09ラッセル、ラッセル またラッセル 雪の八ヶ岳 ;山のもの
2009/03/09 up    
ラッセル、ラッセル またラッセル 雪の八ヶ岳
美濃戸口〜赤岳鉱泉〜赤岩ノ頭で途中撤退;往復
2009/01/19(mon.)〜20(tue.)
 単独・1泊2日・キャンプ
半日、独りラッセル。 稜線にたどり着いたトコロで撤退。
行程;11時間50分  移動;10時間25分
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまでも参考としてください
省略記号
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美濃戸口〜赤岩の頭 平面略図
美濃戸口〜赤岩の頭 高低略図

自家用車  自宅→【小渕沢/中央HW】→美濃戸
駐車場 美濃戸 1490 12:40 入山 気象;曇り 南微風 気温;2℃ FOMA 良好
美濃戸口駐車場 ¥500/day
ここで積雪10cmか
中央HW.双葉SAで昼飯を買い食いしてから
美濃戸口に到着。
無雪期であれば、凸凹林道で美濃戸まで車で入るが、
自分の車はFF乗用車+スタッドレス
単独なので、用心して今回は美濃戸口に駐車した。
予報より天気は悪い
     『今にも降り出しそうではないか!』
駐車場に備え付けられたポストに登山届を投函する。
届には硫黄岳〜横岳〜赤岳の縦走と記してある。
急な箇所は無いのだが。。
『車で行けた〜』
夏期ならば、さほど苦でもない距離だが、雪山装備+テント荷を背負って林道を歩くのは結構な労働だ。
路面は思ったより凍っておらず、『これならチェーンを巻けば走れたナ〜』
美濃戸口〜美濃戸間、チェーンの無い車は進入禁止だそうです
登り 55分 ツボ足 トレース
美濃戸 1660m 13:35〜13:40 気象;曇り 南微風 気温;-1℃ FOMA 不通
有人小屋あり
平日なのに美濃戸の駐車場には十台以上の車が停まっていて、小屋横では大勢の方々が
アイスクライミング装備でレクチャーを受けている。
自分は小屋前で柄杓の水を一口頂戴し、独り赤岳鉱泉を目指す。
行者小屋に到る南沢へのルートに踏み跡は無かった。
庇に氷柱
登り 60分 ツボ足 トレース
堰堤広場 1960m 14:40〜14:50 気象;曇り 南風 気温;-7℃
森に入って休憩 Please click トレースはしっかりあります
結構汗をかいている。 『中間のフリースがいらなかったかしら』
おかげで風が抜ける堰堤広場は少々寒い。 橋を渡り登山道に少し入った森中で荷を降ろして休憩する。
休憩後、独り北沢を歩き続ける。 林道が登山道の様相に変わっても、しっかりと踏み跡があるのでツボ足でもまったく問題はナイ。
しかし、 『やっぱり雪道は大変だ〜』しだいに背中の荷物がずっしり重く感じてきた。
時々立ち休みを交えての行進だ。 
赤岳鉱泉まで急な箇所は無いが、橋の周囲などには吹きだまりがあるので注意が必要だ。
登り 1時間25分 ツボ足 トレース
幕営指定地 赤岳鉱泉 2220m 16:15着 気象;曇り 南風 気温;-9℃ FOMA 不通
有人小屋あり
給水化
みんな凄〜い
Ice candy
鉛色の空がその重さに耐えかね、地面に近づきはじめた頃、赤岳鉱泉に到着 『やれやれだ』
美濃戸から赤岳鉱泉まで、時間的にも体力的にも結構かかった。
赤岳鉱泉の冬の名物;アイスキャンディでは、大勢の方々が氷壁にピッケルアイゼンを打ち
込んでいる。 自分は寝床を作らねばならない。
アイスキャンデイの欠片
Blue ice
冬用外張りは持ってないので
他にテントは無いが、端っこ好き
小屋にて一張¥1,000と、ちょっと高めの幕営料金を支払う。
      (もっとも、四月からの小屋泊まりは少々値上げされるが、テントは据置きだそうです)
バージンスノーの幕営地を足踏みとスコップで固めテントを広げる テント綱の固定は、アイスキャンデイの青い残骸だ。
夏なら小屋の温泉お風呂に入れる赤岳鉱泉だが、冬はその楽しみも無い。 さっさと夕食を済ませシュラフにもぐりこむ。
夜になると、星が出たり、細雪がまったりと、コロコロと天候が変わる。
「明日ハ晴ルデショウ」とラジオの天気予報は繰り返している。 幸い気温が高いのが救いだが、明日はどうなるコトやら。。 


