07武尊山 ;山のもの ;海のものとも山のものとも
2007/03/30 up 
武尊山(ホタカサン)
川場スキー場〜2020mピーク〜沖武尊 ;往復
雪山 +αで山スキー・単独・1Day
2007年 3月26日(月)
行程;6時間25分  移動;4時間40分
雪山イリュージョン!
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまで参考としてください
この冬は例年に無い暖冬でした
記号説明
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川場スキー場のゲレンデトップに立つと、黒々とした岩肌を魅せつける岩コブ山が在る
昨シーズン、途中撤退した2020mピーク(剣ヶ峰山)だ
『リベンジせにゃ〜』 と川場スキー場に向かった

 自宅→【沼田/関越HW.】→川場スキー場
既に春スキーシーズンなので、立体駐車場は無料でした
昨年の模様→ 山のもの :06川場
川場立体駐車場 1290m 08:40出立 気象;曇り 西風 気温;4℃ Foma ×
今日は平日なのでリフト運行は08:30から  ゲレンデトップに行くためにリフト一回券 ×2枚を購入
立体駐車場に居ると風音が大きく聞こえたが、リフトは正常に運行している
登山届けは カワバシティのインフォメーションで受理してくれる 要;下山報告
山の状況がよくわからないので、とりあえず山スキーを履き スノーシューをザックに縛ってリフトに乗る

『ぜんぜん天気予報と違うじゃん』 リフトから拝めるゲレンデ最奥 屏風のような2020mピークは目視できるが、
その先、白い海原のような -はずの- 稜線や、そこに小島のように浮ぶ沖武尊は、垂れこめた雲の中

白鳥のゲレンデを一面だけ滑り、フード付リフトでゲレンデトップへ
リフト下り場が近づくほど、視界に占める灰色の面積と濃度が増してくる 風も少し強くなってきた
『今日はゲレンデを滑っていようかな』 そんな気持ちがよぎる
25分 リフト→スキー→リフト
ゲレンデトップ 1870m 09:05〜09:15入山 気象;曇り 北西風 気温;0℃ Foma ×
おそらく2020mピーク下までの短い距離であろうが、山スキーで入山する
シールを貼っていると、パトロールの方が「右手の谷は雪崩ちゃっているので注意してください」と忠告してくれる
たしかに。 川場谷側は脱皮するように広範囲で雪崩れている 昨日は雨もあった 充分気をつけよう
川場谷は何層も弱層があるようです 2006/03/04 快晴
昨年3月の2020mピーク
あの時の蒼空は何処へやら...
今シーズンは スノーシューでの入山が多かった 久々に履くスキーギアが重く感じる  意気込んでいた気持ちも萎え気味だ
15分 シール
2020mピーク下 1930m 09:30〜09:40 気象;曇り 北西風 気温;-2℃
雪は少なく、そして水分過多で重い とりあえずラッセルの必要は無さそうな感じだ
『という事で山スキーはここまで』 靴まで履き替え、アイゼンにセット変更する
脱いだ山スキー道具は、まとめてココにデポする スノーシューはお守りとしてザックに縛ったままだ

昨年は、2020mピーク正面の壁を登ろうとして 叶わなかったが、後で他の方々のweb等を拝見すると、
左(西側)のブッシュ帯にルートがあるそうだ
背中も足も軽くなる
デポ
今回は、あっけなく登れました
左のブッシュ帯から登ります
従えば、労せず2020mピークの台地部に達せた
15分 アイゼン+ピッケル
2020mピーク 2020m 09:55〜10:00 気象;曇り 北西風 気温;-2℃
ブッシュ帯を抜けると平らな台地部に出る 高い樹の無い雪原だ
その先に、亡霊のような2020mピークの頂が〔ぬーっ〕とそびえている
『よく雪が付いているよな』 東西の両側がスパッと切れ落ちている痩せたピークだ

