山のもの ;海のものとも山のものとも
2006/07/21 up    
南アルプス・白峰三山
奈良田~大門沢~農鳥岳~間ノ岳~北岳~白根御池~広河原→奈良田
2006/07/13(thu.)~15(sat.)
 単独.・2泊3日・キャンプ・縦走 行程;18時間50分 移動;15時間55分
『白峰三山を北上せよ』 涼々3000mのお花畑街道
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまでも参考としてください
3日目 2006/07/15 (sat.)
農鳥小屋~間ノ岳~八本歯~北岳~白根御池~大河原→奈良田
行程;8時間30分  移動;6時間50分
日の出04:30 予想通りの晴天 北岳へ
1日目 奈良田~農鳥登山道~大門沢小屋
2日目 大門沢小屋~農鳥岳~農鳥小屋
03:00起床
ふと目が覚めるとテント内が薄明るい 『しまった 寝過ごしたか!』
あわてて時計を見るとまだ03:00
なんてことはない農鳥岳の上に明るい月 外はヘッデンもいらないほど明るい
ほっとして、そのまま行動開始 テントを開ける
ここは稜線クラ部 風が強い日も多いのであろう 小屋も石垣に埋もれるように建てられている 幸い今朝の南風は、心地よい。

昨日は見えなかった間ノ岳の全貌がはっきりとらえられる
朝食を済まる 月明かりに助けられ楽々テントをたたみ、荷を持って小屋前で東の空が明るくなるのを観る
『結果、正しい判断』  おじさんも 『晴れてよかったな~』 と自分のコトのように喜んでくれる レインスーツを着込みウキウキ気分で出立だ
農鳥小屋 2880m 気象;晴 南風 気温;10℃(4:20)
04:30出立
日ノ出~太陽が登りきる間、山や空の色彩が光線の具合で 次々と変化してゆく
何度経験しても息を呑むような時間帯だ
出立したばかりなのに幾度も心奪われ立ち止まる
  『スバラシイ アサガキタ♪』

 近すぎ! 間ノ岳

sexy-violet
農鳥岳のモルゲンロート
向かう間ノ岳はまだ逆光で、今いる南側から見ると、岩だらけの大きな壁がただ立ち塞いでいるだけのように見え、変化に乏しい漠然とした山に見える
『だから間ノ岳(アイノダケ)なんて、味気ない名前なのかしら!?』
幾重にも落ち込んだ動性の正断層 複雑な地形帯を歩きながら想う
東側の稜線に向かう踏後があるが、一般登山道は真直ぐ正面から入る


3075m小広場の手前にある小さな碑に一礼し、頂上を目指す
 1時間05分
間ノ岳 3189m 気象;晴 南風 気温;12℃
05:35~05:50
FOMA
さらに登り詰めると頂上広場の端に着く
ここを左手に進み 残雪を踏めば積岩で盛り上がった本頂上

まだ、だれもいない頂上で展望を満喫
今ここから観得る名山は大そうな数だ まだ登っていない山も沢山ある

北岳、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳そして鳳凰三山はまだ逆光だ
この時間は、朝日を受ける南側;塩見岳方面がよい
なだらかな山姿に見えるが、高みは3000m級ばかり
 やはり南アルプスは重厚だ

間ノ岳 頂上

仙丈ヶ岳 (3033m)

北岳 (3193m)

甲斐駒ヶ岳 (2967m)

岩の花台 【シナノキンバイ】

雪渓を見下ろす【ミヤマオダマキ】
進むにつれ先ほどまで逆光だった北側の山々にも光が当たりだす 道は花々に囲まれれている
予定を半日ずらして正解だ もし昨日 あのまま進んでいたら、この素晴しい景色を観るコトはできずに、
ガスの中をフラストレーションを貯めながら歩いていたことだろう
 45分
中白峰 3055m 気象;晴 南風 気温;11℃
06:35~06:45
大岩の隙間に可憐に花が咲き、グレーの大岩との対比が美しいが、ここまでは 稜線の西側を歩くため、まだ光線が当らずに自分の腕前では綺麗に写してあげられない 残念。
この辺で北岳山荘を立たれた方々と次々と交差する
岩稜線を下り、中白峰へ ここでレインスーツを脱ぎTシャツだ