幕営指定地 赤岳鉱泉 2220m 06:00出立 気象;曇り 気温;-12℃(04:00) FOMA 不通
有人小屋あり
給水化
起床4:00 横岳のギザギザ稜線の上で月が滲んでいる。 星は視えない。
『行ってみますか!』 真っ暗な中で撤収開始。
         - この時点では、硫黄岳〜横岳〜赤岳と、縦走する気でいる -
テントや寝袋、マットなど不要な物はスタッフバッグに入れ、此処に置いてゆく。
持って行く寝具はツエルトシュラフカバーだけ。
まだ真っ暗な小屋の正面から、硫黄岳への登山道を進む。
ヘッデンで森中の進行だが、踏み跡がしっかりあるので迷うことも無い。
荷物が軽くなったので、暗闇の森中を鼻歌まじりで行ける。
ヘッデン歩き
ウサギトレース 『なんてこった!!』 足跡はすべて大同心ルンぜに向かっている。
『みんなアイスクライミングなんだ〜』
稜線に出れば冬風で雪は吹き飛び積雪は少ないだろうが、
『そこまで独りラッセル!?』『此処で撤退?』『行者小屋から赤岳を登る??』
『いや、一人でどこまで出来るか試すいい機会だ。』 ウサギトレースを追うとしよう。
無雪期に何度か歩いたルートだし、登山道の場所は樹が薄く、なんとなく凹んでいるので
見失うコトは無い。
暗闇の中、独りラッセル まだ、スネラッセル 景色を楽しむ余裕も有る
雪は軽いので最初のうちは、スネラッセルでなんとか登って行けた。
硫黄岳への登山道は尾根に取りついてから、大きなつづら折れに付けられているのだが、
路が左に(西向き)折れると、途端に雪が深くなり腰まで沈みだす。
今度は雪の細かさが災いとなり、いくら潰しても足場が出来ない状態となる。
クサリが張ってある急な個所は幸い雪が少なく、何無く登れたが、
一旦平坦になり、樹が近づく2400m地点辺りからは、ずっと腰ラッセル状態となり、喘ぐ。
Please click
ついに一旦荷物をデポしなければ、ラッセル出来無くなってきた。
【空荷でラッセルしながら登って、雪が浅い場所に到したらデポした荷を取りに戻る】作業を繰り返しながら、登ってゆく 周囲が明るくなってくる。
出立してすでに2時間半。 無雪期なら硫黄岳の広い岩だらけの頂に居るコロだ。
  しかし『まだ標高2500m〜』 10m稼ぐのに20分ぐらいかかる個所もある。
今回は縦走どころか、硫黄岳まで行けるかどうかも怪しくなってきた。。
それでもラッセルを続ける。
西方向は吹き溜り
粉雪に埋まった登山道
いったりきたり
ラッセル後、デポした荷を取りに戻る
豚鼻みたい
カモシカトレース
途中、急にしっかりとしたトレースが付く
『なんだ!?』 足跡を視るとカモシカのようだ。
ウサギと違い、カモシカトレースは、ヒトの重さにも
耐えられる。
赤岩の頭が近づくと、道は尾根の東を巻くようにつけれれているので、ラッセルが少し楽になった。
すぐ傍で何か食べていた
ありがとね!
 登り 3時間40分 ツボ足 スネ〜腰ラッセル
森林限界 2600m 09:40〜09:50 気象;曇り 北風 気温;-5℃
樹皮剥ぎ 熊のマーキングが付く樹 この辺りが森林限界
3時間越えのラッセルでようやく到達だ。
硫黄岳が見えてきた。 予想どうり頂部は岩肌が出ている。
稜線となる赤岩の頭の尾根まであと50mだが、そこまでは『ここだけならスキーも
いいな〜』と思わせる、真白な無木立の斜面が広がっている。
以前、雪崩事故も発生した場所だ。 荷物はデポし、スコップ片手に稜線を目指す。
ここで一旦、南西方向に向きを変える
硫黄岳
近づくと… “ズボッ”
雪下は低木帯
まだまだ大変です
赤岩の頭へ
登り 40分 ツボ足 スネ〜腰ラッセル
赤岩の頭(稜線) 2640m 10:30〜10:45 気象;曇り 北風 気温;-4℃
『もう少し締まっているかとおもったヨ』 雪の下は低木帯。 こういった箇所は、スカスカで底が無いので、登山道をトレースするのが正解なのだが、しかしすでに登山道の気配は消えている。再びラッセル&ラッセルだ。
ズボズボと胸下まで雪を付ける個所もある。
Please click
横目に
Please click
大同心
撤退〜
硫黄岳
最後は小さな雪庇をスコップで割り、雪だらけなって稜線に立つ。 
ここは夏でも白いザレの際立つ場所だが、今日は真白なシュカラブに覆われている。 もう足が沈むことは無い。
Please click
セッピができている
Please click 曇っているが、北アも拝めました
やっと、反対側を拝めました。
『この先はアイゼンか』 氷結した岩地肌を出す硫黄岳への尾根と時計を交互に見る。
すでに10:30 明日は用事があるので、今日中に下山しなければならない。
日没が17:00として、逆算して行くと残り時間は1時間ぐらい。
『う〜ん。』 これからアイゼンを装着して硫黄岳に登って下山、赤岳鉱泉で
デポした荷物を回収し美濃戸口まで戻るにはギリギリで、マージン分が足りない
『今回はここまで!』体力不足の身体に従うとしましょう。
Please click
八ヶ岳主峰;赤岳
Please click Please click
阿弥陀岳
冬の八ヶ岳核心部
冬の八ヶ岳
下り 10分 ツボ足 トレース
森林限界 2600m 10:45〜11:15 気象;曇り/晴 北風 気温;-3℃
Please click お茶します ふぅ―----
撤退を決めれば余裕が出てくる。
荷物をデポした森林限界に戻り、coffeeを点てる
正面の大同心・赤岳・阿弥陀岳が近いようで遠い。
この辺も辛かった 今回は行けなかった山々に別れを告げ下山開始。

