山のもの ;海のものとも山のものとも
2006/08/18 up    
北アルプス・後立山
八方〜白馬三山〜朝日岳〜栂海新道〜親不知
2006/08/02(wed.)〜06(sun.)
 単独.・4泊5日・テント・縦走 行程;36時間 移動; 27時間55分

白馬に乗って 海へ! 日本有数のロングトレール
時間・数値・装備及び感想は、この山行時・個人のモノです あくまでも参考としてください
1日目 八方尾根〜唐松岳頂上山荘
2日目 〜唐松岳〜不帰ノ嶮〜白馬鑓ヶ岳〜杓子岳〜白馬頂上宿舎
3日目 白馬岳〜雪倉岳〜朝日岳〜朝日小屋
4日目 2006/08/05 (sat.)
朝日小屋〜朝日岳〜あやめ平
〜さわがに山〜犬ヶ岳〜下駒岳〜白鳥小屋
行程;11時間10分  移動;8時間50分
栂海新道の真髄 ロングトレール
朝日小屋 2140m 気象;星 西微風 気温;〔03:00;10℃〕
03:30出立 2:30起床 今日はどう考えても工程が長い
【茨城の山岳会】の方々もすでに起床済み 『夕べは あんなに飲んでいたのに タフな方々だ』 感心する
自分は独りなので、簡単に朝食&撤収を済ませる 挨拶して先に出立する
ヘッドライトで道を照らしながら、独り 朝日岳登って行く どうやら今日も先頭のようだ

登り始めると、薄っすらだが富山の街や能登半島の灯も見えた
50分
朝日岳 2418m 気象;晴 西微風 気温;10℃
04:20〜04:50
FOMA

朝日岳頂上 夜明前

神々しい日ノ出

イヨイヨ その路へ
頂上にて〔独り夜明のcoffee〕を飲み終えて日ノ出を待っていると、すぐに【茨城の山岳会】の方々も上がってこられた 地元のグループの方々も登って来た
その、何回も登られた地元のおじさんが 「こんなのは初めてだ。」という美しい朝日を皆で拝む

オキニ入りの白馬の北側が、朝焼けに染まるのは、もう少しアトだ
20分
吹上のコル 2255m 気象;晴 気温;12℃
05:10
すばらしい日ノ出を観れて上々気分 足取り軽く、五輪尾根と分岐する吹上げのコルに下りて行く
『今日は長丁場だった』思い出し、少し気持ちを引き締める

吹上げのコル へ

照葉ノ池
栂海新道を開き、整備されている【さわがに山岳会】の設置してくれるカンバンは、鉄板に切り抜きの文字 劣化することなく、大変見やすい
吹上げのコルから大岩の間を越え、いよいよ栂海新道に入る
樹林帯を抜けると照葉ノ池が広がる 木道が整備された高地の池 日本離れした風景に感動
30分
長栂山 2267m 気象;快晴 東風 気温;14℃
05:40〜5:45
    
長栂山は広い石原に〔ポチッ〕と、おまけのような頂部
20分
アヤメ平 2045m 気象;快晴 無風 気温;14℃
06:05〜06:10
少し急に下り雪渓を越して行く
雪渓部にはマークが無いので、上から降りる場所・道を見極める必要がある

素晴らしい景観が広がる

【ヒオウギアヤメ】

深山独歩
降りた所はアヤメ平 ほんとうにアヤメが咲いている とても色が鮮やだ 野生種【ヒオウギアヤメ】だそうだ
標高が低くなった以上に、さながら別世界に入る
尾瀬の湿原に似ているが大きな違いは木道が無いコトだ
『昔の尾瀬もこんな感じだったのかしら』 のどかで、標高2000m以上広々した高地の湿原帯
稜線や頂とは一味違う山の魅力だ 「北アルプス最後の楽園」と呼ばれるのもうなずける

【ハクサンシャジン】

快晴のアヤメ平を行く

所々、道は深くえぐれている

無数の池塘が点在

【キヌガサソウ】
花の種類も高地とは異なってきたのがよく解る
35分
黒岩平 1725m 気象;快晴 無風 気温;21℃
06:45〜06:55
黒岩平の上部(1900m)から雪渓がある スキー板を持っていればひと滑りできる規模だ
実際、斜度のある場所は、靴裏とWストックでセードで滑り降りる スプーン状の凹みが丁度よいブレーキだ
おかげでこの辺りでは水には困らない 雪渓を下りきると豊富な水量の沢がある
7:00前にすでに20℃を越えた 標高も昨日までとは異なる 『今日は暑くなりそうだ』