2020mピークは剣ヶ峰山と名が付けられているが、前武尊側の稜線にも剣ヶ峰と言う岩峰がある   -ただでさえ日本の山は“ ケンガミネ”だらけなのに-
紛らわしいので、自分は【2020mピ−ク】と呼ばさせていただきます。
小さい石祠がありました
2020mピークの北側 その痩せた頂からの視界は50mくらい
ガスが濃く、展望はまったく望めない
少し先の稜線すらよく見えない状況
標高を稼いでいないのに、気圧計の数字が下降する
『はぁ〜』 ため息をつき、北の岩場から白い世界に降りて行く。 この先、トレースは薄くなった
2020mと1975mピーク間の最低コル部(標高1915m)に降りて行くトコロ
雪崩そうだ』 一旦 北西に捲いてから、丁寧かつ素早くコル部を抜ける
上から判らなかったが、反対の斜面から見ると今降りてきた雪壁には
無数の横ジワが入っている 壁全体がも大きく歪んでいる様に視える
『ドカッと雪崩れるな。 この重雪に呑まれたら、ぜったいアウトだ』
危険!!
40分 アイゼン+ピッケル
1975mピーク 1975m 10:40 気象;曇り/雪 北西風 気温;-3℃
1975mピークからの沖武尊方向 所々に古いトレースがあるが、現状からすると 『ちょっと怖い』ので、より内側を行く
ついに雪も舞いだした それも湿り気のある嫌な雪質だ

今日は頂上に行っても、素敵な展望があるわけでもなく、誰かが待っている訳でもない
山に入らなくても、途中で引き返しても、誰かに責められる訳でも、迷惑をかける訳でもない
それでも独り、頂を目指し稜線を歩き続けている
『たまにはこんな山行もいいだろう_ 今日は晴れたら雪崩ちゃうサ_』
負け惜しみを吐きながら歩く

沖武尊の直下は、斜度が緩い無木立の雪原帯
幸いポツポツと低木などが有るので、 距離感や立体感を失うコトは無い
しかし、ここからでも頂は見えないし トレースもわかりづらい
コンパスで方向を確認して真直ぐ進む  雪から顔を出したクマザサ帯沿いを直登する
40分 アイゼン+ピッケル
武尊山 2158m 11:20〜11:35 気象;霧・雪 北西風 気温;-4℃ Foma ×
正直、あまり喜びの無い頂上
どうやら自分は、 登頂した達成感よりも 展望とか珍しいモノでモチベーションを保つタイプのようです

ここは上州の武尊山(ほたかさん) 北アルプスでそびえるのは穂高岳
穂高は《稲穂が天に向かって育つ》であろうが、武尊は《日本武尊(ヤマトタケル)》が山名由来だそうだ
今月初めは伯耆大山に登った  『最近、日本神話系の山が多いな...』
尖った石碑が、御嶽大明神 『なんだかな〜』 益々 風雪強まる
ザックも降ろさずに 早々に頂から降りる
少し下りた風影の凹で一息入れる
10分 アイゼン+ピッケル
頂上下雪原 2075m 11:45 気象;霧・雪 北西風 気温;-4℃
頂を降りはじめてすぐに、今日 同じルートを歩いているパーティとすれ違う
お互い、予報よりかなり悪い天候を嘆く

復路は一段とガスが強まる 濃厚なミルクの中に落ちてしまったようだ
幸い完全なホワイトアウトではないので、セッピ等の危険箇所は目視できる
ルートも時々立ち止まって、ガスの切れ間で先の稜線を読める