『きょう通るのは四回〜』
ついさっき、あんなにもがいて
ラッセルしていたのが嘘のように下りは早い
下り 45分 ツボ足 スネ〜腰ラッセル
赤岳鉱泉 2220m 12:00〜12:25 気象;晴/曇り 気温;-3℃ FOMA 不通
Please click
大同心ルンゼ
大同心ルンぜに向かう方々
お気をつけて
Please click
スポンサー付のアイスキャンデイ
赤岳鉱泉が近づくと、小屋を出立したばかりの方々とすれ違う。
皆さんアイスクライミング装備なので大同心ルンゼに入るのであろう。
自分はテント場にデポした荷の回収を済ませ、遅ればせながら天気予報通りに青空が広がる中、北沢を降りて行く。
下り 35分 ツボ足 トレース
堰堤広場 1960m 13:00 気象;晴/曇り 北風 気温;2℃
北沢の沢床は錆色 天然雪だるま 凍った堤
雪の下りだが、斜度も緩く、踏み跡もあるのでツボ足でもスリップの心配は無い。
沢床の錆色と純白の雪 冬と春、静と動 相反するモノがひとつの美しさを成しているコトに
目を奪われる
冬げしき
Please click
林道をショートカットする窪道も、
雪でサフェースされ、夏より歩きやすい
下り 35分 ツボ足 トレース
美濃戸 1660m 13:35 気象;曇り 気温;4℃ FOMA 不通
美濃戸〜美濃戸口間の林道歩きがなければ、硫黄岳は登れたか_ 悔やみながら歩くため、
よけいに荷物を重たく感じる。
橋を渡って、登り返せば駐車場だ
やまびこ荘前
美濃戸の小屋周囲は圧雪状態
林道ショートカット道
今年は雪が少ないのであろう
林道ショートカット道は笹床が露出していた
下り 40分 ツボ足 トレース
駐車場 美濃戸 1490m 14:15 下山 気象;晴/曇り 北風 気温;6℃ FOMA 良好
駐車場に到着。 午後の太陽が顔を出す。
着替えながら、にがにがしく車に積んであったチェーンとスノーシューを見た。

あとのまつり

寄り道
たまには道の駅;蔦木宿の【温泉つたの湯】に浸かろうと
R20まで降りたが、火曜は定休日(残念!)
結局、再び小渕沢ICまで戻って、いつもと同じ
スパティオの【温泉延命の湯】に。
湯からあがり、併設のレストランで赤米とろ飯を喰らう
長坂側から 今年は暖冬だ
  美濃戸口→【長坂/中央HW】→自宅
天気図  この山行時の天気図 ;株式会社ウェザーマップ/気象人 のページへリンクさせていただいております
装 備   水:1.5Lハイドロレーションシステム   3食+行動食2日分  
  テント、3シーズンシュラフ、コンロ(中カートリッジ*1)
  60Lザック(20kg)・アタック時(14kg)  手元;Wストック  ピッケルアイゼン 未使用
反 省 チェーン
スノーシュー
車にチェーンも、スノーシューも積んでいた。
チェーンについては、自分なりに考えた判断だったので、まぁ納得できるが、スノーシューは
トレースあるでしょう〜』と安易に置いていってしまった。
やはり、冬の山は自分で道を作りながら進むのだ。
good 満足度 頂に達せず、途中撤退の山行だったが、満足度はナカナカ高い。
一心不乱、夢中でラッセルし、自分で道を作りながら進んだからか_
感 想 では【冬のハヶ岳核心部を縦走するにはどうしたらよいか】 帰りの林道歩き中に考えてみました。
@稜線で幕営しながら縦走
A赤岳側から縦走する
B一日目に赤岩の頭までのラッセルを済ませ、赤岳鉱泉に泊って二日目に縦走する

@は荷が重いので体力的に無理
Aは文三郎尾根や阿弥陀岳アイスクライミングの下山道があるので、
 硫黄岳回りよりラッセルは少ないかもし れない
Bがすぐに引き返せる分、一番安全策か_
いずれにせよ、美濃戸まで車で入り、スノーシュー or ワカンを持っ必要がある。 『 I'll re-try!

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