伊吹山 山スキー ;10山のもの
2010/02/26 up    

伊吹山 山スキー

ル−ト;

大野登山口からの往復

日程; 2010/02/21(sun.) 1day
山行形態;

山スキー 単独

世界山岳気象観測史上、最深雪量の記録を持つ伊吹山も、ここ数年の暖冬で雪不足が続いていた。
しかし、今シーズンは近年まれに見る雪量だ。『次は何時滑れるか分からないゾ!』
と、意気込んで春直前の伊吹山を山スキーで登ったが…

省略記号
の写真はクリックで拡大します
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまでも参考としてください
伊吹山南斜面 平面略図 伊吹山南斜面 高低図
自家用車 前夜は名神HW;養老SAで車泊 夜明け前に伊吹山観光協会前の駐車場に移動する。
駐車場

伊吹山 大野登山口

220m

06:30 入山

気象;晴 無風

気温;-3℃

携帯(FOMA)良好
大野の登山口からだと、頂上までは標高差1150m登らねばならぬ今の伊吹山。
数年前まで“ピステンジャポン伊吹”というスキーゲレンデが在ったのだが、近年の暖冬続きの影響も加わり、
スキー場は破綻した。 三合目まで10分で運んでくれたゴンドラも今や鉄屑だ。
左側の坂がゴンドラ駐車場〜林道に続く 空が白みだすのを待ち、板を
縛ったザックを背負い歩きだす。
石段で始まる伊吹山の登山道は、白い
雪道ではなく、赤茶色した泥道だ。
暗い登山道です
幅広の登山道はジグザグ道で斜度も緩いが、泥と石の床で山スキーブーツで歩くのには『ちよっとイヤな感じ〜』
おまけに所々で倒木が道を覆っていて、スキー板が引っかからないよう中腰姿勢を強いられる。
登り30分 土道;山スキーブーツ

一合目

415m

07:00〜07:05

気象;晴 無風

気温;-4℃

携帯(FOMA)良好
有人小屋 一合目は、かつてのゲレンデの末端なので、ここからは視界が開け、泥からも解放される。
まだ雪が薄いので板を担いだまま、廃墟になった小屋群や錆びたリフトを横目にゲレンデ斜面を登って行く。
徐々に白い世界は広がり、一本目のリフト降り場手前でシールを貼った
南向きのゲレンデ Please click. 米原方向
痛々しい夢の跡 山々、雪原そして町が輝きだす
『やっぱり、シールアップは楽だ。』 言葉の通り“肩の荷が下りた”
登り1時間10分 シール

三合目

770m

08:10〜08:20

気象;晴 西微風

気温;0℃

Please click. この辺りは平らな地形です
冬季は使えません
雪が重い時は、帰路もここに出るべき
正面ゲレンデから右斜めに登って行く
伊吹山の白い大斜面が見えてくれば、かつてのゴンドラ降り場;三合目だ。
先行者のトレースはゴンドラ駅では無く、綺麗な建物;公衆トイレに向かってつけられている。自分もそれに倣い進む。
三合目と先の五合目にはテントが数張あった。 先を見ると既に八合目の急坂に隊列が見える。
登り40分 シール

五合目

880m

08:40

気象;晴 西微風

気温;0℃

Please click. 見える頂は遠いのだ
近そうで遠い九合目
冬と夏
ポインタを乗せると…
目障りな電線も消え、白壁の大斜面が拡がる。
夏道と違い、六合目の避難小屋から中央のルンゼに向かって直線的につけられたトレース
自分は、登り時は六合目の避難小屋に寄らず、途中からそのトレースに合流するように進む。
しかし『ん〜 なんか調子が出ないなぁ』 まだ緩い斜面なのに足が重い。
登り40分 シール → +クトー

八合目

1220m

09:20〜09:35

気象;晴 無風

気温;1℃

八合目からは、いよいよルンゼ状の地形となり、徐々に斜度が増してゆく。
板を最大傾斜に合わせる事は無理となり、細かくキックタンーンを繰り返しながら登って行く。
すでにクトーも使っているが、次第に板は大きく横を向くようになり、労力の割には高度を稼げなくなってきた。
下を見ると、かなりの人数が登ってくるのが見て取れる。『ここでコケたら、蜘蛛の糸だな。』
雪は柔らかく、既に深い登山道トレースも刻まれているのでアイゼンに履き替えることにした。
再び肩に板分の重さが加わるが 『今日は体調がイマイチみたい_無理はやめましょう。』 
ちょっと樹氷ぽかった
けっこうな斜度になってきました
Please click. 西峰方向
やっと九合目
目障りな電線も消え、白壁の大斜面が拡がる。
夏道と違い、六合目の避難小屋から中央のルンゼに向かって直線的につけられたトレースに沿って進む。
しかし『ん〜 』 まだ緩い斜面なのに足が重い。 立ち休みが多くなる。
急登1時間5分 +クトー → アイゼン

