09夏の立山三山と剱岳・北方稜線 Day2;山のもの
2010/01/22 up    
夏の立山三山と剱岳・北方稜線*2日目
剱沢〜剣岳〜北方稜線〜池ノ平
2009年08月18日(火)
  2泊3日 単独・幕営・縦走
行程時間;9時間  移動時間;6時間45分
剱の頂から北方稜線へ!
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまでも参考としてください
省略記号
枠 はクリックで拡大します
今回の山行ルート

1日目 室堂〜立山三山〜剱沢
幕営 剱澤小屋テント場 2560m 03:30 出立 気象;星空 無風 気温;6℃ 携帯(FOMA);圏外
有人小屋 02:00起床
周囲のテントに動きは無く、まだ真っ暗。 今日はヘッデン歩きでスタートだ。
下り登り 25分
剣山荘 2475m 03:55〜4:05 気象;星空 無風 気温;8℃
有人小屋 一端、大きく暗闇の剱沢に下り、雪渓の沢を越える。その先も小さな沢を幾つか横断して行く。
闇中の進行だが、マーキングがしっかりしているおかげでヘッデン歩きでも難なく剱山荘に着く。
小屋に明りは灯っているが外に人影は無い。しかし先の一服剱に向かう登山道には、すでに1パーテーィの灯りが
チラついているし、剱沢からやってくる灯りも見える。
身体は暖まった 防寒のレインスーツを脱ぎ、自分も剱に取りつく。
登り 20分
一服剱 2618m 04:25〜04:30 気象;晴 無風 気温;9℃
シルエット剱 白み始めた空を観ながら一服剱で一服。
しばらく使わないストックをザックに縛り付けていると、
若者Grが登ってきた。 どうやら部活のようだ。
自分より後立ちで剱澤を出立したのに、若者POWERは頼もしい。
急登注意個所 40分
前剱 2813m 05:10 気象;晴 無風 気温;12℃
前剱で太陽を迎える あそこが頂上ね クサリが沢山かかっています
まだ、ここまでに至る者は少なく、前後の登山者も山慣れしている方々の
ようなので前剱や平蔵ノ頭のクサリ場など、難所と呼ばれる個所も渋滞せずに
登って行ける。 むしろ自分の場合は気持だけ先行し、体力が追いつかない。
花を観る余裕はある 前剱ノ門 前剱に向かうオジサン
途中で先行された軽荷のオジサンが、かにのたてばい下でカメラ片手に待っている
「人が居ないと、難所が判らないから〜」
『はいはい』 モデルになって岩にしがみついたが、
登ったところで我息は切れた。 再びオジサンに先行してもらう。
確かにヒトが居ないとよく判らない
かにのたてばい
渋滞無しで
Please click!
平蔵谷
急登注意個所 1時間
ピーク 剱岳 2999m 06:10〜06:35 気象;快晴 北東風 気温;14℃ 携帯(FOMA);微妙
先行の単独行のお二人に続き剱の頂に到着。
立山曼荼羅においては針山地獄;死者の山だった剱岳の頂にも、今は立派な
祠が建っている。
今回はオジサンに撮ってもらいました
息を切らして登りつめた剱の頂だが、此処は今回のストート地点だ。
頂から続く北方稜線は、尖った石峰が連立していて恐竜の下顎のように見える。
氷河と火山 立山の地形の複雑さがよく判る
剱の頂から観る剱沢、立山三山
ここからが本番だ
ヘルメットを被り、北方稜線への準備を整え終える頃、ペア登山のお二人も登ってきた。
北方稜線へ
オジサンお二人は、登ってきた前剱方向で下山した。
自分はペア登山のお二人に見送られ、今回のメインである
北方稜線へ、いざ踏み出す。
バリエーションルートとされる剱岳・北方稜線 初めて歩く路だ。
剱岳・北方稜線は一般的な登山道ではありません。
剱の頂を後にして
Please click! ゴツゴツの岩稜線に癒し系の果実 やはり剱沢側の方が険しくないようだ
   チングルマの花と果実             
長次郎のコルまでは、岩稜線に沿って下って行く 幅広の稜線だが、不安定な岩も多いので慎重に足を出す。
稜線下り注意個所 35分
長次郎のコル 2875m 07:10 気象;快晴 北東風 気温;14℃
長次郎のコルに下りきる前に、先の長次郎の頭をチエックする。
ルンゼの厳頭手前から右へ あの岩壁をトラバースかしら!?』
実際、ザレの左側を登り、ルンゼ源頭手前で右側の低木が這う岩棚へ
そのまま斜度70°ぐらいの岩壁を水平トラバースで進んだ。
しだいに岩棚は狭くなり、核心部の距離2mほどでは、岩棚から踵が飛び出ている状態になってくる。
もちろん落ちたら長次郎谷にすいこまれてしまうが、足場・ホールドは安定しているし、先には踏み跡も確認できたので、そのまま進んだ。
Please click! 反対側からだとルートが読みづらい
水平トラバースした岩壁
長次郎ノ頭のトラバースが済むと、踏み跡は稜線センターを外れ、長次郎谷側のザレ斜面を蛇行するようにつけられている
岩稜線を行きたい気持ちがわくが、ここは前行者に従おう。
自然は面白い ここも安全地帯
大岩間の広場
よく写真が掲載されているバンドのトラバース個所には新しいお助けロープが奢られていた。