水芭蕉の咲くゲレンデだ

なだらかに下って行く湿原の路が続く 地形は複雑だが、路はしっかり付いている
冷たい水のおかげで足取りも軽い

30分
黒岩山 1624m 気象;快晴 無風 気温;24℃
07:25〜07:35
小さな沢沿いに進み黒岩山に向かう 笑っちゃうほどに、水芭蕉が満開だ
黒岩山の頂上手前で、栂海新道 唯一のエスケープ路 -中俣新道- が分岐する
エスケープと言っても、里まで7時間かかるらしい -どちらがエスケープだか?-
頂上に立つと、先の栂海新道の路がよく見える
独特の台形をした犬ヶ岳の基部には、すでに栂海小屋も確認できる
地図を思い出さずとも、自分が『かなり人里離れた場所に居る』と実感する
道のササは、きれいに打ち落とされ、昨日の朝日岳の登りより、よっぽど整備が行き届いている
ここからは 高山とは一味違う、緑が眩しい 稜線センターを進むスカイロードが続く
起伏が多く、日差しも強いが気分は好い

振り返る だいぶ下った

あの山 この山 越えてゆくのさ〜♪

稜線のスカイロード
登山道の脇には蛇が多い また明らかに熊の縄張りを示すモノもあった
1時間05分
さわがに山 1612m 気象;快晴 無風 気温;26℃
08:40〜08:55
FOMA
登り下りで、淀んだ文字ノ池を越える 1540m地点からの急直昇りで、さわがに山の頂だ
『かわいい名の山だ』 -まだ余裕がある-
栂海新道を切り開いた【さわがに山岳会】にちなんだ名前なのか、稜線横移動のことなのか、元々の山の名前なのか、、、 はたまた、東斜面の緑の低木がサワガニに見えなくもない

『かにっ!』

【ミヤマママコナ】

最奥 台形の犬ヶ岳
しばらく進むとヤセ尾根に出る 道幅もあり、両脇は潅木に覆われているの解りづらいが、
道幅の両側は垂直に切れ落ちている 立てた板の縁を歩いているようなもんらしい
25分
北俣ノ水場 1945m 気象;快晴 無風 気温;30℃
09:20〜09:40
水場 往復10分
← 山では珍しいホウロウ製のカンバン 『す・て・き』 思わず撫でる
ヤセた尾根を下り、登りが始まる左に曲がる箇所
その内側 苔石の涸れ沢を5分ほど降りて行くと
がある

今日の宿泊は白鳥小屋を予定している
まだ先に水場はあるが、一応ここで給水する
水は冷たく美味しい 『生き返る』
ここから犬ヶ岳の頂上までは、まず急登し、キツくヤセた小ピークを2つ越す
稜線上の尖り岩を捲いて、更にひと登り
まだまだ、高度感があって、白馬や剣岳の展望も十分楽しめる
さわがに山や犬ヶ岳から観る初雪山(1596m)は低山とは思えぬ
堂々とした山容  中央の雪渓が力強い       →

40分
犬ヶ岳 1593m 気象;ガス/晴 無風 気温;28℃
10:20〜10:25
『!?』 犬ヶ岳 最後の登りにかかるコル部に犬が居る
正確に言うと、おねえさん(Foreigner)がシェパードと雑種のワンコ2匹を連れ、
稜線をお散歩中。 おねえさんは、栂海山荘に泊まっているそうだ
流暢な日本語で 「犬ヶ岳で犬って面白いでしょ」 と微笑む
10分
栂海山荘 1555m 気象;快晴 無風 気温;25℃
10:35〜10:50
FOMA
犬ヶ岳を越せば、下り10分ほどで無人小屋-栂海山荘が建つ
ここから左手に折れて行くのだが、例によってお昼のガスが出始める
山荘の日陰で休憩する 今日の泊地、白鳥山に続く地形は、まだ目視確認できる
『まだまだ先は長い』 ここからは、背の高くなった樹林帯の急下りが始まる

山小屋らしからぬポップなカラー 『おしゃれです』

ひとつ、ふたつ、みっつ… up & down
急下りがいったん終わって、一気に標高が下がった頃、女性の方が独り反対側jから登ってこられた
重い荷は白鳥にデポして犬ヶ岳までピストンするらしい
先ほどのワンコ散歩のお姉さんと言い 『女性は強し』

1時間10分
黄蓮の水場 1190m 気象;ガス/晴 無風 気温;24℃
12:00〜12:20
水場 往復10分
1384mのピークを登り、そして下って行く
黄蓮山を登り返した後に、また長い下りが待っている
もう下りでは、〔ひとり膝カックン〕に気をつけねばならぬ状態だ

