山のもの ;海のものとも山のものとも
2005/09/18 up    
北アルプス 後立山 南部
扇沢〜鹿島槍〜五竜岳〜唐松岳〜八方尾根
2005/09/11〜13
単独 ・ テント ・ 縦走(夜行泊+)2泊3日  [歩行時間 24時間]
扇沢〜親不知の予定だったが天候不良(という天気予報)のため唐松岳までで断念
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまでも参考としてください
1日目 扇沢〜爺ヶ岳〜冷池テント場
2日目 〜鹿島槍ガ岳〜五竜岳〜五竜山荘
3日目 2005/09/13 (tue.)
五竜山荘〜唐松岳〜八方尾根→八方
行程6時間40分 [5時間]
濃霧で待機が長引く 予定変更で八方に下山
3:00 テントのバタツキ音で目覚める 結局、朝になっても強風と濃霧の状態が続いている 
『この状態が続くと今日は天狗平までしか進めない… その先も天候が悪いと楽しくないなぁ』
朝食をしながら思案中 テント内で待機の間にもう1食ヤケ食いして、また寝る
6:00 天候変わらず テントから山荘も見えない 取りあえずテントを撤収して山荘で待機する
強風だが昨日のように濡れていないためテント畳みはスムーズ
待ちきれない数パーティは白いスープの中を五竜岳に向いだす

やはり山荘で待機している地元のおじさん・おばさんのグループに交ぜてもらい話し込む
「あと2、3時間もすれば今日は晴れるさ」とおじさんが笑いとばす 地元の方々の話なので信じる
おばさんからは雪山トレッキングなどの話を聞きもりあがる
7:00 信州側には晴れ間も見えてきたが基本的状態は変わらず
   『今回は白馬〜親不知は断念しよう』 決定する
下山は八方尾根とする 地元のおじさんの天気予報に期待
山荘に貼ってある時刻表で電車の時間を確認
すでに、待機しているのは自分と地元のおじさん・おばさんのグループだけだ
ルートの確認をして時間を逆算する 出立は8:00だ
五竜山荘 2490m 気象;濃霧 西強風 気温;10℃ (6:00)
08:00出立
地元のおじさん・おばさんのグループに別れを告げ出立
風がかなり強い レインスーツが煽られる
霧が濃いので雷鳥が現れて姿に似合わない泣き声をあげる
ここでも親子連れだ  白岳を越えるとガスが少し晴れてくる
晴れていれば きっと青空に映える這松の緑なのだが→ 
 45分
大黒岳 2380m 気象;霧 北西強風 気温;12℃
08:45
小ピークを越え大黒岳に続く道は黒部側と信州側を行き来する稜線を行く
黒部側は風が吹きつけ歩いていても少し寒い位なのに
信州側の森に入ると無風で蒸し暑い
 後立山連峰の非対称性を身をもって感じる


信州側の森に咲く花火のような
【シシウド】
【後立山連峰の非対称稜線】
西の越中側はなだらかな斜面に低木帯
東の信州側は崩落のガケ状態となり、僅かな
スペースに所々小さな緑を形成している
冬、日本海からの雪と風が゚雪庇を造り
日照による解雪の差が東西で異なる侵食を
繰りかえしたために成した地形であろうか
オンショアの海でブレークするのを見ているよう →
大黒岳から少し下り、ガレ場の登りが始まる もくもくと登ると奇岩の尾根に出る
 15分
奇岩稜 2380m 気象;薄霧 北西強風 気温;13℃
09:00〜09:10
奇岩を見ながら休憩 菱形、鳥の頭など色々な物に見えて面白い ここでストックを収納する

色々な奇岩がある

奇岩稜の向こう側を登ってきた

右上 ケルン状の岩は天然
岩場の牛首に取り付く この先の唐松岳頂上小屋まで急な岩場が続くが
岩場よりも足元の崩落帯の
ガレが崩れやすく不安定
強風に負けないように岩場を登る ガスに隠れて上部は見えない
 この登りの前に[ストックを収めて]の看板がある→ 
面倒がらずに指示従った方が良いでしょう   
 50分
唐松岳頂上小屋 2620m 気象;薄霧→晴れ 北西強風 気温;15℃
10:10着 〜10:35待ち
DoCoMo
小屋に着いても相変わらずのガスと強風 小屋でコーヒー〈¥500〉を頂き、情報を集めながら低雲が去るのを待つ
今年、崩落事故のあった大雪渓も8月14日から通行可能の案内がある
風のためにすぐに冷めてしまったコーヒーを飲みながら行動食を取っていると、白馬側から来た方が「真っ白の中マーキングだけ見ながら来たよ」と笑う
そうこうしている内に低雲が切れだして青空が見え始めた 五竜、唐松の山々が姿を現す
 『五竜山荘にいた地元のおじさんを信じて良かった!』