北岳山荘からの団体さん 好天に気を好くした自分は、写真を撮ってあげる
みなさんも満足笑顔だ
南から望む北岳頂部は三角形 →
 20分 
北岳山荘 2880m 気象;晴 南風 気温;**℃
07:05~07:15
090-4529-4947
FOMA
現在の標高2900m 奈良田に帰るためのバスが出る広河原の標高は約1500m
白峰三山 残る北岳の頂を踏んでも、あと5時間程度
このまま広河原に一気に下山してしまうとバスの時間が微妙だ
バスは12:00台の次は16:00台しかない
山荘のおねいさんに確認するとやはり、臨時バスも乗り合いタクシーも無い
急いで降りれば12:00のバスには間に合うであろうが、駆け足すぎて楽しめない
かといってあまり遅くなると、今日もやって来るであろう雨・雷は避けられない。
『とりあえず八本歯からバットレスを見よう』
北岳直登りの尾根ではなく、 南東斜面を横断するトラバース道を行く

北岳トラバース道

【ミヤマムラサキ】

【ミヤマオダマキ】

【シコタンソウ】

【タカネコウリンカ】の総苞
農鳥岳からのお花畑街道 沢山咲いていた花達
しかし、このトラバース道でしか見ることがなかった花が数種あった キタダケソウはもう終わってしまっているが、
さすが高山植物の宝庫・北岳です

振り返り見た間ノ岳 残雪模様が山を引き立てる 今朝、南から見た容姿とだいぶイメージが異なる
 『深田さん訂正します やはり名山でした』
 45分
トラバース道分岐 2995m 気象;晴 南風 気温;16℃
08:00~08:05
ここから八本歯にピストンする
分岐の岩陰に荷物とストックをデポしてコルに下りてゆく
大岩のヘリを踏み、急角度のハシゴを降りると八本歯ノコル(2875m)に降り立つ
ここからもバットレスを見ることもできるが、せっかくここまで来たのだし、自称岩場好きだし 『八本歯ノ頭に上ろう』
険しいが、無雪なのでガイドロープに従えばあっけなく頭に立つ
 10分
コルまで

コル⇒頭
 8分
八本歯ノ頭 2920m 気象;晴 東風 気温;**℃
08:20~08:30
北岳バットレス
下の大樺沢から見上げた姿は迫力があり、とても勝ち目が無いように思えるが
ここからながめると、正面に見えるので、ほんの少しだが差が縮まった気がする
視界のすべてがバットレス。『満足』

上からみても大樺沢は二俣より上部は雪がまだ多く残るが、数名の方が登ってくるのが確認できる


大樺沢二俣
頭⇒コル
 5分

コルから
 15分
トラバース道分岐 気象;気象;晴 東風 気温;16℃
08:50~09:00
デポした荷を背負い、今回の山行 最後の登りを始める
後で計算した結果 今回、奈良田から赤岳頂上まで、累計で3100mほど登った
  -広河原からの通常の白峰三山縦走なら累計2250mぐらいです-

