山のもの ;海のものとも山のものとも
2007/02/10 up    
北八ツ・本沢温泉&稲子湯
稲子湯〜しらびそ小屋〜本沢温泉〜本沢温泉口〜稲子湯 ;周遊
2007年 2月 5日(月)
単独.・(車中泊+)1day・スノーシュー 行程7時間 [移動時間5時間]
雪中の秘湯へGo!
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまでも参考としてください
この冬は例年に無い暖冬でした
省略記号図
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前日は、蓼科山で スノーシューイング
新たな雪山道具 スノーシューのフィーリングに気をよくし、今日は名湯【稲子湯】と、日本一高い場所にある露天風呂 【本沢温泉】の
秘湯を巡るスノートレッキングに出かけましょう
車泊した小淵沢/道の駅 朝は寒かった 一昨日車泊した蓼科が標高1725m/-7℃だったのに、今朝の小淵沢は1000m/-12℃だった
温かいチャウダーで温まり、八ヶ岳を挟んだ反対側“小海町”に向かう
早朝の高原ドライブでは、山々が美しい姿を見せてくれる
八ヶ岳南部も、昨日蓼科山からの黒色が多くなったギザギザ稜線の“かっこよさ”と違い、
こちら東側は、まだまだ白く、そのナダラカな尾根も手伝い優雅な美しさだ
「この風景は在って当たり前」と言うように、地元の車は目的地に急ぐように走っている
観光の自分は度々車を停めて、その山姿を愛でる
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小淵沢から見た甲斐駒ヶ岳
左が八ヶ岳の主峰;赤岳 右端のナダラカな峰が硫黄岳
野辺山からの南八ヶ岳
本沢温泉〜稲子湯 平面略図 本沢温泉〜稲子湯 高低略図
稲子湯 1495m 気象;快晴 無風 気温;-1℃ 08:45出立  FOMA

稲子湯は、北八ツのナダラカな東斜面の中腹にある秘湯宿だが、現代では 大雪でもなければ冬でも車で行ける立地だ
雪が融ければバスの便もある しかし奥深い山中の一軒宿で、見るからに“秘湯”の雰囲気だ
外来入浴は15:30までと聞いていたが、女将が「今日は空いているので、何時でもいいですよ」と言ってくださった
ご好意に甘え、此処の湯は最後に浸かる事にした 女将の話では、稲子湯から本沢温泉まで、今の時期 2時間半の行程だそうだ
駐車料金を支払って、さらに奥深い秘湯【本沢温泉】へのスノーハイクに出発する
ルートにはマーキング&トレースもしっかりとあるし、雪質もツボ足で十分歩けるレベルだ
でも、せっかくなので今日もスノーシューを履く
登り始めてすぐに汗をかく
今日も暑くなりそうだ 樹林の雪はほとんど落ちている とても2月初めとは思えない
駐車場がある橋で、上着をザックにつっ込む 手袋もフリースで十分だ
明治12年の開業だそうです 山小屋風の建物 あつ〜いぃ〜
最初は林道をショートカットするように進む道が続くが、林道から離れると 登山道らしくなってくる
/ 1時間10分 スノーシュー
こまどり沢 1725m 気象;快晴 気温;7℃ 09:55〜10:00
所々斜度が増す場面があるが、そんなに長い距離ではないし、急登や特別危険な箇所は無く、
木や沢の自然を堪能しながらのスノーシューイングを楽しめる
もう、雪解けが始まった沢はアイスアートがいっぱい
on click! クラゲみたい on click!
春です
ダケカンバの脱皮
普通は、天のモノでも 地のモノでもない宿木
地の神と契約してしまった宿木
はっても30分!?
こまどり沢で丸太橋を渡り、坂を登ればしらびそ平の端に至る
20分 スノーシュー
しらびそ小屋 2097m 気象;快晴 気温;5℃ 10:20〜10:30  FOMA
稲子湯と本沢温泉の距離で中間地点、体力的には、もう半分以上済んだ
丁度いい具合にしらびそ小屋がある
上から下りてこられたと言う御夫婦が休憩していらっしゃった
「これから上に行かれるの?」
『イエ、今日は温泉までなんですよ』
答えて、『なんて贅沢なことをしているんだろう』と想う 
こんなに天気がいいのに、頂に登らないなんて…
小屋の目の前には氷結したミドリ池、そして天狗岳の壁がでーんと構えている
頂の天狗の鼻が「キョウハコナイノカ?」誘っているようだ
ソーラーシステム完備
『いい場所にある小屋だな〜』
ストーブの煙突から煙が昇っていた
稜線から飛び出ているのが天狗の鼻 こちらは稲子岳(2380m) このトラバース箇所だけ雪が深い
緑池からは、しばし樹林の中を平坦に行く
正面の尾根にぶつかったら、
トラバースして乗っ越す
50分 スノーシュー
分岐 1725m 気象;快晴 気温;8℃ 11:20
尾根を越えると、本沢温泉口からの道にT字に合わさる ここから本沢温泉までは一息だ
スノーシューで楽々
もう湯の香りがしてきたぞ
芽生え
モウスグダヨ
15分 スノーシュー
本沢温泉 2150m 気象;快晴 時々南西微風 気温;8℃ 11:35着 13:00出  FOMA
稲子湯から休憩を含んで3時間 本沢温泉に到着
本沢温泉【雲上の湯】は、標高2150mで湯気噴く日本最高所の野天風呂として有名だ
早速、小屋で入浴を申し込み、缶ビールも調達する
【雲上の湯】は、小屋から夏沢峠への登山道を5分ほど登り、登山道から少し離れた場所にある
小屋でスノーシューを脱いでいるので、登山道を外れた吹き溜まりでは膝までのラッセル

