道で日向大谷に向かう

会所の丸太橋

一位ガタワ(1418m)
25分
日向大谷 665m 気象;快晴 無風 気温;19℃
13:10~13:30
登山道探し
FOMA
弘法大師に一礼し、鳥居をくぐれば両神山の表玄関=日向大谷
民宿;両神山荘が見えてくる
ほとんどの方々は、この辺りまでバスか車で来るのがセオリー
しかし、自分は、あとひとつ尾根を越えなければならない

『どこだ?』下山予定の納宮 カンバンはあるが路が無い
道標によると、両神山荘の前を横切るのだが、その先は行き止まり
しばらくウロウロ、少し藪コギし涸沢を登ったりするも、踏跡も無くよく解らない

一旦、両神山荘まで戻る
民宿の方に聞くと 「楢尾沢峠越えは、もう地元モンでないとようわからんし、時間もかかるで、少し先の林道から行ってトンネルを抜けて登山道に入ったほうがええ」と説明してくれた

路がナイ…
舗装~砂利林道
45分
八日見トンネル 580m 気象;快晴 無風 気温;14℃
14:15~14:40
登山道探し
たしかに15分ほど舗装路を行くと、手持ちの地図には載っていない林道【不動滝線】が分岐している
進むと民宿のおじさんの説明通り、八日見トンネルがあった
両神山 名前の由来③
ヤマトタケルが筑波山でこの山を見つけ、行ってみようと考え、歩き出してから八日目にこの地に着いた
八日間見続け歩いたので 「八日見山(ヨウカミヤマ)」と言う説

八日見トンネル

トンネルを抜けると白石山が見えた

『ココ~?』
全長700mのトンネルを抜け、下山路を探しながらを進むも、望む路は無く、林道終点の工事現場に着いてしまう
工事現場のおじさんに『R299に下りる路は?』と尋ねるが、よく解らないようだ
再び林道をウロウロ 今回、地図は1/20万しか持っていない 
『なんとなくココ』の地形はあったが、造られた林道で尾根は分断され、斜面も切り倒された木と藪に覆われいる
高度計上では、標高差200mも無い 納宮まで1時間で下れるかもしれない。
が、確信と余裕が無ければ、この藪に覆われた急谷を下りる訳にはいかない
教えてくれた両神山荘のおじさんも、悪気があったはずもなく、林道工事が進んで登山道を削ってしまったのかも知れない 『コンナコトモアルサ』 あきらめ、また八日見トンネルを抜け日向大谷側に引き返す
舗装~砂利林道
20分
不動滝線入口 545m 気象;快晴 無風 気温;17℃
15:00
サテト R299側に戻る残された方法は、
①もう一度両神山を登り、来た路を引き返す
②バスで、小鹿野の町まで下り、そこから納宮へ
③さらに6kmほど下尾根の戸蓋峠を越えて納宮へ
①は気分的に嫌だし、時間的にも少々無理がある
②のバスは2時間に一本程度で-今出たばかりだ- R299側はタクシーだろう
③は舗装路を計10kmほど歩くが、歩くコト自体には問題ない
       戸蓋峠の状態と時間(また熊や猪に会いたくはナイ)が不安

『とりあえず③番で。 今神まで歩いてみましょう』
舗装
1時間15分
今神 330m 気象;晴 無風 気温;15℃
16:15
左手に越えなければならない天武将尾根を見上げながら、舗装路を歩き続ける
ノコサレタ時間の関係で、早足気味
舗装路歩きを1時間15分 今神に着いた
さっそく地元のおじさんに戸蓋峠の状態を聞く
「峠までは草刈してあんよ、向こう側も電線工事の人間が整備しておる でも、暗くなっと獣が出んゾ」
『ごもっとも』 おじさんのアドバイス通り日没も近い まして向こう側は北斜面だ