さきほどの長次郎の頭の岩棚よりはるかに広いので、身体を正面に向けて歩ける。 ビレイするというよりも
悪天候時や、逆から来た場合には『人が通った道』の判断にはなるだろう。
マーキングに従い進めば大岩の広場に出る。 稜線と大岩の間は土の平地で4・5張りのテントが設営できそうだ。
大岩間の広場を抜けたら、左90°に折れ稜線に出る。
稜線注意個所 30分
池ノ谷尾根の頭 2890m 07:40〜08:00 気象;快晴 北東風 気温;℃ 携帯(FOMA);良好
別のルートもあるようでした 断崖のエッジ稜線を這木に沿って進み、赤茶色の
池ノ谷尾根の頭の頂へ
この頂は安定した広場なので荷物を下ろして休憩だ。
携帯の電波もよく入ったので下界にメールする。
北方稜線は要ヘルメットです
まだ肉眼で剱の頂に立つ人を確認できる
池ノ谷尾根の頭でふり返る あまり目にすることのない剱岳の裏側
急下り注意個所 20分
池ノ谷乗越 2850m 08:20 気象;快晴 南風 気温;13℃
池ノ谷尾根の頭から先を視ると、池ノ谷ガリーや小窓ノ王など、先の様子が見えてきた。 今日は天気が良くて助かる。
稜線寄りから下りはじめ、途中から少し黒部側のスラブ壁へ。
脆い岩も混じるので、何度も確認しながら慎重に池ノ谷乗越に降り立つ。
路なんか無さそうに見えます
まだ先は長そうです
所々に薄いマーキングがありました
この岩壁を下りてきました
池ノ谷ガリー
池ノ谷乗越は狭いキレットで、稜線の北側にはガレ・ザレ斜面が底も見えないほど長く伸びている。
悪場で有名な池ノ谷ガリーだ。
入ってみると、最初は明確な踏み跡があり、斜度も上から視た程きつくなく安定していた。
『楽勝か?』と思ったが、やはり甘く無い。
次第に踏み跡は不鮮明になり、地は足を乗せただけで流れだすようになる。砂礫だけでなく、大きな石も平気で動く。
早く抜け出たい気持ちはあるのだが、『焦ってはいけないゾ 慎重に。』
なるべく安定な場所を選び、谷中を右に左に蛇行するが右の岩峰下は落石した大岩だらけだ。
Please click!
池ノ谷ガリー
日陰のせいでいっそう悪場に見えます
Please click!
注意個所 25分
三ノ窓 2650m 08:45〜09:00 気象;快晴 南風 気温;18℃ 携帯(FOMA);圏外
あの岩が落ちてきたら…
こんな所をよくまぁ
『ぶへ〜』池ノ谷乗越から標高差200mのガリーを抜け、三ノ窓に逃げ出た。
『幸い今日は前後にヒトが居ないので助かったゎ』胸をなでおろす。
三ノ窓はビルのような巨大岩峰;チンネや小窓の王を真下から見上げる場所だが、
池ノ谷ガリーの中に比べたら、極楽のような安全地帯だ。
三ノ窓雪渓には雪が豊富に残っていた。 春山スキーが楽しめる場所だそうだが、
盛夏の今でも滑れそうだ。
テントを張るスペースも充分ある
鹿島槍 五竜岳が美しい
Please click!
急登注意個所20分
稜線 乗越 2780m 09:20 気象;快晴 気温;**℃
小窓ノ王の発射台 次は小窓の王を越す
路は三ノ窓から再び池ノ谷ガリーを少し下り、
小窓の王の西側、発射台のようなガレた坂を登って行く。
岩壁沿いには腐ったフィックスロープも張られているが、
池ノ谷ガリーのような不安定さは無いので楽に登れる。
Please click!
丁度、稜線を乗越すトコロで対向から登山者がやってきた。
池ノ平を朝立した単独のオジサンだ。
お互いに先の状況を確認する。 先の雪渓は楽勝のようだ。
小窓ノ頭
『いきなりですか!?』
稜線を乗越すと、さきほどまでの険しい岩世界がウソのような緑の草原が
広がる牧歌的世界に変わった。
黒部渓谷を挟んで後立山の峰々も伸びやかに広がる。
登山道は小窓ノ頭には登らない。 剱沢側の山腹を大きく巻きながら行く。
稜線沿いは行けないらしい

あそこまで下るのね
『え〜っ』と言いいながら大岩まで下る。
そこから再び小窓ノ頭方向に登り返す
こう見えて毒草だそうだ
小窓ノ王をバックに咲くコバイケイソウ
雪が柔らかでした
一つ目の雪渓
剱岳・北方稜線を歩く必須道具にアイゼンピッケルがある それは真夏でもだ。
小窓ノ頭の山腹を巻く際に、急な雪渓を二か所横断しなければならないからだ。
しかし、今年は雪が少ないようです。小窓ノ王乗越しで会ったオジサンが言われたように、
最初の雪渓はピッケル片手にキックステップで、二か所目は3mほど高巻きすれば
越すことができました。     雪渓の状況は年・季節・天候で大きく異なります
ここを越えれば稜線も近い
二つ目の雪渓
稜線注意個所 1時間30分
小窓 2350m 10:50〜11:00 気象;晴 無風 気温;21℃
再び稜線に戻ると池ノ平山が大きく見え、下部には小窓の雪渓も見えてきた。
道は小窓に向かっての下りで、小窓の手前では馬場島側を行く。 標高が下がったので、背丈ほどの低木がうるさい。 
池ノ平山 北峰(2561m)・南峰(2555m)
本来の北方稜線は池ノ平山までだが、
急峻な藪漕登り必死だそうです。
Please click!