『暑い』 ワイヤーが張られた滑りやすい急斜面を息を切らせて登る
吊尾根分岐で主稜線と交われば斜度も緩む 北岳頂上まではあと少しだ

苦労を報いてくれるかのように、頂上直下で巨大なお花畑が迎えてくれた

【ハハコヨモギ】

 25分 
北岳 3193m 気象;晴 巻き風 気温;15℃
09:25~09:35
FOMA

3192mではなく3193m 修正済み

新品の三角点

日本で二番目に高い山-北岳
 -富士山が3776m 北岳との標高差は600m近くある 富士山はやはり特別なのかしら?-
『しかし北岳よ 嘆くことは無い 山登りの魅力では、はるかに君の方が上だ 少なくても私はそう思う』
北岳三角点【白根岳】 数日前に102年ぶり一新したそうだ 芦安ファンクラブの方々ご苦労さまです
やがて、東風・西風が巻き始める すぐに薄ガスが出始める
 20分
北岳肩ノ小屋 3010m 気象;晴 巻き風 気温;19℃
09:55~10:10
090-4606-0068
FOMA
肩まで降りて見上げる北岳 頂部はすでにガスがかかりだしてきた
『ギリギリセーフ よかったよかった』
小屋のcoffee〈¥300)を頂いていると、山頂で一緒だったおじさんが降りてきた
おじさんは芦安に戻られるそうだ バスの時間を確認する
 -おじさんは時刻表を丁寧に手帳にまとめてある 『見習わなくちゃ』-
「ギリギリかな」
『おじさんは歩くのが早いから大丈夫ですよ』 お世辞抜きで答える
自分は、もう夕方のバスに乗るつもりなので焦ることは無い

まだ、今日の宿泊者は到着していない

この辺の石が紫色なのはナゼ?
小屋の先は広い尾根を、雲の合間の甲斐駒や仙丈を観ながらが歩く
足元は、まだまだお花畑街道だ

 30分
右俣-草スベリ分岐 2735m 気象;晴 気温;27℃
10:45
小太郎尾根への道を左手に分け、ザレて滑りやすい急坂道で下山開始だ
斜面に広がる黄色の花畑が印象的。
今日から3連休 この辺から、広河原を朝発ちした方々が大勢登ってこられる
待ち時間が多くなるが、先を急がない自分はゆっくり気分
引き換え、登られてくる方々は大変だ 下っている自分ですら汗をかいている
この辺はまだ木々が低いので直の日差し 山頂から来ると異常に暑く感じる
道を左に折れ[草スベリルート]上部の樹林帯へ 日差しは減るが、強烈な青い香りと熱気 『ココハ、アマゾンカ?』  隙間に大樺沢の雪渓が見える

どのルートでも登るのは大変です
草スベリに入ると再び直射 〔ムァ~〕っと湿度が上昇する
今ここを登っている方は、最高のダイエットメニューであろう
(後で、たらふくビールを飲まなければ…)

【イブキトラノオ】

【ミヤマハナシノブ】
 35分
白根御池小屋 2270m 気象;曇り 気温;24℃
11:20~11:30
090-3201-7683
FOMA
小屋手前の池を覗くとおたまじゃくし!
『かわいい~』
改築の終わった小屋
外からだけだが、とてもきれいな小屋だ

ここまでくれば、もう急ぐことは無いのだが 気を緩めないように背の高くなった森をマイペースで下りて行く
 50分
中間地点 1865m 気象;曇り 気温;25℃
12:20~12;25
鳳凰の上を救助ヘリが飛んでいる 『また遭難!? -大事にいたりませんように- 』

2150m以降は急斜度になる そこを、これでもかと人が上がってくる
バス到着のタイミングなのか、降りるほどにある程度まとまってやってくる
登山では通常、登り優先なのだが、中にはすでにバテて、下山の自分に道を譲ってくれる方もいる 『雨が来る前に小屋に着けるかしら? 余計なお世話か』
白根御池小屋~広河原の中間地点というベンチで少し休憩する


さらにドンドコ下って 大樺沢出合の大岩までくれば残り10分少々
道も緩やかになる 登山道に湧き出る沢水でクールダウン

 35分
広河原 1529m 気象;曇り/晴→曇り 気温;26℃
13:00下山
FOMA

広河原山荘
090-2677-0828

『白峰三山北上完了いたしました!』

山の上は、すでにガス雲の中だった
山荘前で休んでいると、先ほどの芦安に戻られるおじさんが早足で降りてきた
「バスに 間に合ったよ~」 吊橋を走っていかれた
自分のバスの時間までは あと3時間ある