「そこを右に入んだよ」
20分
戸蓋峠 530m 気象;快晴 無風 気温;12℃
16:35
ここからはトレイルランのペースに切り替える
息を切らし、峠までノンストップで駆け登る
峠で一息 見下ろすと、もう街灯が点いたR299が見えた
落ち葉に埋まったジグザグ路を駆け下る
15分
間明平 330.m 気象;晴 無風 気温;10℃
16:50~17:00 河原沢川を飛び越え、5mほどの崖をよじ登ると、ひと様の家の裏庭に出た
『やれやれ、あと舗装路4kmだ』
自販機で買ったスポーツドリンクをがぶ飲みし、フリースを着て歩き出す
丁度、谷間に17:00のチャイムが鳴り響く 周囲はもう薄暗い
三桁国道とは言え、この時間は、まだまだ車が走るので、獣の心配は無いであろう
薄川側もそうだったが、この辺りは興味する地名が多い
集人(アツパト)、日向-日陰、一反地、法師落人(ホッショウド)などなど 歴史や地形を感じながら歩く
舗装
50分
納宮 400m 気象;晴 無風 気温;7℃
17:50着
やっと車に戻れた もう真っ暗。
山を含め、全行程で12時間を越えてしまった 
さすがに足の裏が少し痛い
恨めしく【両神山登山道】のカンバンを見る
しかし、横には新しい登山届けのポストもある
『ほんとは、ちゃんと路があるのカモ? いつか、こちら側から探検してみよう』

薬師の湯
昨晩、車泊した道の駅に戻る ここは【薬師の湯〈¥600〉】が併設されている
平日でも、地元の方々で結構混んでいた
湯質は鉱泉だがヌルヌル感が強く、お肌に良さそうだ
今日も沢山歩いたが、温泉に入れば気分一新 元気になる
   →正丸トンネル→八王子IC→自宅 4時間20分/約170km〈¥1,500〉

天気図  この山行時の天気図 ;株式会社ウェザーマップ/気象人 のページへリンクさせていただいております
装 備   水タンク:2L 1食+行動食1日分(食は残)
  コンロ(中カートリッジ*1)、ツエルトシート
  20Lザック(6kg)
反 省 道が無い 失敗の山行です 完全にOver work.
今回のキーポイントであった、楢尾沢峠(奈良尾沢峠)越えのルート 自分には見つけるコトができなかった
かつては、こちらが両神山登山のメイン路だったそうです。
あるべき(登山)道が無く、無いハズの(林)道がある
人とは違うルートを行くコトが多い自分の山行
怪しいルートは最新の情報・1/2万5千の地図・バスの時間、対応するための準備が大切です
久々に野生獣に遭遇 『ちょっと びびった』
帰路に寄った温泉でも、地元のおばちゃんが「イモ畑を猪にやられた」と話していた
アルプスなどと違い、里山に近い山に入る際には用心せねば
good 天候 八丁峠から剣ヶ峰の間、景色が大きく変化する訳ではないが、これだけ遠望が得られると、実にすがすがしい。 いい景色にいい空気の中、幸か不幸か、自分は八丁尾根では“難儀”よりも“楽し~”と思うタチなので、次々と現れる難所も、フィールドアスレチック気分で楽しめました。
感 想  神話-倭-仏教-修験-高度成長-百名山、各時代がチョコチョコ顔を出す山でした。
離れた場所、たとえば小鹿野町あたりから見ると、山城のように目立つ両神山も、山に入ってしまうと、頂上がどこかも解らなくなり、『全体像が掴みにくいゾ~』が正直な感想。 秩父の山々は深々谷尾根地形で、標高の関係で背の高い木々に囲まれている それが魅力でもあるのだが_.
 今回予定していた周回コース 結構いいルートだと思うんだけどな~

両神山には、他にもさまざまな理由で廃道になった登山道が多くあるそうです
今の世の中は楽・安全・利益となるのは致しかたない。 『自分の旅は自分で創ろう』
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