九合目

1320m

10:40

気象;晴 西微風

気温;2℃

急坂を登りきった所で、息は絶え絶え 大腿がこわばってる。
しばらく立ったまま動けなかった。 
夏は高山植物の花畑だった
九合目から頂上までは、なだらな遊歩道となる。
夏には多くの種類の高山植物が咲き誇っていた伊吹山頂上の花畑も、
今日は渚のようなシュカラブに覆われている。
稜線10分 アイゼン

ピーク

伊吹山

1377m

10:50〜11:25

気象;晴 西風

気温;0℃

携帯(FOMA)良好
伊吹山頂上からの展望
『絶景ですね〜』 伊吹山の北側の展望は壮大なスケールだ。
最奥の白山は、まさしく加賀ノ姫で、白く輝き、その裾を伸びやかに広げている。
体調イマイチで登ってきたが、『この景色を見れただけでも良しとしよう。』
Please click.
白山
頂上には冬季の避難小屋となっているお堂もあるが、
今日は風弱く、この景色。 建物の中に居るのは勿体ない。
青空の下でコーヒーを淹れて寛ぐ。
夏の伊吹山は、山頂直下までつながるドライブウェイの為、
アミューズメントパーク化しているが、冬の今は人影少なく、その方々も
みな自力で登ってこられた山人なので、静かな頂だ。
木曽のおんたけさん(3063m)
110km離れた御嶽山も
白い頂を浮かべている
白い渚♪
シュカラブ
三角点が“点の記”みたくなっていた
静かな山頂
荷物を整理していると山スキーの方がお二人到着した。
急坂もシールアップしたオジサン達は松本から来たそうだ。
天候と日曜日が重なった今日の伊吹山は、入山者が多いのだろう。
しかしここまで、山スキーやボードの方は一人も見なかった。
この日本武尊はなんでお爺さんなんだろう
稜線5分 スキー

九合目

1320m

11:30〜11:40

気象;晴 西微風

気温;*℃

ここも夏は花畑だった
西側の頂上雪原
頂上で休憩したが、まだ身体は重い。
とりあえず板を履いて、中央ルンゼが
覗ける所までゆっくりと滑って行く。
覗いた中央ルンゼは、先ほどより増して
多くの方々が往来している。
Please click.
下を覗くと…
伊吹山山頂からの滑走は、通常、登ってきた中央ルンゼか、西側のルンゼを滑るそうだ。
今日は、もう人が多く中央ルンゼは滑れないし、何より今は『身体がヘロヘロで安全に滑る自信が無いなぁ〜』
せっかく頂上まで板を運んだのだが、中央ルンゼを途中までアイゼンで下りて、東側のブッシュ帯を滑る事にした。
急下り10分 アイゼン

八合目

1220m

11:30〜11:40

気象;晴 西微風

気温;*℃

板を担いで慎重に下りて行く。 先ほどまで滑らか面も、もう乱れた踏み跡で凸凹だらけだ。
九合目から150mほど下りた、丁度登りでアイゼンに履き替えた地点で板に履き換える。 
ここは雪崩たらヤバイ
西峰直下
この辺で板を履く
人工デブリと化した中央ルンゼ
板を履いて中央ルンゼを横断
まだ沢山登ってます
ルンゼを出てブッシュが剥げている細い通路を使ってトラバースし、東側へ滑り出る。
ブッシュは疎らで高さも背丈ほどの樹なので、気合いが入らない滑りには丁度よいアクセントだ。
ユックリと板を下に向けて滑り出す。 南に開けた斜面だが雪はまだ軽い。
徐々に身体が解れてきたのか_久しぶりの滑りが楽しくなってきた。
一応、ノートラックの斜面です
東側のブッシュ帯へ
調子が出てきた
けっこう開けていて滑りやすい
でも、一気に滑る元気は無い
自分のシュプール
下り10分 スキー

無人小屋

六合目

980m

12:05〜12:10

気象;晴 西微風

気温;4℃

携帯(FOMA)良好
六合目の小屋に滑り込み、板を履いたまま休憩する。
今シーズン最初の滑りで、すっかり身体の重さが消えた。
『単なる身体の鈍りだったの!?』
今となれば、もう一回登って西側ルンゼを滑ってもいいぐらいだ。
もっとも、また登りでヘロヘロになってしまうのだろうが_
身体が錆びついていました
良く見ると六合目避難小屋の屋根が壊れて外れている。
夏見た際は『なんて頑丈な造り』と思った小屋だが、
今年の豪雪には耐えられなかったのか。。
下り5分 スキー

五合目

880m

12:15

気象;晴 西微風

気温;*℃

五合目の小山で振り返る。 中央ルンゼには相変わらず人が多い
西のルンゼに刻まれた綺麗なシュプールを羨ましく観た。
       (頂上でお会いしたお二人のモノだ)
Please click.
西ルンゼ
Please click.
クリックで今日の滑走ルート
下り10分 スキー

三合目

770m

12:25

気象;晴 無風

気温;7℃

Please click. 五合目の先は斜度が緩むうえに、雪が重くなってくる。
地形も少し複雑になってくるので、『先を良く観ないと板が停まってしまうゾ』
そう思いながら、旧ゲレンデ滑った勢いで二合目に向かおうとしたら、
三合目の緩い登りでスキーが停まってしまった。
ストックとスケーティングでルートに戻る。
下り15分 スキー