コル部の少し手前に黄蓮ノ水場が在る
は泳げるほどに沢を流れている 『よかった、よかった』
今回の山行 稜線部には残雪が豊富で、水に困らないが、深山を降りるほどに、計算が必要になった
お兄さんが下から上がってこられた
お兄さんは、友人と両端まで車で来る【クロス山行】だ お互い先の水場情報を交換をする
水場の先も、登り下りを繰り返す 高低差は何百mもある訳ではないのだが、長丁場の終盤 『キツイ』
朝日岳からの栂海新道 日本海に向かって一気に下れる訳では無い

1時間15分
菊石山 1210m 気象;ガス 無風 気温;26℃
12:35
太く大きな木々が目立ち始める 稜線なのだが風が抜けない
標高のためか、植物の呼吸のためか湿度が高い
『ヤマネかしら?』 露根の隙間から白茶の小動物がこちらを見つめている

Mt.ammonite fossil

【ギンリョウソウ】
菌類では無く植物
菊石山を少し下った岩場で石を観ている ヒゲのお兄さんがいる
「菊石とは、アンモナイトの化石の事… 昔はここで沢山採れたらしいよ」
興味津々 お話を聞きながら、アンモナイトの化石が持つ、あの美しい【螺旋】を想像する

35分
下駒岳 1241m 気象;ガス 無風 気温;27℃
13:10〜13:25 再びというか、「これでもか!」と登りが待っている
普段なら、そうでも無いのかもしれないが、山に入って4日目 長丁場の後半でこの暑さ
ボディーブローのように効いてきた
特に、オレンジ色の崩落帯を左に据えた箇所からは、露根・岩を交えながらの急登
ソコを登りきる。 『しんど〜』 頂上で座り込む 先ほどのヒゲのお兄さんがやってきた
お兄さんは車を坂田に停めての日帰りのため軽荷だ 足取り軽く先にいかれた
『よっこいしょ』 まだへたっているカラダにムチを打つ

1時間15分
白鳥小屋 1287m 気象;ガス/晴 無風 気温;29℃
14:40着
FOMA
1120mのコルから、最後の登りをこなす 目の前に小屋が見えた時は思わず 『着いた〜』と言葉が出る
小屋は北アルプス最北の山らしい山-白鳥山の、ほぼ頂上に建つ無人小屋 今日はテントを張らなくてよい
手前に赤テープが貼られた水場があったが、水の気配は無かった 夏は涸れるそうだ
水は黄蓮ノ水場で十分に補給したので問題は無い
小屋前の説明文を読む
ヒゲのお兄さんさんが説明してくれたように、白鳥山は金、翡翠、化石の山らしい
この辺りは、ジュラ紀〜白亜紀の地層が表面に出ているそうだ
恐竜の化石の可能性も… 『シラトリサウルス、ツガミノドンか』
自分も栂海新道のロマンに誘われてやってきたようなモノだ この山にはロマンが詰まっている

展望台付き 翡翠色の白鳥小屋

とても綺麗な小屋

味噌味のすいとん 『初めてです』
行動食の残りを食べていると、下から若いカップルが登ってこられた お二人は親不知から入られ、今夜は黄蓮ノ水場にテントを張る予定だそうだ
3人で屋上の展望台に上がり、お二人が入山、そして自分が降りる親不知を確認する
モヤのため はっきりとは見えないが、日本海とそこに落ち込む山並が解る
二人が出立され、すぐに【茨城の山岳会】の方々も到着
やはり、みなさん大汗だったようだ 『ごくろうさまでした』 早速、宴会の準備だ
今夜は、初めて食べる芋がらや味噌味のすいとんをこさえ、珍味フナみそも振舞ってくれる
どれも 自分にとっては珍しく、そして美味しい
乾燥モノを水で戻す 現在のフリーズドライのさきがけだ その知恵に感心する
本当に陽気で、楽しい方々だ きっと山に入ると、毎晩宴会三昧なのであろう
「水よりも、酒を多く背負っている」と大笑い
先ほどすれ違った、犬ヶ岳にピストンされた女性の方も戻ってこられた この方は金沢から来れれたそうだ
交え、今夜も馳走になる
単独テント山行が多い自分 ほんとうに陽気な時間を楽しませていただきました 『感謝です』
皆で屋上展望台から、今日歩いてきた山々を見る
「あの台形が犬ヶ岳」 『その奥が、朝日岳』 「その向こうの朝日小屋から歩きはじめたんだよ」
あらためて、今日の工程の長さを実感する

長かった今日の道程

明日は日本海だ
暗くなると、親不知ICの明りだろうか
麓の明かりがよく見える


明かりを消すとが襲来
5日目 〜坂田峠〜入道山〜親不知
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