山のもの ;海のものとも山のものとも
2005/09/18 up    
北アルプス 槍穂+常念
上高地〜重太郎新道〜穂高〜大キレット〜槍ヶ岳                 
                                 東鎌尾根〜大天井岳〜常念〜蝶ヶ岳〜上高地

2005/09/28〜10/01
単独 ・ テント・縦走 (前車泊+)3泊4日  [歩行時間 30時間]
3000m級の空中回廊を周遊
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまでも参考としてください
1日目 沢渡→上高地〜重太郎新道〜前穂〜吊尾根〜奥穂
2日目 〜涸沢岳〜北穂高岳〜大キレット〜槍ヶ岳
3日目 槍ヶ岳〜東鎌尾根〜大天井岳〜常念小屋
4日目 2005/10/01 (fri.)
〜常念岳〜蝶ヶ岳〜長堀尾根〜上高地→沢渡
行程9時間10分+スケッチ3時間 [7時間45分]
槍穂の大パノラマ
3:00起床 南東にオリオン 西には白鳥 その間を天の川が結んでいる 『今日もいい天気だぞッ』
食事を済ませ、5:30頂上で日ノ出の積もりで凍ったテントを拭き払ってから撤収して小屋前に向かう
愛知のお兄さんのテント 明かりは灯っているがまだ出立ではないようだ

小屋泊まりの何名かが常念に向かう 小屋前の明かりで靴紐を結び、スパッツを装着し後を追う
常念小屋 2300m 気象;無風 気温;-3℃(04:00)
04:35出立 常念岳への登りは結構急だ 先行のヘッドランプの明かりを追っていると つい登山道を外れ直登をしてしまう 『スイマセン』 大きめの石がゴロゴロで浮石・岩が多くある
中腹では尾根裏で日ノ出の様子がはっきり見えない
『間に合うか?』不安になりスピードアップ 先行の方々の最後尾につく
 1時間
常念岳 2857m 気象;晴 東風 気温;3℃
05:35〜06:25
DoCoMo
常念岳山頂着ですぐに日ノ出 先行の方々を含め7〜8名 皆さん山好きだ 静かにモルゲンロートを迎える
槍穂のモルゲンロート
富士と南アルプス
乗鞍 御嶽は海原の島のようだ 常念の影は槍穂に正三角を成す
Coffeeを点て、紅→コガネ→蒼と刻々と変化する山々を拝む 形容できるコトバは無い
年配の方が「これで九十九山目、残るはあの鹿島槍」と顔を向ける みんなで百名山の達成を祈願
このオジイチャン、一緒に登られた奥さんによると 御歳68齢! お仕事リタイヤ後、8年間でここまで登ったと言う
しかも頂狙いではなく、立寄れる山にも足を向けている 今日も蝶ヶ岳まで回るそうだ 
日が昇りきると青色中心の世界 信州側は雲海に浮かぶ遠方の山 槍穂側は山、そして山 360°の大パノラマ
ここから離れられない気持ちに踏ん切りをつけて みんな自分の道を歩みだす
『行こう』 先には、なだらかな蝶ヶ岳の回廊が見える
しかし、あそこにたどり着くには何箇所かのアップダウンがある
常念〜蝶ヶ岳間の最低鞍へと下りだす
クサリ場などは無いが大岩の中の急勾配だ
06:40〜07:10 最低鞍手前の一旦斜度が緩む尾根の風裏で、先ほどの百名山ご夫婦が朝食をしている
コーヒーと小屋の【みそパン】をご馳走してくれる 色々お話をする 『ほんとうにお山が好きなんだ』と感じる
来月には百山目の鹿島槍を登るそうだ 『これもアリ』
愛知のお兄さんも降りてこられた 常念を登りながら日の出を観られたそうだ
 20分
最低鞍 2512m 気象;晴 無風
07:15 一つ目のピークの登りは少し急だ すぐに森林帯に入る 展望は減るが半紅葉した美しい森だ
 15分
一つ目ピーク 2530m 気象;晴 無風
7:30〜7:35