堂々とした五竜の山姿

岩礫と緑と青空
すぐにデポして唐松岳の頂へダッシュ 白馬側から来た方も展望台の方に飛んでいかれた
 登り12分
唐松岳 2696m 気象;晴れ 北西強風 気温;14℃
10:47〜11:10
強風と時折雲かかるも展望を独り占め やっと点いたタバコがうまい 
五竜岳はキレット側から登っている時より、どっしりした姿を見せてくれる
立山連峰は深い黒部渓谷を挟み近くて遠く連なり、白馬鑓は槍先を白く輝かせ、すぐ横では不帰ノ嶮(カエラズノケン)が怪しく誘う
その不帰ノ嶮側からご夫婦が上がってこられた 「晴れて良かったですね」
まったくそのとうり 重たい荷、大雨、濃霧に強風 すべて報われる
小屋まで軽い足取りで駆け戻る
すぐ横に不帰ノ嶮 → ↑白馬側も大きく見える
今日の道程が雲を生む
これから下山する八方尾根  
下部は八方ゲレンデ →
 下り8分
唐松岳頂上小屋 2620m 気象;晴 北西 気温;14℃
11:20〜11:25
信州側は暑いだろうからレインスーツの下に着ていたフリースを脱ぐ
ストックも出す 唐松岳頂上小屋からは下りなので荷物の重さを感じない 
クサリをすぎた広場(2554m)で三脚を立て写真を撮っているお兄さんが言う
「今日は八方池からここまで霧で何も写せなかった ここで晴れてよかった」
わかりますその気持ち
 予想以上に暑い Tシャツになる 
 35分
丸山ケルン 2420m 気象;晴 北西 気温;19℃
12:00
丸山ケルンの風裏で八方を登って来られたのであろう、品の良い女性が
お弁当を食べてらっしゃる 「私はここまでで満足ですよ」
 『いえいえたいしたものですよ』

八方尾根を下っていると、登ってくる方々に「小屋まであとどの位ですか?」 「ケルンまで何分ぐらいですか」とよく聞かれる 一瞬返答に詰まってしまう
自分自身が登るタイムならすぐに見当がつくのだが、質問された方々(体力・経験・装備は人さまざま)が登るとどの位かかるのか、直に計算できない 仕方なく自分の時間を答えるのだが…
もしも、私の答えと異なる時間だった方々 すいません 騙すつもりはないのです 

丸山ケルン
丸山ケルンの下をS字に回り込み、扇雪渓を横目に森林帯に入ると【アサギマダラ】が飛び交う花園だ

道が北を向くと正面に天狗平と白馬鑓ヶ岳(2903m)が見える
 50分
八方池 2080m 気象;晴 北西微風 気温;20℃
12:50〜13:20
DoCoMo

杓子岳や白馬岳は雲で隠れている
今日の八方池は風があるので鏡のようにとはいかないが、
天狗平を越してくる風がさわやかで気持ちよい
 『同じ風でも、さっきまでの稜線に吹く風とは大違いだね』
山と雲の動きを眺める静かな時間 Coffeeを立て過ごす

【シモツケソウ】

ケルンと初秋の空
八方池からはトレッキングコースに入り木道が多く敷かれる道となる
 35分
八方池山荘 1840m 気象;晴 無風 気温;23℃
13:55〜14:00
八方のゲレンデが見えてきた
トップリフトを使わず夏のリーゼングラート・ゲレンデを下山する
この部分は登山道がある
小さい池塘の回りに花が咲く 岩岳や五竜のゲレンデも良く見える
展望レストラン横には長野オリンピック時の
女子滑降のスタートハウスがある→