『あそこですね』 沢を見下ろすと、すぐに判った
外気温が高いので、湯気は見えないが、雪沢の中で陽を反射した四角い湯ぶねが雪より輝いている
本沢温泉は、まだ雪深い
湯川の谷奥は硫黄岳(2760m) on click! 入るぞ 入るぞ!!
湯の中にはお湯の色と同じ白緑色の湯の花が舞う
手だけ先に浸けてみる
ややぬる目だが、今日の天候では寒くはなさそうだ
沢の奥には垂直に切れ落ちた荒々しい断崖
八ヶ岳硫黄岳の爆裂火口壁が見下ろしているロケーション
けっこう深い浴槽です これだけ、自然に近い場所でスッポンポン
【開放】とは、こういうコト

『極楽じゃ〜』
結構まったりとした肌触りで、程よい硫黄の香り
すぐに身体が温まってくる
 浸かりながら飲むビールの美味しいコト!
かんぱ〜い
雪見の野趣露天湯の場合、湯から上がった後の着替えが寒かったり、湯冷めが心配
一応、雪の上にザックカバーを敷いて着替え体制をとったが、今日は春本番の陽気 風も弱い
身体を冷すことなく、余裕で着替えられた まして小屋に戻れば、今度は内風呂に入れるのだ
石楠花の湯は、小さな小屋です
本沢小屋まで戻り、今度は【石楠花の湯(シャクナゲのユ)】
この湯は冬季しか開けないそうだ
小屋とは別棟の内風呂で、先ほどの【雲上の湯】とは全く違う泉質だそうだ
on click!
時間により混浴
浴槽の木板の蓋を剥して驚いた
お湯の表面に、薄い膜が張っている
 掬ってみると、まるで水に垂らした蝋のようだ
『すげ〜 これが温泉成分なのかしら? パラフィン浴みたい』
湯に浸かりながら、横のもうひとつの浴槽を観察する
どうやら湯を安定させておくと、膜がはるようだ
掛流しが、直接浴槽に注がぬよう仕切ってあるのはその為か
外気が低温なほど、膜が出来やすい
『じゃあ、このまま外に飛び出せば、全身パック状態!?』
湯自体は、軟らかくサラッとした肌触り 口に含むと鉄っぽい
世にも珍しい湯だった
こんな温泉 初めて
『なんじゃこりゃ〜』
稲子湯への戻りは、本沢温泉口に向かう 雪が無ければ整備されたハイキングコースなので、ナダラカに下って行く
無雪期なら、本沢温泉口からの登りは、徒歩2時間のハイキングだそうです
4WD車なら1800mゲートまで登ってこられるし、乗用車でも1605mの本沢温泉口-もしくはもう少し上-まで上がってこれる
もっとも今日は、ツボ足や山スキー、ゲートより下は送迎用雪上車のキャタピラの跡がしっかりと刻まれている
今回、本沢温泉から本沢温泉口まで下るのに1時間40分かかった
どんどん気温は上昇 10℃を越えた 『まだ、2月の初め… 厳冬期ですよね』
1時間30分 スノーシュー
本沢温泉口 1605m 気象;快晴 気温;12℃ 14:35〜14:40  FOMA
ハイキングコースなので、整備はバッチリ キャタピラ スキーの際は邪魔かも 八ヶ岳林道 本沢温泉口周辺の白樺はキレイです
そして本沢温泉口からは八ヶ岳林道を行く
林道と言っても車がすれ違えるほど幅のある路だ ここで積雪30cmといった所か
この道は、先がよく見える分 長く感じた あきらめた-のんびりと行こう