夏は[ギュッ]と締まっていた

【ヤマハハコ】も弾ける秋
←オジイチャンもこの岩尾根を下った

 50分
二つ目ピーク 2470m 気象;晴 無風
8:28〜8:35

森を映し出す池塘

本番近し

二つ目のピークから観る蝶槍
二つめのピークもグッと登り信州側を緩く下る 足下に森がある 池塘だ 突然なのでビックリする
この辺は池塘の痕跡やぬかるみ跡が多く見受けられる 雨後の登山道は泥が出そうだ
意外と登山者とすれ違う 今日の挨拶はきまっている 『いい天気でよかったですね』 みんな顔がほころぶ

 25分
蝶槍 2605m 気象;晴 南西
9:00
常念から3つ目のピークが蝶槍 登りだすとすぐに視界が開け、また槍穂のパノラマで足が止まりがちになる
蝶槍の頂は大岩がゴロッとしているが、その先 蝶ヶ岳までは緩やかに、そして複雑にいくつもの丘が重なり合う空中回廊
横尾分岐の先の二重山稜もよく解かる 梓ノ谷からの風が出てくる
あれが蝶ヶ岳 今回、最後のピ−ク 特徴的な二重山稜 常念は横から見ると信州側に長い尾根を引く
 20分
横尾分岐 2625m 気象;晴 南西風 気温;18℃
09:18 乾いた冷たい南西風に変わり高層には薄雲が出る 『自分がフリーズドライになっちゃう』 唇が乾く
少し強めの風が吹くとケルンが泣く 今回の山行も終りが近い
 『其処に行けば〜 どんな夢も〜 叶うと言うよ〜♪』 
 20分
蝶ヶ岳ヒュッテ 2677m 気象;晴 南西風
9:35〜12:30
090-1056-3455
DoCoMo
蝶ヶ岳ヒュッテ着 今日は上高地の終バスに間に合えばいい 時間はたっぷりある
まずは腹ごしらえ 予備食の【米麺】を煮る パクチーがいい香りだ
愛知のお兄さんが到着する 『下山後、運転気をつけてくださいね』
百名山のご夫婦も到着 オジイチャン足速いです 『次は200名山ですね がんばってください』
 みなさんここでお別れだ
自分は風裏を陣取り、山を見ながら米麺のスープをすする

上高地の谷はEUアルプスのよう

【イワツメクサ】

『また来るよ』
写真・画そして詩 今まで数多くの芸術家がモチーフにした槍穂の稜線
あやかってスケッチする 上空に薄雲がかかり彩色が難しい

泊る小屋に昼着 ベンチで酒盛りを始めるおじさん達 『これもよい』

荷物をまとめる 今回、最後のピーク 蝶ヶ岳の頂上は小屋裏からすぐそこだ
頂上で、歩いた山々に目を向ける 空中回廊を下りはじめる
 10分
妖精の池 2610m 気象;晴れ 無風 気温;20℃
12:40
下山時、妖精ノ池手前
池塘跡を上から見ると右に踏み跡あるが
左側が下山道です
最初はいい気分の長堀尾根下り
風も無くなる
下りだしてすぐ左側にある妖精の池(池塘)
ここから徳沢まで、森中のため展望が無くなる長堀尾根を下ることになる
 20分
長堀山 2564m 気象;晴・曇り
13:00
長堀山からの道 溝状に深く削れたり、浮石、露根、倒木、ショートカットなどで かなり荒れている 段差な部分も少なくない
何人かの登りの方とすれ違う 『徳沢から 4時間半 登りは大変そう』

僅かな癒し 2490m地点の池塘
 40分
2162m地点 2162m 気象;曇り・晴
13:40 ここからは急下り箇所が増えてくる 森床もクマザサが多くなる 淡々と下る
さすがに少し飽きた頃 前方下、木々の合間に白く広い梓川の河原が確認できる 『もう少しだ』
 50分
徳沢 1562m 気象;曇り 気温;12℃
14:32〜14:42
0263-95-2508
徳沢園は小説【氷壁/著;井上靖】の舞台となった宿
土曜日なので、この時間でも槍や涸沢を目指す人や下山した人々でにぎわっている
名物の姫林檎をかじる 平地はストックを交互に振りウォーキングスピードで行く
 40分
明神 1530m 気象;晴・曇り 気温;14℃
15:20〜15:45
梓川沿いの道はいつでも多くの人々が往来している
明神からは、少し遠まわりだが【上高地自然探勝路】をたどる
明神橋; 先ほどまで目の高さに見えていた明神岳を今は見上げながら橋を渡る