 15分
展望レストラン 1670m 気象;晴 気温;23℃
14:15
ここからもアルペンクワッド・リフトを使わず黒菱側から下りる
コンクリートの急斜面が足先を圧迫する 『Skiならあっという間なのに』
途中からリフトの下をくぐり抜けウサギ平ゲレンデにエスケープ
草原のウサギ平 冬は楽しいこぶ斜面も歩いて直滑降はやはりつらい
『最大斜度30°だっけ?』 夏草が滑りやすい
ウサギ平を横切って、さらに右の迂回コース側に回り109へ向かう
無雪時の109 水色が『ちょっとバタくさくい』 下には白馬の町が拡がる
名木山ゲレンデではパラグライダーの方々が風をさぐっている
 20分
109レストハウス 1400m 気象;晴 気温;24℃
14:35下山
       〜15:00散歩
DoCoMo
109で【すりおろしリンゴソフト(¥300)】を買ってお散歩 ソフトクリームの優しい甘味が美味しい
本当は名木山を歩いて下りたかったが、五竜でおじさんが言っていたようにリーゼンスラロームコースは、まだ放牧地となっていて鉄丈網が張られている 諦めてゴンドラ・アダムに乗る

無雪のウサギ平 冬が待ちどうしい

のんびりと草を食べている牛達の上をゴンドラが通る
9分 ゴンドラ・アダム〈片道;¥840〉
八方 760m 気象;晴 気温;28℃
ゴンドラ下り場
15:10着
スキーシーズンでない平日の八方は静か テコテコ歩いてBTに向かいながら
ぼっか神社で無事下山のお参りをする
 15分
八方BT
15:25着
白馬駅行きのバスの時間を確認し すぐ横の【八方第一の湯】〈¥500)に浸かる 誰も入っていない 『ふぇ〜気持ちいい』 熱めのお湯好きにはたまらない
湯から上がると唐松小屋で会った方が入ってきた
「上で写真を撮っていて遅くなっちゃたよ」 これから車で帰るそうだ
自分は荷物を整理し、乗客独りのバスで駅に向かう
5分 アルピコバス/路線;八方BT16:35→16:41白馬駅〈¥180〉
白馬駅 【特急あずさ】の最終に合わせる 電車の待ち時間があるので駅前の食堂で蕎麦定食を食す
北海道から来た登山の方が「大雪渓を下りてきたが、すでにガレ場の高巻き道になっていた」と残念そう
16:41着
 
ローカルな大糸線 ワンマン列車って? ボタンを押さないとドアが開閉しないの? 初体験
6時間 JR 白馬17:54→18:30信濃大町18:55→19:55松本
                        【Sあずさ36号/R】20:02→22:37新宿→0:00自宅〈¥8,080〉

天気図  この山行時の天気図 ;株式会社ウェザーマップ/気象人 のページへリンクさせていただいております
装 備 水タンク:1L+2L 食料:10食(残5食)+行動食7日分(残4日) 〜5泊の予定が2泊になったため
 テント、3シーズンシュラフ

 
コンロ(中カートリッジ*1)
 60Lザック+Wストック=(19kg)
反省点 テント水漏れ テントの確認をして出かけたが、強風で弱ったシームテープ部が剥がれてしまった
出発前の確認をもっと丁寧に 雨準備も怠り無く
軽量化 正直『登りがきつい』 とりあえず【山と高原地図/旺文社】の標準タイムぐらいだが小休憩が多くなる
一日で移動できる距離が長く・早くなれば、悪天候に遭遇する確率が減り、余裕が生まれて色々なモノを見つけたり、観察できる スケッチの時間も作れる
そのためには体力をつけるか、荷を軽くするかだが 体力をつけるのは… 禁煙も…
持ち物・食料は結構削っている 最近の登山用具は軽量化が進んでいる
今のテントは2〜3人用だし コッヘルもアルミだし 少しずつ買い換えましょう
天気予報 もう日本は熱帯になってしまって、山には安定した天気の日が続かないのかしら
[梅雨明け10日]も最近当てにならないし 日本海に低気圧が発生する回数も増えたと思う
今回も天気予報に振り回された感がある ラジオも必要かな
気象予報士ではないが 天気図から、もう少し天候を読めるようになりたい
Good 給水 今回から導入したハイドロレーションシステムは使いやすかった
すれ違い待ちや、立ち休み時に『チュピッ』とやれる
ごくごく飲まないので飲料の量も総合的に少なくなった(1.5L/day)
感 想 ナンダカンダ言って2日目、3日目は晴れ間に綺麗な山姿を観る時間に遭遇できたので満足
重たい荷もトレーニングと経験だと思える

五竜山荘で一緒に待機していた地元のおじさん・おばさん 良い情報をありがとうございました
今回、断念した白馬〜親不知は来年狙います


【雲を待つ雷鳥】
今回は帰路の電車内で描きました

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