さて広河原 今はするコトが無い
山行レポートをまとめたり、アベックの写真を写してあげたり、散策したり…
ネタ切れだ
 こんな時は~ 『昼寝にかぎる。』
吊橋を渡り、プラザから200mほど下ったバス停横の屋根がある場所で
残った山食のパスタをこさえ食し、山荘の販売機で買った缶ビール〈¥450〉を飲みながらザックを枕にゴロン
今頃、平地は30℃以上であろう ここは川沿いで涼しい場所 気持ちよく昼寝できる
ついに雷音が谷間に響き、雨が〔サー〕と降る 『早く降りて正解だ』言い訳しながらウトウト…
16:00 バスの出発時間 土曜日で良かった 平日なら、あと40分待たねばならなかった
乗客は、登山の方だけではなく、アングラーの方も多い
釣果を聞くとフライでイワナが釣れたそうだ 〔ガォーン!〕なごり音無く雷音が轟く 今度は近い
乗り込む延部行きはマイクロバス 立ち客も出るほど満杯になったバスは、文明が無理やり切り開いた
山道をサスをフルボトムさせながら下ってゆく
隣の席の女性の方が「今朝はバス3台出て、荷物は別便のトラックだったのよ」と話してくれる
女性の方は仙丈ヶ岳を日帰りで巡ってきたそうだ
「仙丈からは北岳が堂々と見えた」という 自分は反対に北岳側から『優雅な仙丈』を見た
数時間前、同じ頃に向かい合う山頂で、互いに山見した同士が 今はココで隣どうし 『不思議なもんだ』
  1時間 山交タウンコーチ身延営業所 0556-62-0064
  広河原16:05→17:05奈良田〈¥1,000〉
奈良田 820m 気象;曇り 気温;28℃
17:05戻り
一昨日は車が停まっていなかった、丸山林道出合の駐車場にも沢山の車が停まっていて、乗客のほとんどの方がここで降りる 自分は車を停めてある、すぐ先の奈良田バス停まで乗る
バスを降り、荷物を自分の車に積み込んだら温泉;女帝の湯に直行だ
詳細は
今日は沢山歩いたが、バス待ちの間に昼寝済み 高速事故渋滞もなんのその 真直ぐ自宅へ
 奈良田→南アルプスIC/中部横断道HW→自宅 5時間/約250km〈¥4,700〉

天気図  この山行時の天気図 ;株式会社ウェザーマップ/気象人 のページへリンクさせていただいております
装 備   水タンク:2L 5食+行動食3日分
  テント、3シーズンシュラフ、コンロ(中カートリッジ*1)
  60Lザック(16kg)
  足元 ;軽アイゼン(未使用)
  手元 ;Wストック
反 省 帯電話  自分が現在使用しているのはDocomoのFOMA
山ではmovaはOKでもFOMAは まだNGになることが多い。
今回は奈良田の里ですら圏外… (KDDIのアンテナはあった)
TV電話はもちろん、アプリすら使わない movaに戻そうかな
good 臨機応変  不安定な天候 しかし、山の朝イチは裏切らない 素敵な景色と花々に出会えた
感 想  『白峰三山を北上せよ』
沢木耕太郎氏に引っ掛けたタイトルのだが、自分はこの山に残した想い、果たせなかった夢があるわけではない。
ただなんとなく しいてあげれば 独り山旅なので、狭い稜線の一本道で追い抜かれたり 追い抜いたりするよりも
すれ違う方が旅らしい気がしたのです。
実際には 景観的、体力的にも バスの便もやはり北岳から入山の方がよいのかもしれません。


『はな・はな・はな』 今回の山行で何種類の植物を見ただろう 今が旬の高山植物 『Good timing お花畑街道』

 山の形は色々ある 大地を突き破り生えたような山、氷や雨が彫刻した山、プレート運動により盛り上がった山、
今回の白峰三山は 元々大地の設計図に組み込まれていたかのように重厚だった
しかし、この白峰三山ですら南アルプスのほんの一部でしかない 南アルプスは深いフトコロを有す

 このレポートをまとめている間に、大門沢で丸太橋が大雨のため流され、2日間足止めビバーグされた方々のニュースが入る。 自分が通過した時は、涼しさを呼ぶイイ感じの沢だったのに… 皆さん、無事でなによりでした

【お花畑街道の途中 農鳥岳】
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