小窓雪渓を見下ろす
舞楽の鳥兜にそっくりだからこの名がつきました
ヤマトリカブト
真夏の雪渓に降り立つ 今日は少し暑かったので、雪渓上を渡ってくる風が心地よい
雪は柔らかいので、ストックのゴムキャップを外しただけで充分歩ける。
すごい量の残雪だ
小窓雪渓
雪渓上は天然クーラー
池ノ平小屋番の方によると、
先日も入口を見落とし、雪渓で
ビバークされた方がいたそうです
場合によっては枯れているかもしれません
これは一つ目の滝
雪渓を下りはじめると、すぐに右岸に落差5mほどの小さい滝が雪渓に直接注いでいる。
そのまま雪渓を下りて行くと二つ目の滝音が聞こえ始める。
旧鉱山道口は二つ目の滝より少し上部の左岸だ。 カラフルな四色マーキングから入ると、路はそこから尾根を
ほぼ水平に越すようにつけられている。
下り 15分
旧鉱山道口 2200m 11:15〜12:10 気象;晴 無風 気温;19℃
二つ目の大滝を真横に見る頃には、雪渓より30mほど高い場所を歩いている。
旧鉱山道も雪渓を高巻きしている間は片側は崖で、濡れたら滑る一枚岩や青草で
足元が見えない個所もあるので注意が必要だ。
片斜面の緩い登りが、少し斜度が増して尾根を越えた。
『これで、安心』 展望台と呼ばれる尾根の尖端から少し戻って、coffeeを飲みながら
二つ目の滝をスケッチする。
Please click!
二つ目の滝
旧鉱山道口
 悪天候時、見落とさないように
最初は注意が必要な旧鉱山道
水平道 25分 剱岳・北方稜線のルート図
幕営 池の平小屋 2045m 12:35 到着 気象; 気温;℃ 携帯(FOMA);圏外
有人小屋
水の入手可
尾根越しの辺りは 今までの高山帯とは異なる種類の花が沢山咲いていて最後の踏ん張りを後押ししてくれる。
尾根を回り込めば小屋が見えてくる。
小屋近くで小屋の番のおじさんが上がってきた。 「ずいぶん早着だな〜」食材狩りなのであろう、カゴを片手に
オジサンは笑顔だ。 『はぁ〜 まぁ〜』(ほんとうはまだ、池ノ平に今夜泊るかどうか決めていない…)
クガイソウが沢山咲いていました 小屋の周囲は一段とのどかな風景だ 池ノ平小屋
『剱岳・北方稜線 無事終了。』小屋は先着の方々の笑い声で賑っていた。
たしかに途中でスケッチしてた割には、予定よりだいぶ早い。
『どうしようかな〜』時間・体力的にも先の仙人池ヒュッテ・仙人池温泉の小屋までは行けそうだ。
しかし、そのどちらにもテント場が無い。 『次のテント場は阿曽原か』 新しい登山道“雲切新道”は
まだ歩いた事が無いので勝手が判らない_ 
小屋前の広場から望む八ツ峰の裏側には、よくない雲も少し湧いてきた。
『今日はここまで。』おじさんに幕営を申し込み、ついでにカレーライスもオーダーする。
水は豊富だ 露天五右衛門風呂 チンネの湯 内風呂の扉に書いてありました

旨いっちゃ〜
古いタイプの山小屋_テント泊りにはあまり関係ない_だが、
ここは水は豊富だし景色も良い。おまけに露天五右衛門風呂まであるのだ。
到着後すぐに申し込めば、チンネの湯に入れたかもしれないが、
スケッチを終えた頃には小屋泊りの方が多くなってしまった。
 『残念だっちゃ〜』  テントも合計4張りに増えていた
池溏にモンローの唇が映る
ヘリポートを兼ねるテン場は平らでGood! 小屋から10分ほど下ると平ノ池でスケッチしていたが、
ガスが出て白っぽくなってしまう 『我が家に戻ろう。』
カロリーメイトは今日の行動食の残り
今回は軽量化の為、質素な食事
やっぱり恐竜の下顎だ
今日も早寝
明日も早起きの予定だ
3日目 池ノ平〜仙人谷〜雲切新道〜阿曽原〜水平歩道〜欅平


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