40分 スノーシュー
八ヶ岳林道口 1420m 気象;快晴 気温;10℃ 15:20〜15:25
アサマの雪も少ない
千曲川挟んで浅間山
ドクロストーンだべ〜
ガイコツ岩と銘々
冬季は、これで1800m地点まで送迎してくれる
雪上車
やっと林道口に出た ここから稲子湯までは、今朝 車で走った道なのだが、歩くとやはり長く感じる
スノーシューをザックにくくり、舗装路をトボトボ歩く
ゴールすれば入れる稲子湯を想って、がんばる
20分
稲子湯 1725m 気象;快晴 気温;10℃ 15:45着
本沢温泉から3時間弱 稲子湯に戻った 下りなのだが、大回りな分時間がかかった
『もどりました〜』
「お帰りなさいませ」 女将の言葉は商売用だが、顔は山ヤの笑顔で迎えてくれる
本日の秘湯3湯目 【稲子湯】を頂戴する
ここは鉱泉だ 湧き出た低温度の源泉を加温している
「鉱泉か」と馬鹿にしてはいけない 秘密はその源泉にある 炭酸泉なのだ 浴槽の横にはその冷たい源泉が滾々と湧き出ている
日本で炭酸泉は数少ないし、あたり前だが、お風呂は温かいモノとなっている -加温すると炭酸ガスは抜けてしまう-
しかし、ヨーロッパなどでの温泉治療では、冷たい炭酸泉に浸かり、薬として源泉が処方されるそうです
有名なミネラル炭酸水“ペリエ”も、元はそういったモノだったようです
戻ってきました
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湯温が高いのでモアモア
赤いコップの所が源泉
まずその源泉を〔ぐびっ〕と飲む
酸苦味が超刺激的だ 一口目で舌の味覚が麻痺する感じ
さらに炭酸が口のなかで〔じゅわー〕とする 市販の微炭酸飲料より炭酸度は高い
でも、また飲みたくなる 好みはあるだろうが、自分はこの苦味が気に入りました
日本でも最近は、クリアーが売り物のナチュラル炭酸を飲むのが“おしゃれ”になっているが、まったく別物だ
湯のほうは無色透明でサラっとしている 熱湯好きの自分には丁度良い具合に加温してある
熱過ぎる場合は、コックをひねれば、直接源泉が浴槽に流れ込み、うめてくれる仕組みだ
身体が温まったら、桶に源泉を汲み、手や足先を入れて温冷マッサージ やっぱり〔じゅわー〕でくすぐったい
再び湯に浸かり、冷えた手足をを温め直す
そして源泉を〔ぐびっ〕で〔じゅわー〕  『う〜ん 癖になりそう!』
源泉を山水筒に詰めてmyお土産にする
 稲子湯→【須玉/中央HW】→自宅 5時間/約260km〈¥4,550〉
 身体も気持ちも〔ポッカポカ〕で帰路につく 運転しながら時々 まだ冷たい水筒から〔ぐびっ〕で〔じゅわー〕する

天気図  この山行時の天気図 ;株式会社ウェザーマップ/気象人 のページへリンクさせていただいております
装 備   水 - 1.0L
   1食+行動食1日分 (食は未使用)
  ツエルト、コンロ(中カートリッジ*1)
  30Lザック(6kg)
  足元 ;雪靴 +スノーシュー
  手元 ;Wストック
反省点 下山路 今回、下山は本沢温泉口〜八ヶ岳林道で下山したが、こちらは効率だけで造られたルートなので
スノーハイクの観点からはイマイチツマラナイ
道幅は有り、ずっと下りなので山スキーならば滑る楽しみはあるだろう
 -4WDゲートより下には、森を行く別ルートがあるようだが、今回トレースは無かった-
景観・自然を楽しむ点、また時間的にも雪がある時期は、しらびそ小屋ルートでピストンした方が楽しめる様だ
今回の路のコンディションや雪質から見れば、軽アイゼンで充分&スピードも早かったであろう
でも、スノーシュー 『履きたかったんだもん!』
good 秘湯 ほんとうに雲の上で入浴しているような雪見の【雲上の湯】
冬季限定 膜張る【石楠花の湯】  魅惑の炭酸泉【稲子湯】  と、一日で秘湯三箇所を楽しめた
こんなに狭いエリアなのに、三湯共に他では味わえない、独特の個性があった
日本には、自分が知らない秘湯がまだまだ沢山あるようだ
感 想 たまにはこんな【山のもの】もいい
頂を目指さず、春陽気の山裾で秘湯三昧 好い思い出だ
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