「明日は日差しタップリ、春の陽気でしょう」 夕べの天気予報のオネイサンの笑顔がうらめしい
White world
20分 アイゼン+ピッケル
1975mピーク 1975m 12:05 気象;霧・雪 北西/南風 気温;-4℃
黙々と来た稜線を戻る
直危険な状況では無いが、雪を含んだ風は頬を凍えさせ、目を細めなければならない
風は乱れ気味 フリース帽越しに、不規則な寂しい旋律を響かせている
それより何より寂しいのは、観るべきモノが無いコト
考えるのは、『セッピ・ルート・アイゼンをひっかけない』 それだけ
セルフ撮影なんかしてみる
40分 アイゼン+ピッケル
2020mピーク 2020m 12:45〜13:10 気象;霧→晴 西風 気温;-2℃ Foma ×
来た時と同じように、最低コル部を注意しながら抜ける
2020mピーク頂直下 『白一色の稜線歩きも、あと少し…か』
見上げると、黒いゴツゴツした岩頂の上にすりガラス越しのように太陽の環が観えた
周囲の白も 今までのオフホワイトから〔キラキラ〕と輝くシルキーホワイトに変った
振り返る
しかしそこに期待した風景は無く、相変わらず 彩も立体感もない世界が広がっている
 
On click!
『やっぱりだめか…』

風上である西の空に眼を向けると、わずかだが雲の切れ目がある
期待しつつ、行動食しながら白世界を見守る
そしてそれは、突然始まった
O(≧∇≦)O
雲が飛び、稜線が 山が 青空が広がるコレ コレ コレ !!
『すごーい!!』 数秒で世界が変った 壮大な雪山イリュージョン
“この瞬間”  このためだけに 今日、この山を登った。

今までの 『なんとなく重い気分』も雲と一緒に飛び去った
短い岩場を登り、痩せた頂で つかの間の山見三昧する
『でも、ビデオモードにすればよかった …カナ』
ここから沖武尊まで1.7kmだそうです
残念ながら、西の展望までは無かった
狭いです
2020mピークの先っちょ
獅子ヶ鼻山 (1875m)
川場谷側
滑ったら面白そうな谷だけど、
雪崩ちゃうんだろうな
On click! 晴れてよかったですね
今回お会いしたのは、
こちらの方々だけでした
のっぺら坊みたい
関東平野は快晴のようです
頂上台地の先に大きな赤城山
雪尻
左上がゲレンデトップ
川場谷側のセッピがDangerous!
トレースがしっかり刻まれてます
ブッシュ帯を降りればデポ地点
2020mピークを降り始める頃には、山上は再び灰色の空に覆われる
しかし此処ではガス感は無く、視界は十分あるし、なんといっても気分が『ルンルン』だ
20分 アイゼン+ピッケル
2020mピーク下 1930m 13:30〜14:45 気象;曇り 西風 気温;-2℃
No Track! 予定より早く戻れた もうゲレンデは目と鼻の先だ
実はここの西斜面は、昨年来 目をつけていたオフピステ

『せっかく、山スキーの道具があるんだ』
せっせと道具を履き替えて滑ってみる
林間オフピステを楽しめました
無木立の大斜面ではないが、ショートターンなら充分楽しめる樹の密度
斜度も手ごろで、うねりの変化が楽しい斜面だ 雪質はちょいザラメ 『いいコースじゃん!』
一本目、荷物をデポした場所から1750m地点まで標高差100mほど滑る
滑るのは5分もかからないが、板を背負ってツボ足で登り返すには20分ほどかかる
二本目はやや北側を150mほど滑る
途中、キツネが飛び出て一緒に林間スラローム -驚かせてごめんね-
距離は短いが、オフピステならでは滑りを楽しめた
10分 スキー→ツボ足
ゲレンデトップ 1870m 14:50下山 気象; 気温;℃
Kawaba デポした荷物をまとめスキー場に戻る
念のため リフトが視界に入ったら、板を外してスキー場に入る
今日は平日なのでゲレンデの人影は疎ら
オフピステを二本滑った - 登った- 後なので、もう足はパンパンだ
ゆっくり滑りで 立体駐車場のある川場シティに滑り込む