梓川沿いは青紫の【シオン】が
沢山咲いていた
                       ↑ 嘉門次レリーフ  
上高地の猟師だった嘉門次は
W.Westonのガイドを務める
 北アルプス黎明期の名案内人と呼ばれ、一生を山で生きた
明神参道脇には今でも嘉門次小屋が建つ           
明神池;〈拝観¥300〉 清らかな水でニジマスやカモが遊び
                           池底の【イチョウバイカモ】が鮮やかな緑色で揺らめく
      上高地=神降地(神河内) こんな山の中なのに海神(ワダツミ)系が御祭神 海・陸交通の守り神
      『昔人も、太古の北アルプスが海だった事を知っていたのかナ』 想像しながら自然の庭園を観る

こいつ愛嬌ある
上高地自然探勝路;  木道が敷かれた道は、梓川に流れ込む沢を何度か渡りながら上高地BTに向かう

工事中のためジープ道もあったが
人は少ない

入山した岳沢登山口に着く
 これで回廊一周だ
Ferrari-red 【マムシグサ】の実
有毒性
45分
  岳沢登山口
    16:30下山
 15分
上高地 1505m 気象;曇り 気温;14℃
16:42〜17:10 上高地のBTに向かう 河童橋から岳沢を振り返る 登りはじめたのは何日前だったのか… 
ただ山谷はその時と同じように大きく拡がっている
25分 アルピコバス/シャトル; 上高地17:10→17:35沢渡
沢渡 気象;曇 気温;16℃

17:35〜 明日は上田の【無言館】を観に行くので今夜はどこかで車泊りの予定
まずは 沢渡も湯処だが、どこも混んでいそうなので少し寄り道して山から綺麗に見えた乗鞍に行く
〜18:30〜 乗鞍・湯けむり館〈¥800)】空いている  白湯の広々浴槽で身体をおもいっきり延ばして丁寧にストレッチ
19:30頃 次は、お腹が「おいしいラーメンが食いたいよ〜」と言うので、松本市街の【濃厚みそラーメンと餃子】
21:00頃 寝場所は安曇野近くの【道の駅・池田ハーブセンター】にした                   
続きは⇒

天気図  この山行時の天気図 ;株式会社ウェザーマップ/気象人 のページへリンクさせていただいております
装 備   水タンク:2L+1L 食料:7食+行動食4日分
 テント、3シーズンシュラフ
 
コンロ(中カートリッジ*1)
 60Lザック+Wストック=15kg
反省点 バッテリ まずは携帯 電源切り忘れで槍の肩でダウンしてしまった
最近の山小屋では充電できる所もあるが…
そしてデジカメ 専用充電式のリチウム・バッテリ
温度低下ですぐに弱くなる テント内では
シュラフに入れたり、夜明け時はフリースのポケットに入れたり、手でこすって暖めたり だましだまし使った
結局4日間で2個のパックを使い切った もっと冷える時もあるので対策が必要だ
写真 使用しているのはコンパクトデジカメ
めんどくさくってセンタ・フォーカスとストロボキャンセル以外はすべてAUTOで撮影
ホワイトバランス(!?)などの機能や長時間シャッタ時のブレに注意すれば
もう少しまともな写真が撮れると思うのだが これ以上の画素数や、望遠はいらないから広角が…
Good 天候 まったく、ほんとに すべてはこれから始まる
ウエアー 秋は気温の変化が激しい 今回の最大寒暖差は測定で34度だった
時間・日差し・風・運動量・道の状況で対応は、めまぐるしく変わっていったが
Tシャツ+薄長袖+フリース+レインスーツ+フリース帽の組み合わせで全てこなせた
持っていたダウンは保険だ
軽量化 コッヘルとコンロを変えただけでこんなにコンパクト軽量になるとは!
防寒の関係で荷が増えているはずなに 楽でした さらに進化させましょう
感 想 好天続きの空中回廊 これから進む道、昨日通った山々が望めて『山旅』を実感できて面白かった
今田重太郎・播隆・
小林喜作上条嘉門次W.Weston(敬略) そして無知な私が知らない多くの方々が切り開き、
紹介し、そして守ってきたであろうモノのを少しでも理解することができたと思う山行だった
山に来る方々は、各自さまざまな何かを求めやってきている
『自分は山で何を思い、何をしてゆくのだろう』 まだまだ山行は続く


【秋の近づく槍穂】

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