一合目

415m

12:40〜12:50

気象;晴 無風

気温;8℃

携帯(FOMA)良好
途中から頂上でお会いした山スキーのお二人が追いつき、先行してくれる 『上手〜』
お二人とも荒れた斜面も安定して滑って行く。 自分は悪雪の中を転ばないよう滑るだけで精一杯だ。
標高が下がるとともに、どんどん水っぽくなる雪だったが、無事一合目まで滑ってこられた。
『恐れ入りました。』
『オジサン かっこいい〜』

雪少ない一合目に滑り込む
林道は「一般車の通行を禁じる」とあったが
駐車だけでも利用可?
最初に記したように伊吹山のスキー場は営業していないので、一合目周辺の小屋群も
大半が閉鎖されバラック状態だが、民宿:伊吹高原荘は営業してた。
伊吹高原荘の前でザックに板を固定しながら、お二人とお話するとオジサンは、なんと還暦(!)だそうだ。
日差し強く気温も上昇。 上着もグローブもザックにつっ込んで下山路へ。
お二人は林道で駐車場に、自分は登りと同じ登山道で駐車場に向かう。
気温が上がった登山道は、朝よりも泥深く岩床も相まって滑りやすい 登りよりも長く感じた下山路だった。
下り20分 土道;山スキーブーツ

駐車場

伊吹山 大野登山口

220m

13:10 下山

気象;晴 無風

気温;9℃

携帯(FOMA)良好
水道有り 無事、登山口に戻ってきた。 今日の体調からすればおんの字だ。
神社横の流れでブーツを洗うが、赤い泥は粘土質なので手を使わないと落ちない。
雪解け水は、今日一番の冷たさを感じさせて、手が痛くなる。
流水だけでは、ちっとも落ちません
ジャブジャブ
登山届ポストも観光協会に備え付けられています
駐車料金はポストに投函するシステム
神の吹く息で鈴紐がゆれる?
伊吹山登山口にあたる三之宮神社
そうこうしているうちに、林道経由のお二人も下山してこられた。
林道の方が15分ほど遠回りのようだが、登山道の泥と石を考えると
そちらの方がスムーズのようだ。
お二人に別れを告げ、伊吹山を後にする。
Please click.

温泉

須賀谷温泉

道の駅でお土産を買い、山行後のお約束温泉へ。
伊吹山の麓には薬草の湯;ジョイ伊吹もが在るが、今日の山の状況を考えるとイモ洗いかもしれない。
『せっかく関東から来たのだし、ここは本当の温泉に浸かろう』と、須賀谷温泉に車を走らせた。
須賀谷温泉は、浅井の地;次期大河ドラマ;江(ごう)-姫たちの戦国- の舞台になる長浜の山合い湧く温泉だ。
これが美貌の秘湯?
 赤褐色の湯ノ花が舞う露天風呂
お市さまの衣装
長浜の絹は艶と張りがあって
古くから珍重されていたそうです
う〜ん 蕎麦はやっぱり痩せた土地のモノの方が美味しいようです
レストランで蕎麦を頂きました
『ここはイイ湯だわ〜』 須賀谷温泉は浅井三姉妹の母;戦国一美貌と賞されるお市の方も湯治した湯は、
まったりとした湯触りが気持いい。
伊吹山からここに来るまでの周辺は、今後大挙押し寄せるであろう観光客に備え、道路や宿などが着々と
開発されていたが、小谷城跡の南麓の温泉は、まだ静かな湯を楽しめた。
東名HWは秦野中井から渋滞したが、その日の内に自宅で眠りにつけた。

天気図  この山行時の天気図 :株式会社ウェザーマップ/気象人 のページへリンクさせていただいております
装備  水:1.5Lハイドレーションシステム   1食+行動食1日分  
 ツエルト、コンロ(小カートリッジ*1)  30Lザック(8.0kg)
 山スキー  手元;Wストック  ピッケルアイゼン(ピッケルは未使用)
反省 トレーニング不足 『これではヤマトタケルの二の舞だ。』
ヤマトタケルは伊吹山の神を侮って挑み、そして敗れた。
自分も夏に登ったイメージで『今年はあまり山や海に行っていないが、
伊吹山なら楽勝でしょう』と、高を括って白い山に入ってしまった。
そして結果はご覧の通りボロボロでした Orz
今回出合ったつわもののオジサンのように、楽々こなせるようになるには、
やはり日々の精進が必要なのかもしれない。
good 頂上からの展望 ボロボロで至った頂上だが、そこからの景色は素晴しかった。
これだから山登りはやめられない。
感想 またリベンジしなければいけない山が増えてしまった。
次回は西ルンゼを滑りたいものだが、今度伊吹山に雪が積もるのはいつになるのだろう?
そしてそれまで、体力を維持_いや、向上できるのかしら?

夏の伊吹山はこちら 07山のもの 花いっぱい 夏の伊吹山

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