シティ出入り口にある雪落としのコンプレッサー
昨年は壊れたガンが多かったが、今年は一新されていた
複雑な山スキーのビンディング部を綺麗にしてくれるので重宝する
〔ブジューッ〕ってヤツです
15分 スキー
川場立体駐車場 1290m 15:05戻り 気象; 気温;℃
インフォメーションに下山報告を済ませ、山道具を車に詰め込む
今日は山中で行動食だけだったので 『ナニカ食ベマショウ』
川場シティには、結構いけるゲレ食がある 今日はその中のひとつ【BOSCO/PIZZA】にします。 残念ながらメニューにボンバは無かったが、以前と同じようにオーダー後に生地を延ばして石窯釜で焼いてくれる。 クリースピー系のパリパリに、とろーりチーズ
これは空腹でなくても 『旨い!』
ピザソースも美味しい
今日はバジルとアンチョビ
20分
いこいの湯
『川場に来ると、最後はいつもこの温泉だな』
特別湯質が好い訳でも、立派な設備がある訳でもない
設備だけで視れば、すぐに水温が変っちゃうガランや、弱圧のシャワーなど、
不便と感じる方が多いかもしれない
それでも此処に寄るのは、魅力的な料金もそうだが、何より、かしこまった感がなく
“地元の方々が農作業の合間にちょっと湯に浸かりにくる”といったのどかさカナ
お茶うけによろしいかと
美味しかった干し芋
アーベントロート色
湯をあがり帰路につく すっかり晴れて、武尊の稜線も桃色に染まっている
『最近、下山後に好天となるパターンだな〜』
 →【沼田/関越HW.】→自宅

天気図  この山行時の天気図 ;株式会社ウェザーマップ/気象人 のページへリンクさせていただいております
装 備   水:1.5L ハイドロレーションシステム 1食+行動食1日分
  ツエルト、コンロ(中カートリッジ*1)
  30Lザック(7.0kg) 山スキー滑走時(4.0kg)
  手元 ;ピッケル or Wストック
  足元 ;アイゼン or 山スキー (スノーシューは未使用)
反 省 OVER GEAR リフト利用の入山に頼り、あれこれ道具を上げすぎた
ゲレンデトップから2020mピーク下までシールで登ったが、距離が短いのは判っていたのだから
担いで登ってもよかっカナ
稜線も『万が一』と想ってスノーシューを背負っていたが、結局未使用
こちらも、かなりの確立で使わないコトが予想できたのでデポすべきだった 
good 瞬間 山岳カメラマンの喜びが、ほんのちょっとですが解ったかも!?
山の景色はドラマチック 瞬で感動的な美しさに変化する
真白の雲の中から雪山が登場した瞬間は、大スケールのカッコよさがあった
自分は重いカメラを上げる体力、一瞬を捉えるテクニックや忍耐は持ちあわせいないので、
偶然、もしまた山が美しさを魅せてくれたなら、それをしっかり捉えて憶えていたい
感 想  入山してから、2020mピークに戻るまで、ほんと重たい気持ちでした
『なんでこんなコトしているのかな〜』
その答えのひとつが、上記の“瞬間”でした 『あの時、あの場所に居なければ観られなかった風景』
歩き続けていれば、山は きっとまた“感動する瞬間”を魅せてくれることでしょう。
 山スキー;林間オフピステも良かった
ルート上では無いのが残念だが、山スキーならではの滑りが楽しめました
   -がんばれば、たんばらスキー場近くに滑り降りれるのかしら?-
この辺りは、関東近郊ではスキー場密集エリア 尾根伝いに周遊するのも楽しそうです
しかし、今年からOGNAほたかスキー場を利用したバックカントリーが禁止となってしまった。
そうなると、武尊牧場から入って無人小屋利用…
ラッセルがきついと、さらに+ビバーグが必要になるだろうし、山麓の連絡もイマイチ…
『無理カナ〜』

illusion!
【 Illusion 】
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